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【大人は正しく理解しよう】場面緘黙症の子供の対応について

投稿日:2019年11月18日 更新日:

 

今回は、【大人は正しく理解しよう】場面緘黙症の子供の対応についてというテーマでお話していきます。

 

 

こんな方におすすめ

  • これから教員をやっていこうと思っている方
  • 特定の場面で話ができない子どもが身近にいる方
  • 場面緘黙症について興味がある方

 

場面緘黙症とは、ある特定の場面において、一切言葉を発することができない状態のことです。家の中では活発で兄弟とも口喧嘩をするくらい話ができる子どもが、学校などの公の場に出ると一切話ができなくなるのです。

「人前で話すのは恥ずかしいもので、話ができなくなるくらいはあるだろう」

などとという単純な話ではありません。言葉を発することができないということは、自分が困っている事も相手に伝えるのが難しいということであり、周りの理解を得られずに孤立していてしまう人も少なくないのが現状です。なぜ、このような状態になってしまうのか、まだ詳しい原因はわかっていません。

 

また、場面緘黙症の子どもは発達障害の特性を持っているということもけっこうあります。私が教員をしていた頃にも、そのような子どもに出会ったことがありますが、ほとんどの子どもは発達障害(自閉スペクトラム症)の特性を持っていました。必ずというわけではないですが、その比率は高かったと記憶しています。

 

もし、あなたの受け持つ学級にそんな子どもがいたらどのように関わってきますか。一緒に考えていきたいと思います。

 

 

場面緘黙症の子どもへの間違った対応

 

学校の中では、みんなの前で、発表をしたり、スピーチをしたり、歌を歌ったりする場面が必ずあります。場面緘黙症の子どもは、このような時間はどうするでしょうか。おそらく、何も言えずに固まってしまうのではないでしょうか。普段学校の中で話せないのに、「授業なので話さなければならない」と、みんなと同じことを求めてもできるわけではありません。大人の人がよくやってしまう

間違いは、その子に無理に話させようとしてしまうことです。話すことができるまでずっと待ったり、話せるまで立たせたりするなどの圧力をかけてしまうことです。こういったことは、子どもにとって苦痛でしかありません。無理強いをさせて改善できるものではないことを知っておいてください。

 

まだまだ世間一般的に場面緘黙症が理解されていなかった時代は、人前で話すのが苦手な子に対して、話すことを強要し、話すまで何もさせないという虐待に近い行為が行われていました。私の子どもの頃にも、そんなことがありました。忘れもしないなんとも嫌な思い出です。

 

私が小学校3年生の時、人前で話すことが苦手な子が、教室の前で朝のスピーチをすることになりました。当然、話せるはずはありませんので、黙ってしまいます。当時の担任の先生は教育熱心で、規律やルールに厳しい先生でしたので、その子が黙ってやり過ごすことを許してくれるはずもありませんでした。最初は色々とアドバイスをし、横で声掛けをしてくれていましたが、一向に話すことができない状況を見て、「言えるまで待ちます。」などと言って、話すまで、ずっと子どもを前に立たせていました。

 

それでも、一向に話せるはずはありません。私の記憶では2時間目までその子は立たされていました。1時間以上は経っていましたね。「先生、もう許してあげて」などと私が言えるはずもなく、その子は黙って泣いていたのを覚えています。きっと深く傷ついていたことでしょう。そんな状態であるにも関わらず、先生はさらに強い圧力をかけ、その子を追い詰めていました。

 

こんなことがひと昔前には教育としてまかり通っていたのです。今でこそ、子どもにやってはいけないことですが、当時は教育の一環と考えられていたのでしょう。「勇気をもって声を出せばできる」と当時の先生も思っていたのでしょうが、場面緘黙というのは「やればできる」などというそんな単純な話ではないのです。無理強いをさせたり、追い詰めたりすることは場面緘黙症の子どもにとってなんの成長にもならず、さらに人前で話すことに対して不安や恐怖を与えてしまいます。

 

 

場面緘黙症の子供が学級にいた時の対応

 

まず、学級担任は、これらのことを知った上で日頃からその子への気配りを忘れずに接していく必要があります。まず、学校では、話せないということを理解し、一人で話す場面はなるべく作らない配慮と話さなくても大丈夫だという雰囲気づくりが必要です。

 

 

朝のスピーチはどうする?

 

学級のルールとして日直、日番制度を作って学級運営をしていることがあるかと思います。そんな日直、日番のやり割りとして朝のスピーチをする場面がありますが、そんな時はどうしたらいいでしょうか。場面緘黙症の子どもにとって人前での朝のスピーチは相当なプレッシャーになります。(もちろんどの子どもにとっても多少のプレッシャーは抱えることになるとは思いますが)おそらく、スピーチが嫌だから学校に行きたくないと言い出すこともあるはずです。これくらいしんどい思いをもっていることを理解してあげましょう。

 

学級担任がするべき対応は、まず、学級の中でその子に対しての理解を深めることです。「話せないのはさぼりではない」ということを丁寧に説明をします。大抵の子どもは納得し理解してくれますが、心の中で納得感を持てない子も少なからずいるでしょう。そういうことも考えた上で、どうしてもスピーチが難しいと感じる場合は、場面緘黙症の子だけに限らず誰でも先生まで相談してほしいという旨を子どもたちに伝えておきます。これで、その子だけ特別だということなく公平感を保てます。

 

では、場面緘黙症の子どもにどのように朝のスピーチに参加してもらえばいいかと言うと、それは、スピーチの内容を家で考えてこさせ、スピーチのメモを作ってくるように声をかけるのです。そして、スピーチの当日、そのメモを代わりに誰かに読んでもらうようにするのです。これで、その子の負担が軽減されるはずです。事前に、本人と保護者に確認しておくといいでしょう。

 

 

学級作りがうまくいき、どの子どもも安心できる雰囲気ができたとします。そんな学級になり、その子どもの表情も明るくなってきていると感じたなら、少しステップアップを目指してみましょう。最初のステップとして、スピーチメモを友だちに読んでもらう時に、自分も口を開ける努力をさせるのです。声の音は出さなくてもOKだということを伝え、人前で口を開く練習をさせていくのです。大きな負担なく進めていけそうならやってみてもいいでしょう。

 

 

1人読み音読の時はどうする?

 

国語の授業などで、1人ずつ音読をさせる場面があるかと思います。1文で交代する音読などはよく学級でもしていますよね。でも、場面緘黙症の子どもがいる学級では、1人読みはする必要はないでしょう。その子に1人読みをさせてしまうと、周りの子どもたちは声が聞き取れなくて、「全然聞こえない」という状況になって授業が進まず、その子が嫌な思いをしてしまうことになるからです。

 

音読の時は、敢えて1人読みの活動をする必要はなく、2人ずつ同時に読む2人読みにしてあげたらいいのです。これで、その子の声が聞こえなくても、もう一人の声でなんとか音読を進めることができます。

 

「音読テストの時はどうするんだ?」という声も聞こえてきそうですが、音読テストも2人同時に行えばいいのです。その子の音読の評価はできませんが、別に音読だけで国語の評価が決まるわけではないでしょう。評価ができないところがあっても、その他の学習内容で補ってあげて評価してあげるようにしたらいいのです。

 

こんな配慮が学級でできたら誰もが過ごしやすいよいクラスになっていくのではないでしょうか。

 

 

家庭でも圧力はかけないように

 

それでは、家族の方にはどう接してもらえばいいでしょうか。家では、みんなと同じようにコミュニケーションが取れるのなら問題ありません。いつも通りでいいです。ただ、間違っても

「今日は学校で誰かと話をしてきたの?」「毎日誰かと話をしなさい。」

などと、本人に問い詰めたり、誰かと話してくるように圧力をかけることはないようにアドバイスをしましょう。そういったことをしてしまうと、ますます子どもを追い詰めることになります。話せないのは、本人にとっても辛いことであり、本人も悩んでいることなのです。その気持ちを理解してあげることが必要です。

「外で話をしないといけないと思いすぎたらだめよ。無理しなくていいよ。」

くらい言ってあげる方が本人にとって気持ちが楽になると思います。こういった対応を家庭で協力してやってもらうように担任から話をしておくと良いでしょう。父、母、叔母、叔父、きょうだい含めて、場面緘黙症の子に対して、外で話をするような問い詰め、圧力をかけない条約を結んでおいてもらうのです。家庭の中で、お父さんとお母さんの教育方針が異なるという場合もあり難しい場合もありますが、家での方針を持つことはとても大事です。それでも、家庭の中で、話し合いを続けていくことが大事であるということを言っていくことも私たちの役割です。

 

 

困ったときに助けを求める方法を確認

 

これについて話し合っておくことが一番重要かもしれません。子どもも学年が上がるにつれて、色々なアクシデントが起こってくるものです。周りに担任の先生がいない時間も増えてきます。そんなときに、誰かに助けてもらったり、声をかけてもらったりしなければならない状況も出てきます。でも、自分から話せないとなると、いざというときに心配です。

そんなときの対処法を考えておきましょう。

 

まず、学校生活の中では、先生に自分が困っているというサインを言葉以外で出す方法を一緒に考えておきます。例えば、その子どもが、急におなかが痛くなってトイレに行きたくなったとします。でも、自分から言い出せません。そんなときに、机の上に、「私、ぼく、困っています」という先生への合図になるものを出します。これは、先生と子どもが共通理解ができていたらなんでもいいです。連絡帳、消しゴム・・・できれば、先生が気づいてくれやすいものがいいかもしれません。赤の色紙を机の上に1枚出すなどです。先生が気付いてくれたら、ジェスチャーなどで「トイレに行きたい」ということを伝えればいいです。

 

それから、この困った時の合図については、他の子どもたちにも伝えた方がよいか、それとも子どもたちには内緒の方がいいか。それは、子どもに確認しておくのがよいです。子どもが先生とのやり取りをみんなにばれても気にならないという場合なら、みんなにある程度知ってもらっておくといいでしょう。先生がいないときに、友だちが助けてくれることもあるはずですからね。一方、ばれたくないという場合は、要注意です。先生に助けてもらっていることを周りの子どもたちに知られることで、その子どものプライドを傷つけてしまうことにもなるからです。

 

クラスの子どもによっては、「先生それなんですか。どうしたんですか。」と興味津々に聞いてくる子もいます。そういう雰囲気になってしまっては、完全にばれないようにするには難しいですが、何か先生とやり取りをしているということくらいの話にとどめておきましょう。これらのことは子どもと事前に相談して決めておきましょう。

 

 

場面緘黙症の子どもの対応で大切なこと

 

さきほどにも書いたように、詳しい原因がわからないことから、これをしたらよくなるというものはないようです。周りの私たちがどうやって話せるようになってくれるのかということを考えるのは、あまりよくないことでしょう。場面緘黙症の子どもにはプレッシャーになってしまうはずです。

 

徐々に話すことができるようになっているという方の話では、

「話せない自分を受け入れてくれていること」「心の拠り所となるところがあること」がとても重要だと言っています。

 

それがあることで、徐々に話せるようになったと語っている方が多いです。生活していく中で、安心感が得られることがなにより大きな力となるようですね。子どもにとって一番身近な存在である家族、学校の先生がそんな風な存在になっているのがよいのでしょう。もちろん、当事者のそれまで積み上げてきた多くの努力があることも忘れてはいけません。

 

場面緘黙症の子どもが身近に方々にも、子どもたちに、安心感を与えられるような人になってくれたらと思います。今回の記事が何かの参考になってくれたら嬉しいです。

 

 

今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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