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【休む勇気が持てない方へ】教員が年休をうまく取得する方法 小学校編

2019年3月17日

 

今回は、【休む勇気が持てない方へ】教員が年休をうまく取得する方法というテーマで記事を書いていきます。

 

 

こんな方におすすめ

  • これから教員をやっていこうと思っている方
  • 教員をやっているが年休が全く取れなくて悩んでいる方
  • どんどん年休を取っている教員の考え方を知りたい方

 

動画でもご覧いただけます。

 

 

 

長期休暇で年休消化できると考えるのは甘い?

 

学校現場を知らない方からは、

「夏休みがあっていいね。」「教員って休みが多くていいよね。」と言われることが多いかと思います。確かに私たち教員は子どもがいない長期休暇は他の日と比べて休みやすいです。しかし、長期休暇と言えど中学校では毎日クラブの指導があるし、小学校でもここぞとばかりに研修が詰め込まれて年々休める日が減ってきています。

 

働いている肌感覚で言うと、毎年1日、1日と休める日が少なくなっている感じで、長期休暇の夏休み・冬休みでさえどんどん短くなり、8月の後半には授業をしている学校がほとんどです。午前中の短縮授業ではあるものの、午後からは会議・打ち合わせ・研修で予定が詰まっている状態です。

 

一体どこで年休を取ったらいいのだろうと思っている方も多いはず。もう長期休暇だからといって、1か月まるまる休めていたような時代ではなくなっています。

 

 

学校で年休が取れない実情

 

仕事をしている労働者には、年次有給休暇を与えられる権利があり、労働基準法にもそのことははっきりと明記されています。年次有給休暇の目的は、職員の心身の疲労回復をすること、労働力として維持し続ける力を蓄えることとされています。このように、私たち教員には年休を取る権利が与えられています。年間で20日あり、次の年まで最大20日繰り越すことができます。年休保有数は最大で40日。どれだけあろうと、現在の学校現場ではなかなか自由に年休が取れないのが実情なのです。

 

真面目に一生懸命頑張っている人ほど、年休を使わないので最長の40日の年休を簡単に貯められます。毎年、年休を使えずじまいで年度末に消えてなくなり、また新しい年度になって20日増える。この繰り返しに嘆いていると思います。

 

休むことで、他の先生方の負担が増える

 

では、なぜ年休が取れないのか。理由は簡単です。休んだ教員が出ると、その教員の授業の埋め合わせを誰かがしなければならなくなるからです。

 

学校内の教員の数は決められていて、毎年ぎりぎりの教員数で運営されています。しかし、お休みする教員がいると、本来その人が受け持っていたクラスでの授業者がいなくなってしまいます。休んだ教員のクラスの子どもたちをほったらかしにしておくわけにはいかないので、誰かが見なければなりません。同学年の先生方が、学年行事などを入れて、自分のクラスとお休みをしたクラスの2クラス分を一緒に合わせて授業をしたりして埋め合わせをしますが、5時間目、6時間目までずっとはできません。

 

当然、その他の教員が応援に行き、代わりに授業をすることになります。つまり、誰かに授業をしてもらうことになり、授業をする人は、本来はその時間は空きの授業準備時間だったかもしれないのに、休んだ人がいるために代わりにクラスで授業をすることになります。

 

自分が休んだせいで、他の先生の自由な空きの時間をいただいたことになるわけです。こんな状況で年休を堂々と取れますか?おそらく、ほとんどの人は取れないと思います。風邪で熱が出ている、家の屋根が壊れて早急に修理をしなければならない、両親が入院することになったなど、どうしても休まなければならない理由があるときくらいではないでしょうか。

 

 

なので、基本的に学校が休みでない限りは、簡単に年休を取得することは難しいと言わざるをえないでしょう。

 

 

教育制度が変わり、年休の取りにくさが加速する

 

学習指導要領の改定(国の方針)で、年間で実施する年間の授業時間が大幅に増えました。これにより、各学校側は授業数をたくさん確保しなくてはいけなくなりました。今まで、5時間授業の日だった曜日が6時間授業にしないと授業時数が足りなくなるというような事態です。

 

しかし、年間予定を確認しても授業数を増やせるところなどありません。常に学校行事などのさまざまなスケジュールが入っていて、授業時間を伸ばせる期間などないのです。となると、最終的には休みの日を減らすしかなくなるわけです。こういった理由で長期休暇の夏休み、冬休み、春休みの日数が削られることになってきています。今まで、まとまった休みを長期休暇に取っていた私たち教員にとって、年休がさらに取りにくい状況が生まれてきています。

 

 

教員が年休をうまく取得する方法 小学校編

 

年休が取れないとお悩みの教員の方へ。うまく年休を取得する方法を伝えたいと思います。

 

年休取得に対する考え方を変える

 

年休が取りにくい今のような状況でも、過去に出会った方でよく年休を取るA先生がいました。休む理由は、その先生の子どもに関することで休むのです。子どもが熱を出したので看病をするために休む、子どもの学校行事があるので休む、今日は子どもの特別な日なので休むなどといったものです。「昨日はすいませんでした。」「ありがとうございます。」と一言はありますが、そのA先生は、

「私は労働者としての権利を行使しているだけ。これは当たり前のこと。もっとみんなも休んだらいい」とさえ言っていました。ある意味突き抜けているなぁと感心しましたが、それなりの覚悟を持って休んでおられるのだとも思いました。このように、A先生は年休を取得することに対しての考え方が、周りの人たちとはまるで違うということです。

 

しかし、現実はA先生のように誰もが年休をどんどん取得できるはずがありません。みんながどんどん年休を取得し出したら学校自体が回らなくなります。これは間違いありません。また、休んだらその先生の仕事を他の先生方にしてもらうことになり、ますます仕事を増やしてしまうことになると考えて結局休まないようにするでしょう。

 

 

そもそも、

自分の子どもが熱を出したなら、休まなくても自分の両親に預けて看てもらおうとするべきでは?

教員をしているということは自分の子どもの学校行事はあきらめるべきではないのか?

自分の子どもより学校の子どもを優先するべきでは?

などという意見があるのも事実でしょう。

 

 

しかし、あるベテランのB先生が言っていた話ですが、

「もし、相手に迷惑をかけたくないという思いで休まないというのは、相手が休んだらあなたも迷惑に感じているということ。だからあなたは休まないのではないですか。」「私は相手が休んでも迷惑だと思わないから、自分も堂々と休むんですよ。」「みんなで助け合ったらいいんじゃないかな。」みたいなことを言っていました。「なるほどなぁ、自分には休まれたら迷惑だというそんな考えがあったのかも・・・」と思い知らされました。

これはみんなが年休を取れない本質的な考えなのかもしれませんね。

 

 

もし、年休を取って休んでいる先生がうらやましいと思うなら、みなさんもA先生やB先生のようにどんどん年休を取ったらいいのです。そのかわり、誰が休んでも嫌な思いを持たず、気持ちよく休ませてあげられるようにしましょう。そんな労働環境を作っていった方が、長期的にはみんな生きやすいのかもしれませんね。

 

もちろん、年休を取って休むのは労働者としても権利ですから、誰からも表立って責められる筋合いはないのです。年休をたくさん使って休んだからといって給料が下がることもないですからね。

 

でも、このような思いを強く持っているのは一番辛い立場である管理職の方たちかもしれません。本当に管理職の方には頭が下がる思いです。ほとんどの管理職は休む先生がいても文句も一つ言わずに、快く了解してくれます。自分は休みなど、全く取れていないにも関わらずです。

 

学級担任外をする

 

A先生のような覚悟や考え方ではないけど、年休をできるだけ取りたい、自分の子どもの学校行事に参加したい、自分の子どもが発熱の時は看てあげたいなどと考えている方へ。実は、学校の中には年休の取りやすいポジションがあります。

 

それはずばり、学級担任外です。学級担任を受け持っていない人とは、学年付きの教科担当、音楽・家庭科などの専門教科担当、支援学級担任などが挙げられます。これらの教員は、授業を受け持っているものの、一日抜けたとしても、学校・学級への影響が限定的です。受け持つ授業数が少ない日などもあるので、そんな日をねらって休むのはアリかもしれません。色々条件が良いです。

 

どうしても今年度だけは、休みの融通を利かせたいという風に思っているのなら、事前に管理職に相談しておくのも手でしょうね。あなたが仮にバリバリのやり手の教員であったとしても、1年くらいなら学級担任から外してもらえるかもしれません。

 

 

年休を取るシステムを作る

 

理想的な話かもしれませんが、学校として年休を取りやすいシステムを作ったらいいのではないでしょうか。あらかじめ、1年間の年間行事予定の中から教員が順番に年休を取得できるようにするのです。同じ日に2人休むことにならないよう(2人休んだら学校側が大変なので)1週間に1人くらいのペースで休みを取っていくのです。これを年間行事予定の中に入れ込みシステム化します。職員室の日直制度のようなものにし、仕事の分担を決めるがごとく年休取得の分担も決めてしまうのです。

 

学校全体で無理なら、せめて学年間だけでもそんな風に決めて休みを取ったらいいです。学年間で計画的に年休取得のシステムを作り、フォローもできるだけ学年間でできるようにします。休んでいるクラスには、2クラス合同で体育をしたり、学年一斉の総合学習をしたりすれば、どうにでもなります。授業進度も合わせておけば、休んでいるクラスに同じ授業をしてもらったらいいです。これで、休んだ先生がいる学年の先生の負担も減らせるはずです。

 

働き方改革の一環で、プレミアムフライデー、ノー残業デーなどいろんな取り組みが進められているところなので、ローテーション年休取得月間などを作ってもいいと思います。

 

 

まだまだ自由な年休取得の道は遠い

 

これまで色々と書いてきましたが、まだまだ年休を取りやすいとは環境になっているとは言えそうにありません。そもそも教員という職業は、子どもに奉仕する仕事なので、子どもを放っておいてまで休もうと思う人自体少ないのかもしれません。年休は私たちの権利とはいえ、子どもたちにために最善を尽くそうというポリシーを持っている人も多くいます。そんな熱心な先生方がいることは素晴らしいですが、そのような先生方の精神が現状を変えられない原因の一つとも考えられます。

 

仕事は仕事、遊びは遊びと子どもたちに教えているのだから、教員の私たちもそれを貫いていきたいものです。そもそも、年休を趣味で取ると言えないのは日本は遅れています。自分の家庭のため、子どものためなら取りやすい雰囲気はありますが、自分の趣味のために休むとはまだ言えない状況ですよね。

でも、休むという行為は同じはずです。子どもがいる人は年休が取りやすくて、趣味で年休は受け入れらないなんて変ですよ。家庭がない人は、子育てがないので趣味をするために年休を取ったっていいわけですから。海外はもうそんなことは当たり前ですからね。日本も早くそんな社会に育ってほしいものです。

 

皆さんも一度、年休を取得することについてゆっくり教員同士で話し合ってみてはいかがでしょうか。そうやって話し合いをしていくことで、きっと今より働きやすい環境になっていくはずです。

 

 

それでは今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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