学級経営 教員・教育関係

【これだけは知っておいて!】学級崩壊になる前の対応が大事!

2019年1月30日

 

こんにちは、今回は【これだけは知っておいて!】学級崩壊になる前の対応が大事!というテーマで記事を書いていきます。今日は、小学校で起こっている深刻な問題である「学級崩壊」についてお話していきます。教員を目指している方は、必見です。最後までご覧ください。

 

こんな方におすすめ

  • 学級崩壊の原因を知りたい方
  • 学級崩壊しないために気をつけることを知りたい先生方
  • 学級経営を円滑に進めていきたいと思っている先生方

 

 

学級崩壊とは何か?

 

学級崩壊とはどんなものか知っていますか。長年教員をやっていると、所属校のどこかのクラスで必ずと言っていいほど起こっています。教員の方なら、一度は目にしたことがあったでしょう。教員以外の方でも、ニュースなどで耳にしたことがあるかと思います。

 

学級崩壊とは、その名の通り、学校の中のある学級(クラス)が崩壊し、学級として機能しなくなってしまうこと。ここで言う崩壊とは、教師の指示が全く子どもに聞き入れてもらえなくなり、授業が成り立たなくなってしまう状態のことです。本来であれば、教師の指示の元、子どもたちは学校の中でのルールや学級での約束事などを守りながら毎日を過ごしています。当然、ルールがないと学校として、学級として成り立たないわけですから、きまりを守ることができないと集団生活などできるはずがありませんからね。

 

しかし、学級崩壊をしたクラスの子どもたちの状態はいつもの賢い子どもたちではなく別人になってしまっています

 

授業中の立ち歩き

教室の飛び出し

そこらじゅうでの勝手な私語

けんか・トラブルの連続

 

まさに無法地帯状態と言えま何度、教師が注意しても聞く耳を持ちません。反抗的な態度をとったり、時には教師に対して暴力を振るってくることもあるかもしれません。それでは、なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか。

 

「先生が優しすぎるから、なめられてしまうのではないか。

先生が厳しすぎて、子どもたちが反発しているのではないか。」

などという意見も聞こえてきそうで、そういう一面もないとは言えません。しかし、そういったことだけが原因ではなく、様々な要因が重なり合っています。それでは、詳しく学級崩壊をしてしまう原因を考えてみたいと思います。

 

 

なぜ起こるのか 原因の分析

 

学級崩壊は一言で言ってしまうほど簡単ではなく、たくさんの要因が絡んでいる問題であることを前提としてお話していきます。

 

時代背景によるもの

 

別記事でもお話しましたが、近年の教育業界では、新規の教員の採用が増え、ベテランの教員が一斉退職している時期であると書きました。少子高齢化で子どもの数が減っているので、教員の数も将来的には少なくなっていくでしょうが、それはまだもう少し先のようです。近年は若い先生が急激に増えすぎたという背景があります。

 

そうです。

「教員の若年化」という問題があるのです。

これはどういうことかというと、経験の浅い若い先生の数に対して、ベテランの先生の数が圧倒的に少なくなっているということです。これでは、学校、学年、学級の運営のスキルの継承がスムーズに進みません。あらゆる観点で物事を考えて対応できるベテランの先生が少ないと学校は機能しません。さらに、近年の学力低下を問題視し、授業のカリキュラムを大幅に増やしました。授業数が増えても、教員が日々こなしていく仕事量は減っていません。

 

すると、どうなるかというと、先生方が子どもの指導技術の習得・授業研究に費やす時間が取れなくなってしまうということ。こんな状態で、ゆっくり学級経営などできません。子どもへの日々の適切な指導ができないのも納得です。まさに、教員の多忙化」も学級崩壊を引き起こす原因と考えられます。

 

そして最後に、子どもの多様化、複雑化」という問題です。近年、対応が難しい子どもが増えてきました。

発達障害の子どもであったり

家庭環境が複雑な子どもであったり

被虐待の疑いのある子どもであったり

とその原因は様々です。

 

上記なような子どもに対しては、ていねいかつ慎重に対応していかないといけません。担任が気づかなくても、必ず表面化してきます。子どもはしんどくなってくると、必ずなにかしらのサインを出すようになるものです。このような子どもたちを支えていくには、担任だけでなく、学校全体で見ていこうという心構えが必要です。そうなると、他の仕事に影響が出るくらい大半の時間を要してしまいます。

 

間違った対応をしたり、対応が後手だったりして、さらに子ども、保護者とこじれてしまうこともよくあります。そうなったら、もう泥沼です。本当に大変な時代になったと感じます。世の中の教員の風当たりも厳しくなりました。ちょっとしたことでも、保護者からの問い合わせがあり、対応の追われてしまいます。特に保護者対応の経験もスキルもない若い先生方にとっては、簡単にかなりきついです。メンタルがやられてしまい、子どもの指導にブレが出てきてしまい、学級がよくない方向に向かってしまうということもありえます。

 

こういった時代背景がまず隠されているということを知っていていただけたらと思います。

 

 

経験・指導力不足

 

 

若い先生はしかたがない部分はあるでしょう。本来なら、経験のある先生が丁寧に学級運営のやり方を教えてあげられたらいいのですが、余裕のある先生などほとんどいません。みんな忙しすぎて自分のことで精一杯です。学級経営をしていく際、子どもへの指導はとても大切です。ルールを守らせること、できたらほめてあげること、できていないことは根気強く指導することなどは、学級経営の肝であると言えます。

 

長年、各学級の様子を見ていると、きっちりそういったことができている先生方のクラスの子どもたちは非常に落ち着いています。でも、ルールの詰めが甘かったり、子どもに十分に響かない指導のしかたをしている先生のクラスは共通して騒がしいです。そして、先生がいつも怒っているようなクラスです。そのうち、その指導も子どもたちに全く入らなくなってきて、学級がつぶれていってしまうのです。

 

 

学校・先生不信 前年度から続くケース多い

 

それでも、なんとか1年持ちこたえたようなクラスを次年度に引き受けるとします。その学年の子どもたちは、先生の指示は聞かなくてもよいという昨年度の誤学習をしてきています。だから、次の担任が新たに規律あるクラスに立て直すのに本当に大変なことです。立て直せたらいいですが、一部の子どもたちの中に先生への不信感が強く残ってしまっている場合、指導自体入らなくなっていることもあります。保護者の信頼も失っていて、うまく協力していくことが難しくなっているかもしれません。

 

新しい担任に変わったとしても、学校不信、先生不信はなかなか払拭されません。特に、学級をかき回してしまう子どもの保護者の不信感がある場合は、一筋縄ではいきません。子どもの問題行動を学校の責任と捉えてしまっているので、協力をして欲しくても、してもらえない状態に陥っています。そこからの1年は地獄ですよ。学級崩壊のカウントダウンは始まっていると言っても過言ではありません。

 

 

発達障がい等の特性を持った子どもがクラスに偏ってしまうこと

 

近年、発達障がいについての理解は進んできているものの、まだまだ世の中に広く浸透しているとは言えません。そういった子への理解や配慮がもっと進むべきですが、いざ担任として関わると大変だと感じることも事実です。また、それが多数ともなれば、かなり学級経営を難しくさせるでしょう。なぜなら、発達障がいを持っている児童が多いクラスは、色々と配慮を必要とするところが多く、きめ細かな対応が問われるからです。(もはや、学校では配慮するのは当たり前というレベルの話かもしれませんが)

 

クラス全体への支援と、個別の支援の両方が必要になり、常に、子どものつまづき、困っているところなどを把握しておかなければなりません。間違った対応をしてしまうと、子どもがしんどくなり、たちまち、クラスが荒れてしまうことだってあり得るからです。また反対に、クラスが荒れてきて、その影響を一番に感じ、しんどくなってくるのが、発達に課題を持った子どもです。ということは、その子たちが過ごしやすいクラスになっていて、落ち着けているかどうかが学級の安定度のバロメーターと考えてもよいです。

 

こういった子どもの対応をしていくには、やはり知識と経験は不可欠なので、経験豊富な先生方が、そういったクラスを受け持つことが多いです。

 

 

学級崩壊のサインは必ずある!

 

上記で書かせていただいた内容で、どういった背景があるかがわかっていただけたと思います。でも、それが具体的にどういった手順で学級崩壊へとつながっていくのか、まだわかりにくいところがあるかもしれません。一体どういう風に子どもと関わってきて、

子どもが言うことを聞かなくなるのか。

子どもが暴れてしまうのか。

そういったメカニズムを簡単に説明していきます。勘違いがないように付け加えますと、学級崩壊は1日、2日で起こるようなものではありません。子どもたちが学級担任の行う指導に対して、

納得できずに反発し先生嫌いになっていったり、

先生の言うことを聞くのが馬鹿らしくなっていったり

して徐々に崩壊していくものです。

 

「どうして、いつもおれだけ怒られるんだ。悪いのはおれだけじゃないのに。」

「おれも前から先生の言うことが納得できなかった。もう言うこと聞くのはやめようぜ。」

「どうして、〇〇だけ注意されないんだ。一生懸命やっている自分は損だ。」

子どもたちから、こんな言葉が出てきたり、こんな気持ちにさせてきたら、崩壊に近づくサインと言えます。トラブルやけんかがあった時に、子どもと話し合って、子どもの顔を見ればすぐにわかります。きちんと納得できているかどうか。自分のしたことを正直に振り返ることができているかどうか。こういうところを見逃してはいけません。こんな状態を見逃してしまっていると、子どもの気持ちはどんどん先生から離れてしまいます。そして、子どもの先生への信頼が揺らいできて、問題行動がエスカレートしていくのです。

 

 

学級崩壊とは、

担任と子どもとの信頼関係が崩壊してしまって起こる現象であると言えます。

 

よければこちらの記事も読んでください。

小学校の学級経営は子どもとの距離感をつかむことが大切

【自然と学級運営がうまくいく】一人一役システムを紹介します!

 

 

学級崩壊をさせない重要テクニック 2つ

 

学級崩壊させないための重要なテクニックを2つ、紹介します。

 

子どものほめ方、叱り方

 

日々の生活の中で、子どもは、ほめられたり、叱られたりする中で、成長していきます。

「子どもは、叱ってはいけない、ほめて育てよう!」

いう方もいらっしゃいますが、ほめるだけでは育ちません。よくないことをしたら正しい方法を教えてあげなければならないからです。特に、人(自分自身も)を傷つけることは絶対に許してはいけません。

 

でも、だからといって、叱るだけで育つのかというと、そうでもありません。ほめること、叱ること、どちらも大切なので、その正しい方法をお伝えしていきます。

 

ほめるところを見つける

 

子どもをほめることは、実は結構難しいです。なぜなら、子どもができていることは大人の感覚として当たり前のことが多いからです。例えば、

授業が始まる前に筆箱と教科書を用意できていた。

トイレのスリッパを片づけることができた。

大人にとっては普通ですが、子ども(年齢にもよりますが・・・)ができているということはすごいことですよね。なので、子どもの日々の変化をしっかり見て、できるようになっていること、成長してきていることを見つけ、すかさずほめてあげるようにします。特にできるようになってほしいところは、意識してほめるようにするとぐっとできることが増えてきます。

 

 

ほめるメリット

 

では、ほめられることで、子どもはどう変わっていくのか。子どもにとって、ほめてもらえるということは自分の存在が認められている!という安心感になります。私たち大人が、「あなたのことを大切に見ているよ」というメッセージとにもなります。子どもにとってはとても嬉しいことです。

 

そして、ほめられることで「自分はやればできるんだ!」という気持ちが育ちます。

また、「次も頑張ってみようかな!」というエネルギーにもなります。

 

まさに子どもの頑張る源がほめられることであり、ほめられることで、子どもの心が健やかに育っていきます。そうやって、大人と子どものきずなも深まっていきます。

 

 

効果的なほめ方

 

では、具体的にどんな声をかけてほめてあげると効果的か考えてみます。私の経験上、

ほめるときは、感情的にほめること!

驚いたようにほめたり、

満面の笑みでほめたりすると、

相手に伝わりやすいです。きっと嬉しそうに聞いていますよ。学校ではクラス全体で

「〇〇さんがこんなことをしてくれたよ!すごいね!」

などと言ってあげましょう。

 

また、その子に関わっている他の先生方の前で報告してあげるのもよいでしょう。

「〇〇が、こんなことをしていたのですよ!すごいですよね?」

と報告すると、大抵の先生は、大げさに

「○○さん、すごいね。そんな話を聞けて、嬉しいです。」

と喜んでくれます。こんな風に周りから、ほめられて、認められる経験をいっぱい積ませてあげることです。ほめることは、学校全体で共有してあげると効果的です。ほめられた子はきっと、次も頑張ってくれるはずです。

 

 

叱るところは1つにしぼる

 

次は、叱り方について考えていきます。さきほど、ほめることは難しいと言いましたが、叱ることはどうでしょうか。正直ほめるよりも簡単ですよね。いっぱい子どもの気になるところが見つかりませんか。見つかりますよね。でも、これは当然です。なぜなら、相手は子どもだからです。

 

子どもは初めからなんでもかんでも完ぺきにできるわけではありません。言われたことをすぐにできるようになるわけでもありません。自分なりに色々考えながら行動していて、その行動が正しくない時もあるものです。私たち大人は、それくらいの感覚で、大らかに子どもを見てあげることが大切です。

 

ついつい、私たちがよくやってしまう間違いが、1つ1つ

できていないところを指摘してしまうことです。

 

これでは、子どもはやる気をなくしてしまいます。子どもなりに頑張っているところもあるのに、できていないところばかりを指摘されていたら、しんどくなってしまいます。ここは、ぐっと大人が我慢をしましょう。そして、できるようになってほしいところを1つだけ決めて、子どもに声をかけてください。そうやって一つできたら、また一つと増やしていけばいいのです。

 

子どもの立場に立って、叱りどころは1つに絞りましょう。

 

 

効果的な叱り方

 

これは許せないなと思った場面があった場合は、叱らなければいけません。これを許してしまうと、子どもは、正しいこと、よくないことの判断ができなくなってしまうからです。では、どのように叱ればよいか。

まず、やってはいけない叱り方は、感情的になって叱ること。

 

「何度も同じことを言わせるんだ

「やったらだめだと言っただろ!」

などと感情的に怒鳴ってしまうこともあるかもしれません。ついこちらがイライラして感情的に言ってしまいがちですが、これでは子どもに伝わりません。冷静に淡々と説明し、やってはいけないことの確認と、これからどうするのか約束をしましょう。

 

唯一感情的になって叱ってもよい場面があります。

それは、

人(自分自身も含む)を傷つけること。これだけは絶対に許してはいけません。

こちらが感情的になってでも本気で、やってはいけないことだと、教え込みましょう。理屈で教える余裕があればよいですが、社会の中で人を傷つけることは決して許されないことですので、二度としないと約束するまで、譲らない姿勢で臨み、絶対にやめさせましょう。

 

もちろん、子どもによっては、こちらが感情的になると、逆効果になる場合もあるので要注意ではありますが・・・

 

 

叱った後の対応が大事!

 

学校で子どもを指導するという場面は日常茶飯事です。ただし、みんなの前で感情的に子どもを叱りつけることは適切な指導とは言えません。子どもにもプライドがありますし、素直になりたくてもなれないこともあるものです。子どもの実態なども考えながら、別室で個別に指導したり、子どもの反応を見ながら、追い詰めた方がよいか、今日は少しの話で様子を見てみるかなどの判断も必要です。

 

もちろん、話が終わるときには、必ず叱られたことを理解できたか、こちらの言っていることがわかったかの確認しておくことも大事です。子どもが納得していないと子どもの中で不満や不信感だけが残ってしまい、今後の指導が入らなくなってきてしまいます。そして、必ずフォローを忘れてはいけません。フォローとは、その子に逃げ道を与えてあげること。つまり、その子の良いところを伝えてあげること。しっかりと最後は、子どもの気持ちに寄り添って話をしてあげてください。

 

では、その言葉のかけ方をお伝えします。

 

子どもの心に響く言葉を選んで話をしよう!

 

私は、今まで叱って後に、こちらの言ったことを子どもが納得せず、終えたことはありません。経験上、その子どもに響く言葉は必ずあります。

「〇〇は、こんな良いところがあるから、今回のことを反省して頑張ってしい。」

「みんなに好かれる人になってほしいから、これからも優い〇〇で、いてほしいな。」

「やればできる〇〇だから、きっとできるようになるよ。応援しているよ。」

子どもは正直で、こちらが真剣に自分のことを考えてくれていると感じれば、心を開いて話を聞いてくれます。なので、先生がそこまで、思ってくれているなら、次は頑張るよという気持ちにさせてあげることが大事です。根気強く、その子に響く言葉を探して声をかけてあげましょう。

 

よければこちらの記事も。

【小学校3年以上に有効】学級リーダーの育て方

【これで授業が静かになる】作業が速く終わった子の待たせ方

【準備・片付けが最速に】静かな給食時間の過ごし方 小学校編

 

 

けんかの仲裁のしかた

 

続いて子ども同士のけんかの仲裁のしかたについてお話していきます。これをおさえておくと、子どもからの信頼度はぐっとアップすること間違いなしです。

 

けんかの具体的な場面を設定

 

けんかの仲裁と言っても、けんかにも色々なケースがありますので、今回は、具体的な場面を設定してお話していきたいと思います。

例題

運動場で、二人の男の子がボールの取り合いになり、けんかに発展したケース。Aさんがコートのラインを入ってボールをとり、Bさんを当てた。BさんはAさんの反則を主張するも、Aさんは無視。Bさんがしつこく主張し、Aさんがつかみかかる。Bさんも怒り、つかみかかり、友だちみんなが二人に詰め寄る。その場面で担任が止めに入る。ここからスタートです。

自分なら対応するか考えてから読み進めていきましょう。

 

 

けんかの仲裁 手順

 

①子ども同士を引き離す

まずは、けんかをした二人を引き離しましょう。今日の学校現場ではけんかをしているのを放っておくことはできません。大きなケガなどをしたら大変です。教師は何をしていたんだ?って話になりますからね。止めるのは必須です。

思い返せば、数十年前、私が小学生の頃、けんかをしてしまった時がありました。なんと当時の担任の先生は、

「二人の納得のいくまでけんかをしてきなさい!」と言って、広いスペースに連れていき、けんかをさせてくれたのです。けんかの勝敗がついた時にそれぞれの言い分を聞いてくれました。勝ったか負けたかは覚えていませんが、自分的にはとてもスッキリしたのだけは覚えています。私自身このような経験から、お互いの納得のいくまでさせてあげてもいいとは思います。

 

でも、今日の学校現場で、けんかをさせるのはあきらめてください。リスクが高すぎます。けんかをしているもの同士をなだめ、ゆっくりお互いの言い分を聞いてあげましょう。

 

 

②聞き取りの際のルール

 

この時の二人の状態は、つかみ合いにまで発展しているということも考えたとき、かなり興奮していて、目をギラギラさせて相手をにらみつけるような感じになっていると思います。ベストな対応は一人ずつ呼んで話を聞いてあげる方がいいでしょうが、時間的な余裕がない場合がほとんどですので、二人同時に呼んで話を聞くという場合を想定して進めます。その際は、二人から同時に話を聞くのではなく、順番に一人ずつ話を聞くようにしましょう。

その時のルールは、決して相手が言うことに口出しはしないこと。そうしないと、一人の子が話しているときに、もう一人の子が

「そんなんしてないー」

「ちがうわ、それはお前だろ!」

などと口をはさみ、お互いがヒートアップしてしまう恐れがあるからです。あくまでも聞き取りはていねいに、落ち着いてすることが大切です。メモを取っていくのはお忘れなく!

 

 

③共感してあげる

 

けんかになるということはどっちもどっちという部分があるものですが、二人とも「悪いのは相手だ」というスタンスで話を始めてきます。当然、自分を正当化して、嘘をつくこともあるでしょう。「それは違うやろ」ということも内心あるものですが、ひとまず、担任は黙って聞いてあげましょう。そして、子どもの思いに強く共感してあげるのです。

「そうか、それは痛かったなぁ」

「いやだったんだなぁ」

「腹が立ったんだなぁ」

などと。これだけでも、子どもの気持ちは随分収まってきます。先生は僕の気持ちを分かってくれている・・・と子どもの表情を見ると変わってきます。

 

④経緯の整理と、食い違いの確認

 

二人の話を聞いたところで、けんかになった経緯を整理してあげましょう。聞き取りの際のメモの取り方ですが、時系列で、人物の絵をかいてあげたり、子どもの言った言葉を記録メモとしてとっておくとわかりやすいです。うまく説明できない子や理解が難しい子などがいるので、そんな子たちの助けにもなります。また、万が一、子どもが家に帰って保護者に違う証言をしたとしても、その記録メモにそって保護者に話せば説得力が増します。さて、聞き取りの内容ですが、一つ一つキーになりそうな出来事を子どもに確認しながら進めます。

「そのラインの中のボールをとったから、いやだったんだね。」

「きつく言われたのがいやだったんだね。」

などと。もし、お互いの主張に食い違いがあれば正していきましょう。証拠集めをしないといけないかもしれませんので、証人を呼んでくる必要もあるかもしれません。

 

「Aさんはボールがラインの中に入っているのに、ボールをとってBさんを当てたんやね。」

「Bさんは反則やーときつく言ったんやね。」

ポイントをおさえながら話を整理していってあげましょう。

 

 

⑤お互いにどうすればよかったか振り返らせる

 

初めてけんかの仲裁をするという時についついしてしまう担任の失敗は、

「あなたの〇〇が悪い。」

「あなたは〇〇をしたのが悪い」

と答えを全て担任が言ってしまうところです。これは子ども自身に振り返らせるようにしましょう。こちらが言ってしまうことではないです。それぞれのやってしまったことを、自然に振り返らせてあげながら、こちらで整理していくうちに、少しずつ落ち着き、わかってくるものです。

「あー自分も悪かったかも」と。そこまでいくと、あとは、

「どうしたらけんかをせずにすんだのか?」

それぞれに自分に別の方法がなかったのか考えさせ、話させます。

 

「ぼくは、Bに言われてすぐにラインの外に出たらよかった。」

「ぼくはAにもっと優しく言えばよかった。」

このような言葉が出てきたら二人とも振り返りができていると判断できます。あとは、二人に相手に謝るか決めさせます。謝ると決めたら順に言います。お互いに「ごめんね」と言えたらOKです。

 

 

⑥納得感が持てているか

 

これで終わりそうなものですが、最後にもう一つ確認があります。それは、A、Bともに納得できているのかどうかです。叱り方のところでも、書きましたが、けんかの仲裁も同様に、子どもの納得感は非常に大事です。

それぞれに、

「もう話は終わりでいいか?」

「本当にあなたは納得できているか?」

「できていないなら今のうちに正直に言っておこうな。」

と再度念押ししておきます。これでどちらともよい表情で納得できていたら、もう大丈夫でしょう。この問題は終わりと判断してよいです。しかし、納得できているか確認がないまま話を終えると、どちらか一方がまだ心にしこりが残ってままになっていて、そのあとも引きずってしまうことがよくあります。

 

家に帰った後、保護者に相談する子もいるでしょう。そうなると、放課後に保護者から連絡があったり、次の日の連絡帳に何か書かれていて、学校で再度、子ども同士を呼び出して、対応をし直さなければならなくなります。片方の子どもが納得をしていたとしてもです。また、違う証言が出てくる可能性もあります。納得していないと子どもはあれやこれやと理由を探して、話をややこしくすることがあったりもします。随分と昔の話を蒸し返してきたりうるケースもあります。

 

話し合いが終わった後は、必ず、お互い納得できているかどうかの確認を忘れずにしましょう。

 

 

⑦保護者への報告を検討する

 

子ども同士のけんかはよくあるものなので、その都度保護者への報告をしていたら、きりがありません。なので、どのような場合に報告するかしっかりと自分の中で基準を持っておくことが大事です。一応参考までに私の基準をお話します。

まず、必ず報告が必要なのは、怪我をした、させた場合です。ここは議論の余地なしですね。

次は、暴力をふるった場合はどうか。これは、程度にもよりますが、基本、相手に暴力をふるっているなら、報告します。

もちろん、ふるわれた方にもです。

では、今回の例題の件はどうか。私なら報告しません。暴力まではいかず、つかみあいということなので、報告はしません。(懇談時には話をするでしょう)ただし、服が汚れたとか、破れたとかがあれば即報告しますし、どんな保護者なのかによっても報告する、しないは変わってくるでしょう。

学校での出来事は全て知りたい方や学校での様子が心配だという方には必ず一報入れます。ということは、もう一方の保護者にも報告をするということです。片方の保護者だけ報告するというのはやめておきましょう。学校であったことは、できる限り、ていねいに報告しておくほうが保護者としては安心ではないでしょうか。その方が無難ですよね。

ただ、伝えるときはその出来事のことだけでなく、ちゃんとフォローもお忘れなく。最近頑張っていることや良いエピソードなんかも話してあげると保護者は安心しますし嬉しいものです。こういったことの積み重ねが、子どもからの信頼、そして保護者からの信頼につながります。この記事以外にも、問題行動をやめさせる方法を書いた記事もあります。

良ければ、読んでください。

【もうこれしかない】小学校で子どもの問題行動をやめさせる方法

 

 

どうやって立て直すべきか

 

ここまで学級崩壊をさせない2つのテクニックを紹介してきましたが、それでも、学級崩壊が起こってしまった場合はどうしたらよいでしょうか。学級崩壊という状態になってしまったクラスをどう改善していけばよいのか考えていきたいと思います。

 

ずばり結論から書きますが、学級が傾き、その後

立て直したクラスを私は一度も見たことがありません。

それほど、難しい問題であると知っていただきたいです。崩壊してしまったものは、もう仕方がないことです。過去には戻れないので。なんとかこの最悪の状態を打破し、現状より悪くさせないために、対応を考えていかなければなりません。

まず、学校全体で対応策を考えてもらいましょう。学年の先生に相談をして、学年で対応して解決するレベルではないことは明白です。対応策として、現実的なことは、他の先生方の教室への入り込み支援でしょう。なによりも、子どもたちが安心、安全に授業を受けることができるようにしなければなりません。静かに授業を受けることが難しい子もいるかもしれませんが、複数対応で声かけしつつも、励ましながら、乗り切っていきましょう。

 

それでも難しい場合は、個別対応で学習保障をしてあげましょう。また、担任の先生の負担を減らすために、他の先生が代わりに授業を受け持つという手もあるかもしれません。クラス担任と子どもの関係が壊れてしまっているので、もはや担任の話を聞く耳を持っていないでしょう。この対応ができるかどうかは、学校によっても変わるので、難しいところもあるでしょうが、子どもたちの学習を保証すると考えた場合は考えてもよい対応策でしょう。

 

思い切って、静かに授業を受けることが難しい子の保護者に授業に入ってもらったらどうか?この方法は、その場しのぎですが、間違いなく効果はあります。ただ、毎日入ってもらうということは難しいのでしょう。ただ、根本的な解決にはなりませんが、その時間だけでも落ち着いて過ごせるなら、頼んでもいいでしょう。じゃあ一体どんな解決策があるのか?

 

 

いっそのことクラス替えをせよ!

私が現在唯一思いつく対応策がこれです!いろんな意見、反対などありそうですが、もうこれしかないでしょう。学年のクラスを再び、ミックスするのです。保護者に理解してもらうのには大変でしょうが、学級が落ち着き、学年がまとまるなら、思い切ってやってみるべきです。きっとわかってくれるはず。もう古い固定観念は捨て、クラス替えもいつでもできるようにしたらいいんです。

 

それが子どもたちのためになるのですから。もう1年なんてくくりはいらないのですよ。

 

 

なによりも崩壊させないことが大事!

 

よほどの学年、クラスではあっても、学級がスタートして、すでに学年崩壊、学級崩壊していることはまれです。ほとんどが、2学期くらいから学級が傾き始め、崩壊が始まるケースが多いでしょう。では、学級崩壊させないためには、先ほど紹介した2つのテクニックが生かされているか確認してみてください。さらに、子どもの実態をしっかり見て、できていること、できていないことを正確につかみ、その実態に合わせた学級のルールを徹底していくことです。このあたりのことがきっちりできているか再度見直すと良いでしょう。

 

日々の子どもとの接し方、関わり方を考え続けることはなりより大切です。しっかり子どもを観察し、試行錯誤を繰り返し、悩みながらも、子どもに響く言葉を考え、真摯に向き合っていれば、子どもたちは変わってきます。本来の子どもは素直で、意欲的で、先生が大好きで、叱られても、しっかり振り返りができ、頑張ろうとしてくれます。

 

もちろん、いろんな背景を持った子どもたちがいるでしょうから、簡単ではありませんが、それでも私はそう考えています。力のある先生なら、どんな学年、学級を受け持っても指導力でなんとかできることが多いです。若い先生には難しい部分はありますが、学校というチームで、うまく乗り切ってもらいたいです。どう頑張ってもうまくいかない場合があるかもしれませんが、

間違っても、担任の先生・子どもを責めることだけはしないでください。

みんなで支えあってよい学校にしていきましょう。

 

最後に、教員をしている方におすすめしたい本がありますので紹介します。その本のタイトルは、「教え上手」著者は有田正和先生です。この本で私は教育の原点を見つめなおすことができました。教員としてもう一段レベルアップするためにもぜひ手に取ってみてください。

よければこちらの記事もご覧になってください。

【初めて小学校教員をする方へ】中途退職をしないための心構えを伝えます

【ダメな教師の共通点とは】これを反面教師にして働くことが大切です

【もうこれしかない】小学校で子どもの問題行動をやめさせる方法

 

 

長くなりましたが、今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

-学級経営, 教員・教育関係
-, ,

© 2023 元教員の気まぐれブログ