今回は、小学校の学級経営は子どもとの距離感をつかむことが大切というテーマでお話していきたいと思います。
こんな方におすすめ
- これから小学校教員をやっていこうと思っている方
- 学級経営がうまくいかずに悩んでいる若い先生方
- 子どもとの関係で悩んでいる若い先生方
小学校でクラス担任をしていると、子どもとの関係で悩み行き詰まることがあります。
特に経験年数が少ない先生に多く、
「少し甘すぎるかな」
「注意が多すぎるかな」
など、気になってしまうもの。
担任が悩めば悩むほど、どんどん悪循環に陥ります。
子ども同士のおしゃべりが多くなり
→トラブルが増えてくる
→教師の指示も入らなくなってくる
→あっという間に学級全体が乱れてくる・・・
どうすれば学級経営がうまく行くのだろうか?
どうやって子どもと関わっていけばいいのだろうか?
教師と子どもの距離感はどのくらいが望ましいだろうか?
そんな悩みを抱えている方もおられるでしょう。
学級経営には正しい方法があり、それを実践していくことでうまく運営することができます。
しかし、学級のルールが浸透していなかったり、子どもとの距離感を間違ってしまうと、上記のようなことが必ず起こってしまいます。このようなことが日常的になってしまうと、結果→さらに問題行動が増えることで日々指導に追われ、さらに保護者に説明をする対応に追われて疲弊するというループ。時間が足りなくなり・・・仕事が進まない・・・帰る時間が遅い・・・まさに地獄です。(笑)
今回は、そんな状況に陥ることなく1年間過ごせるように、子どもとの適切な距離感にスポットを当てて考えていきたいと思います。どうぞ最後までご覧になってください。
もくじ
子どもとの距離感について考える
学級経営をしていくと、さまざまな子どもがいることに気が付きます。人見知りな子、大人が苦手な子、おとなしい子、おしゃべり大好きな子、ベタッとくっついてくる子、などなど。一人ひとりみんな違いがあり、それもまた個性と言えるでしょう。
大人の視点から言うと、関わりやすい子もいればどう接していけばよいか難しい子もいます。しかし、どんな子どもであろうと、学級の担任は子どもと関わり、人間関係を作っていかなければなりません。そんなとき、子どもとどのくらいの距離感で接していけばいいのでしょうか。
最後に学級経営で最も大事とも言える子どもとの距離感について考えてみたいと思います。
言葉遣いは崩さないのが基本
子どもとの距離を縮めることが目的で、時々先生が子どものことを呼び捨てで呼んだり、あだ名で呼んだりする場面を見かけることがあります。授業中と休み時間で呼び方を使い分けている先生もいます。(ふざけて遊んでいるときは、呼び捨て、あだ名で呼ぶ)基本的に、先生がこういった呼び方をすることは適切ではないでしょう。
私たちは教員であり、大切な子どもを預かっているという意識を忘れてはいけません。あだ名で呼んでしまうことで、子どものことを大切にしていないような印象を与えてしまうこともあります。先生と子どもがどれだけ仲が良くても、「友だち」になることは決してできない関係なので、先生と子どもという関係を崩さず維持していかなくてはいけないです。それが私たちの仕事ですからね。
でも、
「あだ名で呼ぶことで、親近感がわいてよいのでは?」
「その方がみんな仲良くなって学級がうまくいくよ。」
などという意見もあるかもしれないですが、それは勝手なこちらの思い込みですよ。
あだ名で呼ぶことを子どもが同意していたとしても、だからと言ってOKというわけではありません。もし、子どもを呼び捨てにしている場面を保護者の方に見られた場合、保護者の方はどう感じるでしょうか。中には
「なぜ、うちの子どもが呼び捨てで呼ばれているんだ?」
「先生なのに、ていねいな言葉を使えないのか?」
「あの先生は、あんな言葉遣いしかできないから、きっと子どもにもていねいに接することができていないはずだ。」
などと悪い印象すら与えてしまうことも十分あり得ます。
先生という立場を忘れず、お互いていねいな言葉遣いで呼び合える関係を目指しましょう。
体の距離は慎重に、心の距離は大胆に
注意すべき点は、子ども同士の体の距離感です。むやみやたらに触ったり、冗談でも、デリケートなところには触ってはいけません。特に男の先生は、女の子には触らない方が無難です。子どもが悲しんでいるとき、頑張っているときに、肩を寄せてあげたくなることもあるかもしれませんが、やはり相手は異性なので、触るべきではないです。
時々、ベタベタとくっついてくる子どももいます。だからといって、こちらも触ってはいいというわけではありません。そんな子を無理やり引き離す必要はないですが、気をそむけるなどしてさりげなく離れるようにした方がいいです。
それから当たり前ですが、体罰はもってのほかですよ。一瞬で首がとびますので気を付けましょう。
体の距離感は気を付けなければなりませんが、心の距離感はどこまでも近くてよいでしょう。それだけ子どもが心を開いているということにもなります。
体の距離は慎重である、心の距離は大胆に、そんな関係を目指しましょう。
適切な距離感を見つける方法
まず、子ども一人ひとりと、何気ないコミュニケーションをとるようにしましょう。関わり方は、その子のよいところを見つけてあげることです。
「〇〇さん、絵が上手だね。」
「〇〇さんは、いつも人の目を見て話が聞けてすごいね。」
などと、その子の良さを見つけてあげるところから、コミュニケーションを深めていきます。きっと、人間関係も少しずつほぐれてくるはずです。
それと同時にすることは子どもと一緒に遊ぶことです。子どもたちが休み時間にどんなことをして過ごしているのかを観察し、一緒に入れてもらって遊ぶことです。外でドッヂボールをしているところを混ぜてもらったり、なわとびをしているグループと入って行ったりするのです。好きなことをしている子どもたちと一緒に過ごすと、すぐに打ち解けやすく、子どもの良さ、または先生のすごさも見つけてもらえるはずです。
その後は、
「先生、次の時間も来てくれますか。」
って声をかけてくれる子がいます。こうなったら、ぐっと距離は縮まります。
外遊びをする子ども以外に、教室でおしゃべりしている方が好きな子もいます。そんな子どもたちとの関わりも作っていきましょう。教室では、自然に子どもたちの話にうなづいてあげたり、笑ってあげたりして話題に合わせて話を聞いていってあげます。きっと、楽しそうに色々話をしてくれると思います。もちろん、子どもによっては嫌がる子もいますので、そのあたりは空気を読みながらすっと退散することも大切です。
こういったことを続けていれば、すぐに子どもから信頼を得られ、よい人間関係を作る基盤ができてきます。少々のことで、叱ったり、指導したりするくらいで、嫌われたり、そっぽ向かれたりすることはないはずです。
平等にはいかないが、公平感は持たせよう
学級内で子どもたちと関わっていると、どうしてもたくさんの関わりが必要な子どもに手がかかりがちです。そうなると、自分一人でなんでもできてしまう子は先生に関わってもらえなくなってしまいます。
そんな子どもたちでも
「いつも先生は、〇〇さんのことばかり気にしている。」
とすねてしまうこともあります。先生の立場として、手をかけてあげないといけない子ばかりに目が行きがちですが、やはり周りの子も寂しい思いをしていることを知っておかなければなりません。
日頃から、あまり関わらない子への声掛け、気配りを忘れず、
「〇〇さんがいるから、このクラスはよいクラスのなっているよ。」
などとねぎらう言葉をかけてあげて、みんなのことを公平に見ているよというメッセージを発信し続けていきましょう。子どもたちの気持ちが離れてしまわないようにちょっとした配慮は忘れてはいけません。
好かれようと思って関わるとうまくいかない
でも、だからといって、子どもに好かれようと思って子どもと関わることはやめておいた方がいいでしょう。子どもに好かれることだけに意識を向けてしまうと、どうしても子どもに甘くなり、最悪子どもの言いなりになってしまう場合があるからです。
子どもは
「この先生なら、なんでも聞いてもらえる!」
とわかったとたん、
「自分の思い通りにできるぞ。」
などと思い込み、自分勝手なことをしたり、わがままを言ったりするものです。子どもは、どうしても自分に甘くなってしまうものです。
それから、好かれようと思って優しくしてしまう子を作ってしまうと、自分では無意識のうちに、そうでない子との関わり方の差が出てきてしまいます。それを周りの子どもたちにも見抜かれてしまうという場合もあり、こういったことは、平等性・公平性に欠き、学級の担任として好ましくないでしょう。
なので、特定の誰かとの人間関係を深めたいなどと思って関わっているとしたら、
「ちょっと危険じゃないか?」と私なら思います。特定の個人ではなくて、あくまでも学級内の1人の子として関わらなければなりません。特定の子どもに好かれること自体悪いことではありませんが、好かれるのはあくまでも結果です。そんなことを続けていると、いつか必ず痛い目を見ます。
学校の先生がなにより第一に考えておかなければならないことは、子どもに好かれることではなく、学級をうまく運営していくことなのです。そこに力を注がなくてはなりません。
「それじゃあ、子どもに好かれなくてもよいのか」と言えば、そうでもありません。
それなりに、子どもたちから慕われ、学級の子どもたちにも先生のことを好意的に見ている子が多くいないと、よい学級にはならないでしょう。子どもからしたら、好きでない先生の話なんて聞きたくないですからね。大事なことは適度な距離感です。
この距離感をうまく作れるようになったら、子どもに好かれようと思わなくても、それなりによい関係を作れるようになります。
トラブル仲裁は絶大な信頼を得られる!
担任の先生と子どもの関係が大きく変わるのが子ども同士のトラブル対応です。この対応のしかたによって、今後子どもたちが先生を信頼し、お互いの距離をぐっと縮め、よい関係を築いていけるようになります。
その一方で、子どもの不平不満がたまり、「なんか先生はいや。」となってしまい、信頼関係が崩れてしまうことにもなりえます。トラブル対応こそ大きな分かれ目になります。
子どもは、子ども同士のトラブルの時こそ、話を誰かに聞いてほしいものです。心の状態が、しんどい時やイライラする時に、話を聞いてくれて、気持ちを受け止めてくれて人がいるのは、子どもにとってはとても嬉しいことです。その役割を担うのが担任ですね。
先生がそういう対応をめんどくさがらず、継続してしっかりできていたら、子どもたちの先生への気持ちも変わってきます。ぐっと心の距離が縮まり、それが信頼関係となります。それができてくると、子どもは先生に叱られても、素直に受け止められる場面も増え、簡単には人間関係が崩れない強固なものになっていきます。
子どもとの距離感を意識した学級経営をしよう
学級経営をしていく中で、子どもとのより良い距離感を見つけていくのは時間がかかるものです。
子どもとの距離感があまり近すぎるのもよくないですし、離れすぎているのもよくないです。適度な距離感を先生方一人一人が許容できる範囲で見つけていくのが大事なことです。
学級運営の目標にそって、先生の正直な思いを伝えていき、それが子どもに伝わればおのずと子どもたちはついてきてくれます。
できることは子どもたちに任せてみましょう。きっと、けんかやトラブルが頻発します。
でも、そんな時こそ、先生のことを頼ってきてくれるようにしておくのです。
そこでうまく対応してあげられると良い信頼関係にもつながっていきます。
学級経営をする上で、子どもとの距離感を意識することはとても大事なことです。
みなさんも、子どもとのほどよい距離感を見つけ、子どもたちとより良い信頼関係を築き、楽しい学校生活を送っていただきたいと思います。
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今回はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。