学級経営 教員・教育関係

【一人暴走注意】小学校の学級経営は学年でそろえた方がいいの?

2020年9月17日

 

今回は【一人暴走注意】小学校の学級経営は学年でそろえた方がいいの?というテーマでお話ししていきます。

 

 

こんな方におすすめ

  • これから教員をやっていこうと思っている方
  • 小学校でうまく働いていくためのコツを知りたい方

 

今、教育現場は横のつながりを深めるために学校間で連携していくことが求めらえています。また、縦のつながりとして、幼保小中の先生同士が集まって、教科指導のこと、子どものことを共有し合う時間も増えてきています。地域や年代の垣根を減らし、子どもたちがスムーズに次の段階へと進んでいけるよう取り組んでいます。

もちろん、それは学校外だけの話ではなく、学校内でも学年チームの連携が昔に比べてより重要視されてきています。

 

その最たる取り組みが「学年でそろえる」というものです。

 

そろえるのは学級内のほとんどのことをそろえて進めていくということです。

例えば、指導方針、授業の内容、規律、進度、ルールなど。そして、ノートの取り方、宿題、教室の掲示物、言い出せばきりがないくらいあります。

では、なぜ、これほどそろえることが重要視されるようになったのでしょうか。

 

 

なぜ学年でそろえる必要があるの?

 

その原因は、主に3つあると私は考えています。

1つ目は、多様な考えが認められる社会になってきたことです。色んな考えを持った保護者が増えてきたことで、それに対応するためには、学年で連携する必要性が出てきたわけです。色んな考えというのは、突き詰めれば子ども一人ひとりを大切にしていくことでもあります。そんな中、学校に過剰な要求する保護者も増えてきたのです。

 

2つ目は、開かれた学校作りが進められたことで、より学校の様子がわかるようになり、各クラスの違いがよく見えてきたということです。情報化社会が進むことで、スマホなどを通して保護者同士がつながりやすくなり、学校の情報が入ってきやすくなりました。自分のクラスと他のクラスを比較して考えることができるようになったのです。今まで同学年であっても、1組、2組と自由な方針でやってきていましたが、今ではそれも通用しなくなり、学年バラバラなことをしているのは困るという声が増えてきたのです。

 

3つ目は、教員の権威の失墜です。もはや学校は絶対的な存在ではないというものです。学校が子どもに対して良かれと思ってやっていても、それが必ずしも正しいわけではなく、間違っていることは言っていかなければならないという風潮みたいなものが出てきたことです。さらに、学校が子ども(保護者)にとって安心できる場所ではなくなってきているという点です。子どもの自殺、いじめ問題、教員の不祥事など、学校の信用が落ちてきているともとれます。これらの問題をこれまで担任だけで対応してきたことも多く、もはや担任一人で抱えていけるものではなくなってきています。

 

 

このような理由から、教員が個人で子どもを見ていくのではなく、学年チームとして見ていく必要性が出てきました。その一つの取り組みが学年でそろえるというものです。

 

 

学年で学級経営をそろえるメリット

 

学年でそろえるメリットを一言で言えば、学年が団結し、協力して、みんなで良いチームを作っていくことにあるでしょう。それが良いクラス、良い学年、良い学校につながっていくことになるからです。もう少し詳しく見ていくことにしましょう。

 

若手の先生の底上げができる

 

そろえることが前提となっていることで、先生同士で情報共有をすることが必要になります。先生同士で共有するということは若手の先生とベテランの先生が一緒に協力して学年を作っていくということでもあります。これの一番のメリットは、若手の先生の力の底上げができることでしょう。

学級経営のことがあまりわからに若い先生にとっては、他の先生方から色々と自然に教えてもらえる時間が増えるのは、助かる部分は多いのではないでしょうか。1年目、2年目は特に話を聞く時間が多くあり、自分の仕事がする時間がうまく作れないということもよくあります。しかし、たくさんの先生方からの話を真摯に受け止めて学級経営に臨んでいると、自然に力がついてきています。若手の先生個人で考えた学級経営では、詰めが甘すぎて、子どもをうまく動かすことができないのは明白です。そこでベテランの先生からの経験をもとにしながら、一緒に学年を作っていくというプロセスがお互いを高めることになるのです。

一方、ベテランの先生にとってはどうでしょうか。若手の先生と情報共有をするのは時間のかかることであり、本音では自分だけで進めていけたらいいと思うこともあるかもしれません。しかし、ベテランの先生も若手の先生と学級経営を共に考えていく中で、意外な発見があったり、これまで凝り固まった考えがあったことに気づいたりするきっかけにもなります。お互いに良い刺激になるはずなんですね。

 

何より、学年でそろえることで、若手の先生がベテランの先生方の仕事術(授業への取り組み方、ノートのとらせ方、子どもの褒め方、叱り方、ルールの作り方など)に触れられるというのが大きな学びになるでしょう。

 

 

まとめると、学年で学級経営をそろえると、若手の先生の力の底上げができ、結果として、教育の格差をなくすということになるのでしょう。若手の先生の力が伸びれば、それだけ学級が落ち着いた良いクラスになってくるともいえるわけです。

 

 

保護者の不安が減る

 

学年がチーム一丸となって学級経営を進めてくる、つまりクラス間に大きな違いがない方がよいと保護者は感じるものです。クラス担任が若手の先生であっても、ベテランの先生と連携してくれていると思うと安心できるのは当たり前のことでしょう。

 

 

学年間でうまく連携できていない時に、保護者からこんな声を聞いたことがあります。

「なぜ、うちの子どものクラスと隣のクラスの宿題の量がこんなに違うのか?」

「うちのクラスだけテストが遅くて、すぐに返却もされないのか?」

「隣のクラスはボールペンがOKなのに、うちのクラスはなぜダメなのか?」

「隣のクラスの教え方とうちのクラスの教え方が違っているのはなぜか?」

 

学年間でこのような違いがあるのはおかしいのでは・・・

学校も間違ったことはするものなので、言いたいことを言っておくべきだ・・・

このような声が挙がると、保護者から先生にどんどん意見や質問が出てくるようになります。

 

今や簡単に保護者同士がSNS等で情報交換をしており、他クラスの情報まで早くつかめるようになっています。良い意味でも悪い意味でも今の保護者はよく見ておられます。もはや学年間の情報は、保護者に筒抜けだと思っていた方がいいです。

 

なので、クラス間の違いがあるとすぐに、あれ?となって、疑問や不満がある方がどんどん出てくるのです。そのたびに担任も説明を求められるわけですから、きっちり理由をこたえられないといけません。

 

こういったことを未然に防ぐためには、学年間でそろえておくこと以外にないでしょう。

特に、学年に双子の兄弟などがいる家族は、特に気をつけてあげてほしいものです。兄弟が全く違う宿題をしていたり、学校で習っている、習っていないという話になったら保護者も混乱します。

(もちろん、子どもが聞いていなかったというケースも考えらえますが。)

 

学年間でそろえていることで、保護者からの学年への不平、不満は少なくなることは間違いないでしょう。

 

 

準備物の用意を分担できる

 

学年でそろえて進めていくとき、各教科の授業準備も分担しあうことができます。

例えば、クラスが3クラスあれば、1組の先生は社会の準備を担当する、2組の先生は理科、3組の先生は体育などと事前に決めるのです。先生は各自、その担当教科のおおまかな進め方を考えてもらい、ノートかプリントにまとめて他の先生に渡すのです。例えば理科で準備物が必要な場合は、その先生が準備をしておきます。社会で見学に行くのなら社会の担当の先生が連絡調整をするといった感じです。

 

授業で使うプリントや宿題プリントも教科担当ごと準備をすればいいのでとても助かるはずです。自分はプリントを使って授業を進めたいと思えば、他のクラスの分も一緒に印刷して渡してあげるのです。もちろん、もらった先生もプリントをすぐに使わないとしても困ることはないです。たくさんのプリントを教室の棚の中にしまい込んでおけば、いざという時に使うことができ、特に自習の時に重宝するでしょう。

 

教科の分担については、どの程度まで詳しく作るのかはその時の話し合いによっても変わってきますが、板書計画、作成したプリントを見せてもらってりしてかなり助かった記憶があります。教科の準備はけっこう時間がかかりますので、分担しあって進めていけるのはよいと思います。

 

これは何も学年でそろえていなくてもできる話ではありますが、そろえるからこそ共有しようということにもなりやすいのです。ベテランの先生にいつもいつも

「教科の計画を見せてください」

「板書計画見せてください」

などと言いにくいですよね。

でも、学年でそろえておくとそれが自然にできます。

 

 

学年で学級経営をそろえるデメリット

 

自分のカラーが出しにくい 

 

学年でそろえることは、学年のルールを作る事であるので、それは自分のクラスカラーを出しにくくなるということでもあります。学級でこんな取り組みをしたいという熱い思いを持っていたとしても、まずは学年として動く意識が求められるので、オリジナリティ溢れるクラス経営だけを付き進めることは難しいでしょう。

 

学級通信

 

その一つが学級通信です。

仮に自分が学級通信を出したいと思っていても、他の複数のクラスの先生が出すつもりがなかったら、自分だけ通信を出すことに躊躇するかもしれません。

1クラスだけ通信を出すと必ず他のクラスの保護者が

「私のクラスも通信を出してほしい」

という意見を他の先生におっしゃっていきます。

そうなると通信を出すつもりのない先生がしかたなく出すということもあり、なぜか出している自分のせいなのかと思ってしまいます。

 

まぁここは意見が分かれるところで、

「あなたのクラスだけ通信出してもいいわよ」

と言ってくれる先生もいれば

「1クラスだけ通信を出すのはよくないので、学年で統一して出さないようにするべきじゃない」

という意見の先生もいます。

 

私個人的には、学級通信を出したい派なので、学級通信までそろえる必要があるのか難しいところですが、仮に自分が出さずに、隣のクラスが出していても別に気にならないタイプです。

とりあえず、出す出さないで話がまとまらなかった場合は、学級通信は出す方向にしておいて、数を自分で調整すればよいと思います。

 

 

子どもの意見を反映しにくい

 

クラスの子どもたちと話し合って学級のルールを決めることがあるでしょう。学年で大枠が決まっていても、学級でしっかり話し合った結果出た良い意見を、

「学年で決まっているからダメ」

と無下に断ってしまうのももったいない気がします。

 

例えば、家から本を持ってきて読書の時間に読むのはどうか、ボールペンを持ってきて使うのはどうか、雨の遊び道具を持ってきてはどうか、など学級で考え、話し合う時間を作ることは私は大事だと考えています。

そこで練りに練って考え、みんなで導き出したことなら、一度実践させてあげてもよいような気がします。

 

ルールがあるからダメではなく、自分たちでルールを作って守っていくことの方が大事だと思うのです。本来そうやってルールは作っていくべきなので、最初から学年で決めているルールをみんなに守らせるというのは、やり方が間違っています。

 

でも、一つ一つルールを話し合わせる時間もないのも実情です。だから、学級のルールは学級で作る方がよい場合もあるのです。

 

でも、学年で決めてしまっている以上、子どもから出た意見を取り入れるのが難しくなるというデメリットが出てきてしまいます。

これも子どもの意見を大事に考えている先生なら特に感じる部分ではないでしょうか。

 

 

話し合う時間が多くなる

 

これは先ほどのこととも関係しますが、学年で進めていく以上、何か新しいこと、違うことをするたびに、確認が必要になるということです。これがけっこうめんどくさいんですねw

すぐに決まりそうなことでも、けっこう色んな意見が出てきて、すぐに結論が出るなんてことは少ないです。

 

私の場合、だんだん疲れてきて、もうどっちでもよいと思ってしまう時もありましたw

 

コンパクトに話を進めて決めていける学年ならそんなストレスも少ないですが、すぐに話がまとまらない学年チームも多いのです。もちろん、じっくり話し合うことを否定しているわけではないですが・・・

 

時間をかけて話し合いたいポイントって結局人によって違うので、そこは協力していかないといけないことなんですが・・・自分で決められたらいいのにって思うこともこれからけっこうありますので。

 

 

1人暴走はどうやって起こるのか

 

これだけ学年で協力していこうと決めていても、そうはうまくいかないものです。しばらくすると、学年の中の一人の先生が勝手なことをしてしまうのです。と言っても、その先生は勝手なことをしている認識がなかったり、、ルール内でやっていると判断していたりするんですね。こういったことは往々にして起こりえます。

 

こうなる原因は、色々ありますが、私が経験してきた中では次のようなケースです。

その先生の学級だけ大変な状態にある

学年でそろえるべきことの詰めが甘い

学年間の先生の関係がうまくいっていない

などです。

また、その学級の先生が特に優れた能力を持っている、個性的である、という時にも起こりえます。

 

 

こういうことが起こると、学年の主任も内心穏やかではありません。

しかし、主任としていきなり怒り出すわけにもいかないでしょう。

 

黙ってある程度黙認するべきなのか

主任らしくズバッと正していくのか

 

ここでのお互いの話し合いの結果によっては、この後、学年がうまくいくか、バラバラになるか、決まってくると言ってもいいでしょう。バチバチやり合ってその後、学年がうまくいったという話は聞いたことがありません。大抵、対立構造になってしまって学年がギクシャクしてしまうでしょう。一番最悪なのは、間に挟まれた若手の先生です。先生同士もめないで!っていうのが本音です。こんな不毛な時間を過ごすことにもなりかねません。

 

 

そこで冷静に考えてみましょう。

先生の暴走というのは言葉が悪いですが、暴走してしまう先生の考え方や認識が学年で共有したこととずれている場合があります。

学級がうまくいっていない先生にとっては、学年でそろえるのが負担になっていて、だんだんできなくなってしまう。だからだんだん違うことをしていってしまうんですね。

優れた先生、個性のある先生にとっては、学年でそろえるのが煩わしいと感じてきている可能性があります。こんなやり方じゃうまくいかないっていうストレスが溜まっているのかもしれませんね。

だから、ほころびがでてくるのです。

 

 

こうなった時に重要になってくるのは、学年で決めたことは絶対に守ろうというスタンスを強く打ち出さないことです。できるだけ、その先生に寄り添って、思いを聞き出すようにし、こちらが折れてあげる方がいいでしょう。なので、その他の先生がまとまって上手に話を進めていく対策を立てていきます。

 

こうやって学年で支え合っていくことも非常に大事なことです。これが円滑にしていくコツであると私は思います。

 

 

最低限そろえておくべき学年は?

 

学年チームで進めると色んなことが起こるものです。もうそろえるのをやめようと思うこともあるでしょう。でも、そろえないとそれはそれで問題が出てくるのです。メリット、デメリットは必ずありますが、私個人的な見解では、やはりある程度そろえてスタートするべきかなと思います。何より、それが子どものためになり、学校の力の底上げにもなると思うからです。

もちろん、先生それぞれ学級でやりたいこともあるので、その辺は考慮しますが。

 

 

最後に、学年がスタートして絶対にそろえておいた方がよい学年についてまとめます。

 

ズバリそれは、1年生です。

小学一年生では、できるだけどのクラスも同じようにそろえてあげるのが望ましいと思います。新しく小学校に入学してきて、子どもも保護者も不安が大きいことから、学年でそろえてやってますアピールと、どのクラスも同じように安心できるクラスですよアピールはあった方がいいです。

例えば、その日の時間割、連絡帳の内容と書き方などです。最初の1週目は、トイレの使い方、チャイムのルール、外遊びのルール、ものの置き場所などを教えておく。2周目は、持ち物のこと、ノートの使い方、授業規律など。

1年生の担任の先生方にとっても、そろえて進めておく方が、抜けや漏れがなく、間違いなくうまくいきます。

 

その他の学年では、上記のことを全てそろえる必要はないかと思いますが、毎年の学級経営に関わる給食当番、掃除当番のシステム、宿題内容くらいは統一しておいた方がいいでしょう。

 

その他のこと、例えば、係活動などはある程度クラスで自由に決めることができると思います。

もちろん、学校の特色、子どもによって変わってくることもあるので、最終判断は先生方でしてくださいね。

 

 

今回は以上です。

ありがとうございました。

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