こんにちは、今回は【ゴールボールを体験しよう】小学校で授業をする手順を公開というテーマで記事を書いていきます。
今回の記事は、国際パラリンピック委員会公認教材をもとにして自分なりにルールなどをアレンジして書いています。
ゴールボールとは
NHK 「古舘伊知郎 魂の実況!!」ゴールボール【パラリンピック応援】 より
ゴールボールとは、視覚に障害がある人たちにために考えられた競技であり、1976年にパラリンピックの正式種目となりました。ゴールボールは、バレーボールと同じ広さ(ゴールとゴールの縦の距離は18m、選手が3人並ぶ横幅は9m)のコート内で、相手ゴールに向かってボールを投げ入れて得点を競うスポーツです。ボールは下投げで転がして投げます。
1チーム3人ずつがコートに入り、目隠しをして参加します。視覚障害の方であっても、見え方に個人差があるため、それをなくすために目隠しを着けることになっています。視覚を全く使えないので、ボールの行方を知ることができるように、ボールの中には鈴が入っています。鈴入りのボールが転がると鈴が鳴り、その鈴の音や床をする相手選手の靴の音を頼りに選手たちはボールを受けたり、止めたりします。
ゴールの幅はコートの横幅いっぱいの9m、ゴールの高さは1.3メートルあります。このゴールを3人で手や足を延ばしたり、体を投げ出したりして全力で守っていきます。守るときはコート内を自由に動いていいわけではなく、コート上の引いているライン上のみ動いて守ることができます。手で触ってラインの位置がわかるように、ラインの下にはひもが通されています。これがあることで、自分とチームメンバーの位置を知ることができ、戦略的に守ることが可能です。
自陣に転がってきたボールは10秒以内に返球しないといけないため、テンポよくボールが行きかいます。けっこうな迫力です。相手チームからのボールがどこから転がってくるのか、頼りになるのは音だけですので、試合会場では応援をすることもおしゃべりをすることも禁止されています。試合時間は前後半12分ずつです。
ぜひ、小学校の支援教育の啓発活動などで実践していただけたらと思います。これから授業の進め方の手順を説明していきます。
ゴールボールを体験しよう
授業までの準備
授業のめあてを考えておこう
この授業を実施するうえで大切なことですが、ゴールボールをする目的、めあてをはっきりさせておくことです。ゴールボールは視覚障害の方が行うのが一般的なので、やはり目の見えない方について考えさせる機会にするのが良いではないでしょうか。
例えば、目の見えない人と一緒に活動するときにどんな工夫や支援をしてあげるのがよいのかを考えさせます。視覚情報は伝えられないわけですから、その分子どもたち自身がどんなことに気を付けて関わっていけばいいかを考えさせましょう。
今回実施するゴールボールでは周りの人の手助けによってゲームが進行していくようになっています。例えば、アイマスクを付けた選手がボールを探しているときに、周りの子どもたちが、その様子に気が付き、何ができるか考えるのです。そっと声をかけてあげる子もいれば、ボールの所まで連れて行ってあげる子もいるでしょう。ボールを持ってきてくれる子もいるはずです。
また、ボールの音を頼りにゲームを進めていくのですが、おしゃべりや物音を立てていたらボールの場所がわかりません。こんな経験もしつつ、周りの手助けや協力によって一緒にゲームを楽しめることができることに気づいてもらえたらいいなと思います。
私が実施した時のめあては、目の見えない人の立場に立ち、自分は何ができるのか考えようというような感じだったと思います。本当は数時間の授業を積み上げながら少しずつその視点に気づき、助け合うことでゲームがうまく進行していくことに気づかせたいという気持ちですが、1時間の支援教育の啓発活動を想定して作った内容ですので、そのへんのところはていねいに進めていく内容にはなっていないという点だけご理解いただきたいと思います。
ルールを説明し、グループ分けをしておく
まず、事前に教室で上で説明したゴールボールのルールを確認しておいてください。
1クラスの子どもの人数を35人、1時間で体験授業を実施することを想定して考えていきます。
小学生で体験するなら4年生以上で行うのがいいでしょう。男女別で実施します。男女混合でできたらいいなと思っていましたが、子どもが高学年になると体力差もかなり出てきていますので混合は難しいでしょう。
実施する場所は体育館です。男子側コート、女子側コートの2面使って実施します。
男子4チーム(A、B、C、D)女子4チーム(A、B、C、D)を作っておきます。試合をしていないチームは、ボールを拾って渡す係と得点係と実況係の役割を与える。ボールを拾って渡す係は、声をかけて選手にボールを手渡すことと、そして、ボールを投げていない人優先にボールを渡していく役割を担う。得点係は得点をカウントしていく役割で、実況係は、点数が入った時点で「〇チームの〇〇が1点決めました。」などと試合の経過を話します。また、どんなプレーがあったのかを短く簡潔に伝えたりもさせると面白いでしょう。これらを事前に確認しておく。
準備物を用意し、コートにラインを引く
アイマスク→人数分用意できないのであればタオルなどで代用してもOK。メガネなどは外して踏まないところにおいておくようにします。
鈴入りボール2つ→鈴入りボールがなければドッジボールでもOK。ドッジボールにスーパーのレジ袋をかぶせ、テープで固定してきれいに丸めておく。これで袋がカシャカシャする音でボールの軌道がわかるようになります。
ライン下に引くタコ糸→1mのひもを8本×2コート分用意しましょう。もし、タコ糸がない場合は養生テープでもOK。手で触ってわかるようにテープ中央をつまんで山になるように盛り上げて貼る。すると触って分かります。
ゴールボールをやってみよう
45分の授業の組み立て例 1試合4分
0~5分 準備体操
5~10分 ルール説明と諸注意
10~14分 第1試合 A対B Cはボールを拾って渡す係、Dは得点・実況係
14~17分 チーム交代と準備
17~21分 第2試合 C対D Aは得点・実況係、Bはボールを拾って渡す係
21~24分 チーム交代と準備
24~28分 第3試合 A対C Bは得点・実況係、Dはボールを拾って渡す係
28~31 チーム交代と準備
31~35 第4試合 B対D Aはボールを拾って渡す係、Cは得点・実況係
35~45 振り返り
また、ボールを触れる数にばらつきが出ないよう、1試合目に前で守った子は2試合目は後ろで守るなど、1試合ごとに役割をローテーションしていくようにします。
授業で行う際のルール
1試合 4分で得点の多い方が勝ち
おしゃべり、声援は送らない
試合中は目隠しをとらず、ボール係がサポートする
ボールは転がすこと→体全体を使って助走をつけて投げること
ボールがきたら体全体で止める→突き指をしないよう、ボールが来る方法に対して手の平が向いているように取る
ラインの下にタコ糸が通している部分のみ動くことができる→片手がついている場合は手を伸ばしてもよいことを伝える
10秒以内にボールを投げる
体験授業では4人対4人で行います。本来は3人対3人で行うゲームであり、その方がよりゲームの楽しさがわかるとは思いますが、試合に参加する人数を少しでも増やさないと1時間の授業内でゲームに参加できる人数が少なくなってしまうからです。より多くの子どもに参加させたかったので4人としました。クラスの子どもの数が割り切れない場合は、5人チームもできますが、うまく交代できるようにしておいてください。
もちろん、これは一例ですので、クラスの実情に合わせて臨機応変に変えていってくれたらいいと思います。参加人数を変えてみたり、試合時間をもっと増やしてみたりしてやりやすい方法を探してください。
また、体育の授業として実施するのもよいでしょう。勝つための作戦などをチームで考えさせるのも面白いと思います。ボールを取ったらすぐに相手の体制が整っていないタイミングを狙ってみるとか、両サイドを狙って転がすとか、そっと味方にボールをパスするとか、いろんな作戦が出てくると思います。
実施してみても感想
全員が1チーム2試合する計画でしたので、けっこう時間ギリギリでした。そんな中でも、特にていねいに説明しておいた方がよかったところはボールの投げ方と受け方です。
体育館なので静かにしていても、雑音などで音が聞き取りにくいことが多いですので、ボールを投げるときは「投げまーす」と声をかけさせると守る側もわかりやすいです。
特に女子には投げ方、受け方をしっかり説明していた方がいいです。まず投げ方ですが、速くボールを転がすことができない子も多いので、助走をつけて投げることと、体全体を使ってボールを転がすコツは伝えておいた方がいいです。もし、時間があるなら、事前に練習しておいたらいいでしょう。
私の場合は練習なく実施したので、やはり途中でボールが止まってしまう子が多かったです。練習時間が取れないのでしたら、女子は少し小さいサイズのボールを使うのがよいかもしれませんね。
ゴールボールは、子供たちにとって初めてのことばかりなので、手間取ってしまう場面が多かったですが、1時間だけの授業にするのはもったいないくらい楽しんで参加していました。2時間目、3時間目と実施するともっとスムーズに進行できると思います。
良ければ一度授業の中で実施してみてください。
今回はここまでです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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