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子どもの発達障がいを認めない親の思いとは?

2018年12月31日

 

こんにちは、今回は、子どもの発達障がいを認めない親の思いとは?

というテーマで記事を書いていきます。

 

こんな方におすすめ

  • これから教員をやっていこうと考えている方
  • 子育てをしているお父さん・お母さん
  • 発達障害について興味がある方

 

発達障がいについては、考え方やとらえ方に対して、色々な意見をお持ちの方もいらっしゃると思います。安易に発達障がいのことを書いてほしくないなどという方もいらっしゃるかもしれませんが、発達障害を知らない人に、発達障害の特性や人との違いがあるのかを知っていただきたい、そして発達障害と向き合うことの難しさを理解してもらうたい、そんな思いで記事を書いていきます。

 

 

発達障がいを知らないことによる誤解が親を苦しめている

 

よくある間違いは、

「育て方がよくないからこんな子になるんだ!」と考えることです。

決して、育て方の問題ではありません。

 

発達障がいを知らない方は、少なからず「親の育て方が甘いからだ!」などと思い、もっと厳しく育てないといけないと考えがちですが、それは間違っています。発達障がいの子どもたちの特性は生まれ持った脳の機能の発達になんらかの問題があるために、社会の中でうまく適応できなかったり、人とうまく関わることができないという障がいであり、しつけとか育て方の問題ではないのです。

まず、この部分の理解をしてもらえないと、親としても「協力してほしい」「手伝ってほしい」という気持ちを素直に表せません。子どもの発達障害を認めたくないという心理の裏には、「子育てを否定されないだろうか。」「親子ともどものけ者にされないだろうか。」という不安があるものです。それは当たり前のことであり、まず、周りが受け止めてあげられるよう、広い心で接していく必要があります。

 

 

発達障害について私たちが正しく知ることで、このような親たちを救うことになります。

 

発達障害の子どもたち自身も、やりたいけれど、できないという思いがあり、やってみてもうまくいかないということが多くあり、苦しんでいるケースもあります。考えていることを実際にやってみるが、体がうまく動いてくれないという身体機能の障がいとも言えると思います。大切なことは、まず、子どもをよく見てあげ、その子がどんなことで困っているかをよく見てください。困っていることに気づいてあげられないと何もできません。そして、その後、どうやったら困らずに過ごせるかと考えてみるのです。そこから、私たちに何ができるのか考えることができます。

 

もし、身近に発達障がいの子どもがいるなら、つらい思いや経験をしている親・子どもを責めることなく、支えてあげられる人になってくれたらいいなと思います。周囲の理解と正しい関わり方を続けていくことで、親も安心して子どもと関わることができます。そんな環境なら子どもものびのびと成長できるでしょう。発達障がいを正しく理解すれば、きっと力になってあげられるはずだし、頼りになる存在になっていくでしょう。

 

考え事をしているイラスト

 

 

発達障害のある子どもは、どんな子なの?

 

物事の考え方、とらえ方に違いがある

 

子どもが字を書いているイラスト

 

子どもは生活している環境で大きく変わります。大人がしっかり愛情をかけ、世の中のルールや、人との関わり方を教えてあげることで、子どもはそれらのことを学び取っていきます。

また、遊びの中で、体を動かしたり、文字を見て読んだり、歌を聞いて歌ったりしてたくさんのことを吸収していきます。大人が手をかけてあげればあげるほど、子どもはどんどん伸びていきます。幼い頃から子どもの気持ちに寄り添い、受け止めてあげることで子どもも安心し、頑張るエネルギーに変えていくことができます。そして、心が成長していきます。

もちろん、自立を促すために、その子の状況に合わせて、自分でできることを自分でさせていかないといけません。これらの過程を小さな頃から経験させておくことはとても大切です。

 

しかし、発達障がいをお持ちのお子さんの場合は生まれつき発達の偏りがあるため、本来、家庭・地域・小学校(幼稚園・保育園)の生活の中で学びとっていくことを、うまく学びとれていなかったり、学びに時間がかかったりします。言い換えれば、物事のとらえ方、考え方が違うということです。それは、学ぶ方法が他の方とは違うということにもなります。大多数の子どもたちが学び取っていくやり方ではなく、その子独自のやり方で学びとっていくのです。

 

 

主な特性について

 

発達障がいには、さまざまなタイプがあります。主なものは、自閉スペクトラム症(ASD)、限局性学習症(SLD)、注意欠陥多動症(ADHD)、などと呼ばれています。今回は詳しい説明はせず、発達障害の子どもに現れやすい特徴をいくつか紹介していきます。

 

では具体的にどのような特性の子どもなのか、一例を紹介していきます。特性の書き方がマイナス的な印象を与えてしまうかもしれませんが、短所を長所と考えて、その子を見てあげるのがよいです。

 

学習面 

文字(漢字も含む)がなかなか覚えられない。文字をスラスラ読めるようにならない。指を使わないと計算が一向にできない。(用心深い)

 

対人面

自分の訴えを言葉で言えず、手が出てしまう。(感情が豊か)

しつこく相手にいやなことをしてしまう。(人懐っこい)

人と人が話をしている間に突然入ってきて、話をする。(人懐っこい)

自分のしたい話を一方的に話す。(自己主張ができる)

人が話しかけているのに全く聞いていないような様子でいる。

自分の世界に入り込んでいる。(集中力がある)

目線が合いにくい。

抑揚をつけて話したりすることができず、単調な話し方をする。(常に冷静である)

お世辞や冗談が通じない。(真っすぐな性格)

一人遊びを好む。(集中力がある)

 

生活面

じっとしていられず、体がずっと動いていたりする。(活動的)

常に、何か触っている、触りたがる。(興味関心が幅広い)

飽きっぽく、やっていることを途中でも投げ出してしまう。(切り替えが早い)

忘れっぽく、よくものをなくす。(あまり気にしない)

整理整頓が苦手。(あまり気にしない)

物事を順序立てて考えるのが苦手。(楽観的)

よくけがをする。(活動的)

急に予定が変わるとパニックになる。いつも通りを好む。(まじめ)

感覚が過敏なところがある。(繊細)

感覚がにぶいところがある。(気にしない)

ある特定の分野につよい興味(こだわり)がある。(集中力がある)

 

これらの特性は発達障がいの人によくあてはまるとされている一例です。

 

よければこちらの記事もご覧ください。

【発達障害ASD】ものへのこだわりが強い子どもの対応について

 

 

親は子どもに発達障害があってもみんなと一緒に過ごさせたい思いがある

 

親は子どもに習い事をさせてあげたい思いを持っている

 

発達障害と言っても色々な特性がありますので、一概には言えませんが、今回は次のような子どもを想定しています。

集団の中で過ごすことが苦手で、先生やコーチなど大人の指示を聞けず、一人で勝手遊びを始めてしまったり、周りのみんなと一緒に行動できなかったする子どもたちのことです。

 

私は教員をしていた経験上、そういった子どもたちと関わる機会が多かったのでそんな子どもたちの習い事事情に関心がありました。配慮が必要な子どもをお持ちの保護者の方は、当然ながら、

「みんなと同じように習い事をさせてあげたい」

「得意なことをもっと伸ばしてあげたい」

と願う気持ちを強く持っておられるものです。私も支援が必要な子どもたちもみんなと同じ空間で習い事をできたら素敵だなと思っています。お互いに学びになることがたくさんあり、ともに成長することができるでしょう。

 

しかし、配慮を必要とする子どもがいる保護者の方は、集団の習い事ではなく、個別の習い事を選択されるケースが多いようです。それはそれでもちろんメリットですが、私は集団で学ぶ習い事も遠慮なく選択でき、経験させてあげられる寛容な社会になってほしいとも思っています。

 

 

集団での習い事の現実 

 

プールでは

 

しかし、現実はなかなか難しいようです。例えば、プールの習い事をさせてあげたいと思っても、おそらくほとんどのプールでコーチの指示が聞けずに勝手に動いてしまったり、違うことをしてしまう子は受け入れられていないでしょう。もし、プールで事故などが起こると命に関わりますからね。運営側としては受け入れるのは難しいのかもしれません・・・

 

体操クラブでは

 

では、体操クラブではどうでしょうか。先日、息子の習い事を見に行った際、コーチの指示を聞けずに走り回っている子を発見しました。私は、「へーー支援が必要な子もこのクラブは受け入れているんだ」と思い嬉しくなりました。息子を見つつも、その走り回っている子も一緒に見ていたのですが、やはり運動中にいろんなところに行ってしまって動き回ってしまいます。たくさんの子どもたちがいる中で、一人だけ違うことをしているのは安全上好ましくありません。

 

その時は、コーチが言って聞かせていましたがなかなかおさまることもありません。仕方なく、コーチがずっと取り押さえざるをえなくなってしまっていました。その後、保護者の方が迎えに行き、その子は途中退室となってしまいほとんど運動できずに終わってしまいました。私は「何か方法はなかったのだろうか?」と胸が締め付けられる思いで見ていました。きっと保護者の方もそれ以上に切ない思いをされていたことでしょう。

 

動き回る子は、体を動かすことが好きな子なので体操クラブを選んで来ているはずです。でも、そこのルールに従えないからおさえられてできなくなってしまうというのもなんだか寂しいことです。安全上のことを考えた対応だったかもしれませんが、何か他の方法は、なかったのかなとも思います。

 

おそらく、日常的にどこの習い事でもこういったことはあり、安全上仕方なく運営側が受け入れを断るのでしょう。仮に、勇気を持って受け入れたとしても、みんなとは同じようにはいきませんので、一人の先生・コーチがその子についてあげて見てあげる必要が出てきてしまい、運営に無理が出てきてしまいます。勝手な行動があると安全上見過ごすわけにはいきませんからね。なんとも難しい問題です。

 

 

取り入れてみてほしい方法

 

そこで、まことに勝手ながら取り入れてみてほしい方法を考えてみました。体操クラブを例に考えてみました。コーチの指示を聞けずに入りまわってしまう子どもの保護者の方へ。ぜひ、これやってみてください。

そのような配慮が必要な子が体操クラブ等で運動をする場合は、いろんなハードルをクリアさせてあげる必要があります。そのような子は、初めての場所、初めてのことが苦手な場合が多いので、その体操クラブがどんなことをするのかという見通しを持たせてあげることが大切です。おそらく事前に見学はしていたでしょうが、見学時と全く同じ内容ではないはずだし、実際に運動スペースで運動をしたわけでもないはずです。なので、事前に、やるべき学習・課題を聞いておいて家でシミュレーションさせてあげておくとよいかもしれません。活動内容が分かるように、絵カードなんかを作っておいてあげるとわかりやすいでしょう。座って話を聞くよ→鉄棒で回るよ→マットで転がるよ→走るよなど。

 

それから、可能であれば許可を取って、事前にその場所に行って、いろんなものを見させておく、触らせておく、自由に走らせておくとよいでしょう。その場所にはどんなものがある、どんなことができるというのがわかっているだけで、子どもは安心でき、落ち着けます。体操クラブ当日も、早めに入らせてもらって、保護者同伴のもとある程度運動させておいてあげるのです。事前に適度に運動しておくと、集中力が増し、本番が始まったころには、話を聞いたりすることができる場合があります。

 

それでも、慣れるまでは、保護者の方に一緒に入ってもらって近くで見守りをさせてもらうようお願いしてみてもいいかもしれません。安全に関わることなので、絶対一人ついてあげないといけないと思います。コーチは、マンツーマンでずっと同じ子についておくことは難しいでしょうから。

 

 

寛容な社会になってほしいとの願い

 

こういったちょっとした運営側の配慮と保護者の準備で、支援が必要な子もみんなと同じように習い事ができる環境を作ることができます。運営者側の方針で「個別対応はできないから、指示が聞けない子はご遠慮ください」なんていう考えは今後見直していくべきでしょう。

 

どんな子でも、どうすれば参加することができるのか、一緒に考えていくことでアイデアも生まれますし、周りの子も、配慮が必要な子を見て、学ぶことがたくさんあります。お互いに良いことがたくさんあるので、運営側にはどんどんそんな子を受け入れてほしいです。それこそ差別意識をなくす共生社会を作ることになるのではないでしょうか。そんな社会になってほしいと願うばかりです。

 

保護者の方には、子どもの可能性をつぶさないよう好きなことをどんどんさせてあげてほしいです。また、できる限り「迷惑をかけるんじゃないか」「周りの子ども・親になんか思われないだろうか」なんていう考えはなくし、勇気を持ってどんどん手助けをお願いする、そして習い事もさせてあげてください。子どもとともに成長できるお父さん、お母さんであってほしいなぁと思います。

 

 

色々な考え方があるのは承知で・・・色々と書いてきましたが、私は、発達障がいの方は助けてあげないといけない存在だと言いたいわけではないです。

当事者の方には「私は理解してもらうだけの存在じゃない!失礼だ!」

「私は発達障がいであることを誇りに思っている!」

と思われるかもしれません。

 

成長していくにつれて、このような気持ちになっていくことは当然ですよね。

あくまでも、私は、これまでの経験をもとに早く気付いてあげて、よりよい支援をしてあげることが本人にとってよいと思っているので、上記のような表現になりました。

 

 

何よりも、知らない人に知ってほしいという思いで、この記事を書いていることをご理解いただけたら幸いです。

元気な子どものイラスト

 

今回はここまでとします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

よければこちらの記事もご覧ください。

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