今回のテーマは、【もしかして発達障害?】片付けられない子どもにするべき対処法というテーマで記事を書いていきます。
みなさんの家はいつもきれいに整理整頓ができていますか。また、使ったものや遊んだものの片付けができていますか。
家に小さなお子さんがいらっしゃるところは、「いつもおもちゃだらけで散らかっている」というところも多いのではないでしょうか。幼児期などはうまく片付けができないものですが、小学生になっても一向に片付け、整理整頓ができないという子どももいます。
こんな方におすすめ
- 子どもが片づけができなくて悩んでいる方
- これから小学校で教員をしていこうと思っている方
家の中はいつも、ものだらけ、自分の部屋も散らかりっぱなし、いくら注意をしても一向にできるようにならない。そんなお子さんがいると、親としてもどうしたらいいか悩んでしまうことも多いはずです。成長とともに少しずつ身の回りのことができるようになってくる子どもがいる一方で、できないという次元が違いすぎるくらい片づけ、整理整頓が苦手な子どももいます。
「小学生になったらちょっとは片づけができるようになるかな」と期待はしていても、そんな気配は全くなく一向にできるようにならならという子どもがいます。
もくじ
片付け・整理整頓ができない理由
関わっている大人がまず知っていてほしいことは、本人は好きでそうしているというだけではないということです。
色々指摘をされて、片付け・整理整頓をしなければならないのはわかっているけれど、どうしても長続きしなかったり、すぐに行動に移せなかったりしてできないのです。
ではなぜそれができないのか?
理由はいくつか考えられるのでそれを1つ1つ見ていきましょう。
不注意の特性を持っている可能性
発達障害という言葉を聞いたことがあるかもしれません。発達障害と言っても色々なタイプがありますが、その中でも注意欠陥多動症、ADHDと呼ばれるタイプがあります。ADHDには不注意なところ、多動なところ、衝動的なところの3つの特徴があります。
不注意とは、物事に集中しにくかったり、集中が続かなかったり、周りのことがわからないくらい集中しすぎてしまったりすることです。また、人と話していた約束事などをすぐに忘れてしまい、何かをやっていてもすぐに気が散ってしまうことです。
多動とは、じっとしていることが苦手で、座って勉強していてもガサガサ動いてしまって終始落ち着かないというようなところです。いつもチョロチョロと動き回っていることが多いです。
衝動的とは、突発的な行動をしてしまうことです。例えば、大事なことを思い出すと、「どうしよう・・・」と考えるよりも先に体が動いてしまい急に走り出してしまうというようなケースです。そんな時は周りの環境も見えておらず、周囲の人たちがビックリするようなこともしてしまいます。急に道路に飛び出す、座っていると思ったら急に飛び出していく、急に怒ってものを投げる、こんなこともあります。
このようにADHDには主に3つの特性があり、その子、その子によって特性の現れ方は違います。あまり強く現れない部分もあれば、より強く現れる部分もあります。今回の片付け、整理整頓ができないというケースの子どもは不注意の特性を持っている可能性があります。
愛着未形成の可能性
愛着障害、ADという言葉を聞いたことがありますか。
愛着とは「母親などの特定の人と情緒的な絆」のことで、生まれた時から少しずつ築き上げていくものです。
しかし、その愛着がうまく築けていない子どももおり、そんな子どもは何かしらの問題が出てきます。最近、この愛着の問題は教育界の中でも注目をされ始めています。
愛着がうまく形成されていない子どもは以下のような特性を持っている場合が多いです。
人から叱られたり、注意されても、改善しようという気持ちが持てないということです。今回、片付け、整理整頓をするように促されているわけですが、聞く耳を持たない、いえ持てないと言った方がいいでしょう。
まだ心の発達段階がそこまで育っていないので「よし、これから頑張るぞ」という気持ちを抱けません。「自分のために頑張ろう」とか「相手の期待に応えよう」などという気持ちを持てません。
そんな子どもは、「自分にはできない・・・」「どうせうまくいかない・・・」などと自信のない子も多く、注意をされたり、叱られたりすることで、自分を否定されているように感じてしまい、強く反発をしたり、平気で嘘をついたりして自己防衛をしようとするのも特徴の一つです。
そして、愛着に課題がある子どもの中には、満たされない気持ちを持っている子どもも多く、日頃の寂しさなどからくる「モノに囲まれていたい」という欲求があり、物を散らかしてしまうことがあります。周りに物が溢れていることで安心できるのです。だから無意識的にものを散らかしてしまうという場合があるのです。
それから、注意欠陥多動症ADHDと愛着障害ADの両方の特性を併せ持つ子どももいるということを知っていていただきたいと思います。このような子どもは特にていねいな対応が求められます。
片付け、整理整頓ができない子の対応策
不注意の特性がある子どもに有効な方法
まずできないことをいつも指摘するということは減らしていきましょう。親としては気になるし、直してほしい気持ちからついつい言ってしまうのはわかりますが、怒って注意しても改善はできません。怒らずに今できそうなことを一緒に考え、1つずつクリアしていくようにします。できたら次の段階へ進むのです。
最初はあまり細かいことは言わずにできそうな目標を一緒に設定していきます。例えば、「タイマーが鳴ったら使ったものはこの大きなケースに全て入れるのよ。」などとします。タイマーをしておくことで、片付けを忘れることを防げますし、遊びの終わりの切り替えにもなります。これくらいからスタートして、できたらすかさず褒めます。褒めないと子どもはやる気になりませんので、できたら褒めるを続けていきます。
長続きしそうにない場合はちょっとしたご褒美を用意してあげます。
「5回できたら、食後のデザート1つ買ってあげるよ。」「ゲームの時間、1日だけ1時間増やしてあげるよ。」
などと子どもが喜びそうなものを考えておきます。
次の段階はものを分類して片付けをしていくためのステップです。このケースには「文房具」、このケースには「おもちゃ」、この棚には「まんが」というように種類ごとに分類もできるようにならなけければなりません。不注意の特性のある子どもにとっては、使ったものをどこに片付けたらいいかわからなくなったり忘れてしまったりしてしまいます。
このような場合は、片付けをするケースに何を入れるケースかわかるところに「おもちゃいれ」「ぶんぼうぐいれ」「まんが」「パンツ」「くつした」などと書いてあげます。字が苦手ならば写真を撮ってその写真をケースに貼っておいてあげます。これらは視覚支援と言いますが、このようなお子さんなどは視覚的は情報はわかりやすいのです。
最後の段階として、片付けをすることを忘れないよう子どもの目に留まるところに「片付けのお約束」ポスターを家のどこかに貼っておくことです。しっかりこのポスターを認知し、頭の中で入れておけば日常的に片付けを意識することができるようになってきます。
愛着未形成の子どもの対応策
こちらの対応は少し違ったアプローチをしていきます。
そもそも、ものに囲まれたい欲求が強いために、ものが片付けられないので、さきほど紹介した不注意の特性の子どもに有効な方法をいくら実践してもうまくいかない場合があります。
愛着に課題がある子どもの場合の対応策は、子どもとの関わり方を変えていくというのが正解です。しっかり子どもの気持ちに寄り添い、受け止めていくことが必要になってくるのです。
子どもの欲求が、「ものに囲まれたい物理的欲求」から、「人(親など)の愛情に包まれたいという心理的欲求」に変わることで改善していくと言えるでしょう。愛情に包まれることで、「頑張ろう!」「自分はできるんだ!」などという前向きな気持ちも育ってくるのです。
気をつけていただきたいことは、人(親など)からの愛情を子どもが愛情だと認知し、しっかり受けとめることができて初めて愛着は形成されるということです。親がいくら愛情をかけて育てたと思っても、子どもが愛情を受け止めることができていなかったら(愛情と理解できていないなど)、いくら愛情を注いでも愛着は形成されていきません。
この愛情のすれ違いで愛着形成がうまくいっていない場合も多いので特にこの部分は重要です。
こんなときは、愛情は心で感じるものであることを伝えていきます。
「お母さんが一緒だと、とてもいい気持ちになるね。」
「褒めてもらったら良い気分になるね。それは嬉しいっていう気持ちだよ。」
こんな風に感情についても行動とセットで教えながら、母の愛の形を言葉で伝えるようにするのです。
成長することを期待して長い目で関わっていこう
これらの支援をしていくのは大変だなぁと思われるかもしれません。しかし、できないのが子どものせいではなく、できるようにこちらが導いてあげることが必要なことです。
できない、わからないのは、子どもの特性上しかたのないことで、子どもが責められるべきことでもありません。できないから支援をしてあげ、できるように練習をしてあげるのです。
そのプロセスの中で子どもは成長していくものです。ある時、突然ぐっと急成長するものです。
なので、焦らず、心穏やかに関わっていくことが大切になります。一歩一歩、成長していることを信じて、子どもを見ていくようにすると、きっと子どももよい方向に成長していきます。
今回はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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