今回は、教員免許更新講習を受けなくて済む方法について解説していきます。
こんな方におすすめ
- これから教員をやっていこうと思っている方
- そろそろ教員免許講習が近づいてきている方
「えっーーー?免許講習受けなくてもいいの?」
「本当にそんなことが可能なの?」
と思われる方もいるはずなので、正しい表現で言いなおします。
教員免許更新は必要ですが、免許の講習を【免れる】ことができるということです。それでは順に解説していきます。
教員免許更新の概要
まず、免許更新の概要について簡単に説明しておきます。教員免許の更新制というのが、平成21年4月よりスタートしました。免許状更新講習は、30時間以上(必修領域講習6時間以上、選択必修領域講習6時間以上、選択領域講習18時間以上)受講・修了することが必要です。
教員免許 更新制の目的は教員として、必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って社会の信頼を得ることができるとようになることを目指しています。もちろん、現場での経験に勝るものはありませんけどね。
更新講習の受講対象者は、 現職教員、実習助手、寄宿舎指導員、学校栄養職員、養護職員、教員採用内定者、教育委員会や学校法人などが作成した臨時任用(または非常勤)教員リストに登載されている者、過去に教員として勤務した経験のある者、認定こども園で勤務する保育士、認可保育所で勤務する保育士、幼稚園を設置している者が設置する認可外保育施設で勤務する保育士などです。
では、いつから免許更新講習を受けられるかというと、原則的に、有効期間満了日(修了確認期限)の2年2ヶ月から2ヶ月前までの2年間です。そろそろ更新が近づいているという人は、この期間に大学などが実施している免許更新講習を受講します。大体、長期休みや土日に実施されています。そして、修了した後、都道府県教育委員会に申請するという流れです。
ご自身の教員免許状の有効期間確認したい場合は文科省のツールをご覧ください。
免許更新が免除となる条件
では講習が免除となる条件はどんな人なのかをお話しします。
それは、教員を指導する立場にある者です。学校内で言うと、校長(園長)、副校長(副園長)、教頭、主幹教諭または指導教諭、教育長または指導主事、免許状更新講習の講師などです。教員を10年以上経験している方なら、もうこれらのポジションについている方もいるでしょうね。
それからもう一つ、講習を免除される方が優秀教員表彰者です。なんだそれという方に解説します。これは、文部科学大臣、教育委員会などから、各教科の指導法、生徒指導、その分野の知識技能が優秀であることについて、表彰を受けたことのある者を指しています。全国で、毎年、800人程度が選ばれ表彰をされています。選ばれる基準はその年に特別大きな功績(大きな研究発表を行って貢献した)を挙げた先生や長年、学校、教育委員会に貢献したとみなされた人が選ばれるようです。優秀 教員 表彰を受けた後の1回のみが免除の対象となるということです。一度免除された後は次は講習が必要です。
ここで、注意しなければならないのは、免除対象者にあたる場合でも、免許管理者に免許状の更新手続に関する申請を行わなければならないということです。
申請をしなかった場合及び講習を修了しなかった場合は、免許状は失効することになります。気をつけましょう。さすがに教員をしていて忘れて失効する人は皆無だとは思いますが。
あと、気になったのが→知識技能が不十分な者は不可という一文が入っています。これはなんなのでしょうね。免除されるような優秀な先生にそんな一文いらないですよね。
免許更新を延長する方法
免許更新を免除はできないけど、免許更新の有効期間の延長(修了確認期限の延期)するという方法もあります。延長できる条件についてみていきましょう。
このような条件に当てはまる方です。休職中であること、産休、育休、病気休暇、介護休暇中であること、地震、積雪、洪水その他の自然現象により交通が困難となっていること、海外派遣中であること、専修免許状の取得のための課程に在籍していること、教員となった日から有効期間の満了の日(または修了確認期限)までの期間が2年2ヶ月未満であること、その他免許管理者がやむを得ないと認める事由があること該当する場合や講習の免除対象者に該当する場合には、そのために必要な申請などの手続きを行います。
ここでは、一つ一つ詳しくはお話しはいたしませんが、令和2年度に申請の方は、コロナウイルスの影響で、期間が少し延長されたかと思います。こんなことはそうそうないとは思いますが・・・
それから、あまり知られていませんが、新しい教員免許状を取得することでも10年延期することが可能です。
例えば、小学校の免許を持っていて、中学校の免許を取る、特別支援の免許を取るとかで更新期間の延長ができるわけです。文科省のホームページでも書かれてはいるものの、情報量が多すぎて、非常にややこしかったです。もっとわかりやすく載せてほしいです。
ただ、特別支援の場合は免許の領域の追加で延期にはならないので、ご注意ください。初めて支援免許を取る場合に限ります。新しい免許を取ったら延期できることけっこうみんな知りません。
でも、お金を払って新しく免許取るのもなぁとという方には、免許法認定講習という制度があります。これは、文科省の方で、免許取得者を増やすために、現職の教員等がすでに所有している免許状を基にして、一定の在職年数と単位取得によって、上位の免許状、他の免許などを取得することを推奨する制度です。もちろん、料金はかかりません。免許更新なら受講料3万円以上かかりましたよね。
それなら、この制度を使って新しい免許を取って延期するのもアリ!なんて思う方もおられるでしょう。
しかし、免許更新費を浮かすために取るのはやめておいた方がいいですね。なぜなら、新しく違う教員免許を取るのは、かなり大変だからです。
免許更新なら30時間でできますが、新しい免許を取るには認定講習で50~60時間くらいの講義を受ける必要があります。何日かぶっ通しで講義を受けなければならない時もありますし、講義内容をただ一方的に聞き続けるというもの。本当にきついです。
そうとわかっても、何か新しい免許を取りたいという思いがあるなら、やったらいいでしょう。そうでなければ無難に更新講習を受けておく方がいいです。
更新講習は将来どうなるか
免許更新講習は今後どうなっていくのでしょうか。教員の負担を減らそうという声と、更新があることで免許の有効期限が切れて免許取得者が減っていくという問題もあり、免許更新をなくそうという話もちらほら聞きます。
近年、教員が仕事が多忙化し、休みもろくに取れない中で、長期休みに免許更新に行かないといけないなんてちょっとかわいそうです。また、定年を迎えたベテランの先生方が免許の期限が切れることで、再任用をあきらめるということも増えるでしょう。これは現場にとっては痛いです。
しかし、残念ながら、今の段階ではこの制度はなくなることはなさそうです。公には言わないでしょうが、一番はお金の問題。今、財政が厳しい大学にとっては免許更新講習で先生がたくさん来てくれるのは非常にありがたいこと。毎年たくさんの先生が更新するわけですので、かなりの大学側は潤います。一度このような流れを作ってしまうと、なかなか元には戻せないでしょう。
定年が65歳になる将来、定年前に免許の有効期限が切れるということで、「もう免許の期限も切れるし早期退職しよう」という方が増え、現場がますます困るという状況は容易に予想できます。
ということで、今回は免許更新講習を受けなくて済む方法と免許更新を延期する方法を紹介してきました。もうそろそろという方は準備を始めてください。10年なんてあっという間にやってきますので、計画的に講習を受講するようにしましょう。
何かの参考になっていたら嬉しいです。
今回は以上となります。最後までご視聴いただきありがとうございました。