こんにちは、今回は、【リレーのバトンパスのコツはこれだ!】小学生編というテーマでお話していきます。
こんな方におすすめ
- これから小学校の教員をやっていこうと思っている方
- 体育の授業に興味がある教員の方
ご存知だとは思いますが、バトンを受け渡ししながらチーム一丸となって走る競技をリレーと言います。
みなさんも一度は、チーム対抗のリレーをやったことはありますよね?
運動会や〇〇大会などでは、定番の競技です。
ちなみに、バトンとは円形状のパイプのようなものです。学校で使うのなら、素材はポリエチレンのものが多いでしょう。
さて、このバトンリレーですが、小学校でも中学年くらいから授業で教えていきます。
バトンを受け渡しすることをバトンパスと言い、このバトンパスをしっかり教えてあげることで、リレーの勝敗が左右すると言っても過言ではありません。いかに子どもたちに習得させるのか、まさに、教師の腕の見せ所だと言えます。
もし、小学校でじっくりリレー練習をさせたいという方がいらっしゃるなら、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
今回は、このバトンパスを指導する際のコツをいくつか紹介していきます。
もくじ
オーバーバトンパスを指導
今回紹介するのは、オーバーバトンパスと言って、手を大きく伸ばしてバトンをもらう方法です。
アンダーバトンパスと言う、手を伸ばさず、後ろに手をまわしてバトンをもらう方法もありますが、私はオーバーバトンパスのみで一斉に指導していたことがありました。
本来なら、アンダーパスか、オーバーパスかを子どもに選ばせてあげて、それをじっくり練習させてあげる方がいいと思います。
しかし、小学生の子どもたちに2種類のバトンパスのうち、自分に合う方を選ばせてあげられるほど授業時間の余裕はありません。
2種類となると、指導者も2グループに指導しなければならないので効率も悪いです。
また、先輩教員から
「子どもたちに教えるならオーバーバトンパスからがいいよ。」
と教わり、オーバーバトンパス1本で指導していくことにしたのです。
オーバーバトンパスの練習
立ったままバトンリレー
まずは、立ったままで、バトンの受け渡しを練習します。まだ走りません。
5人くらいのペアを作り、真っすぐに1列に並びます。
そこからバトンリレーの受け渡しを覚えていきます。
後ろから前にバトンを送っていく練習をしていきます。
先頭までバトンがいったら、全員回れ右をして、次は、バトンを前に渡していきます。
これを繰り返し練習します。
おそらく、最初は全然できないと思います。
私は4年生を指導していた時、毎時間、リレー練習の最初に1列バトンパスをしていましたが、完ぺきにできるまで計4~5回目くらいで完璧にできるようになりました。
それくらいは見ておいてよいと思います。ではポイントまとめていきます。
バトンを渡す人のポイント
バトンを渡す人は、必ず左手でバトンをにぎり(バトンの真ん中を持たず、相手が受け取りやすいよう端を持つ)、自分の前に立っている前の走者の右手に渡すようにします。
渡すときには、「はい!」と大きな声を出します。
「はいっ!」
バトンを渡そうと手を前に出す前に声を出します。
バトンは前の走者の手のひら(親指と人差し指の付け根)に上から、ぐっとおしつけるようなイメージでおくように言いました。
ぐっと押し付けるように!
なぜかというと、ふわっと手のひらに置くだけでは前の走者がバトンを握る前に、渡す人が手を放してしまい、バトンが落ちてしまうことを防ぐためです。
バトンをもらう人のポイント
その場に立ったままで、バトンをもらいます。
後ろの人が「はいっ!」と声をかけてくれたら、さっと右手を肩の高さまで横に挙げます。
そして、手首を前から下にひねり、自分の親指が後ろの方を向いているのがいいです。
ちょうど、親指と人差し指の付け根にバトンを置いてもらうのです。
バトンを置いてもらったすぐににぎり、腕を下ろして、そのまま左手にバトンを持ち替えます。
そして、前の人にバトンをつないでいきます。
ランニングバトンパス
次は、体育の授業の準備運動もかねて、ランニングしながらバトンパスをさせていきます。
やり方は、4~5人くらいで一列になって、並び、一番後ろの人がバトンを持ちます。
そして、列を乱さないよう、ゆっくりランニングをします。
一定のリズムができてきたら、一番後ろのバトンを持った人が自分の前の人にバトンを渡します。
渡し方、受け取り方は、さきほど説明した通りです。
一番後ろの人は、バトンを渡し終えると、すぐさま、前の4人を追い抜かして、列の先頭(一番前)に並びに行きます。
そして、ランニングに再び加わり、バトンが回ってくるのを走りながら待つのです。
こうすることで、バトンが前に進むにつれて、人も前に、前に、移動してバトンの受け渡しの練習ができます。
この練習の難しいところは、歩幅を合わせて走ること、バトンを渡す、バトンをもらうを同時にしなければならないところです。
どうしてもうまくいかないグループは、ペースを落とさせたり、ペアを変えたりして、調整してあげましょう。
このランニングバトンパスができないと全速力で走りながら、バトンを渡す、もらうことなどできることはないです。
これも必要な練習です。
おそらく、ほとんどの授業ではバトンパスを順序立てて指導していることはないと思います。
(やっていたら、すいません。私はあまり見たことがないので・・・)
なによりの理由は授業時間が足りなくなるから・・・
どうしても、バトンを使っていきなりリレー大会になってしまうのです。
しかし、これではバトンパスの技術は向上しません。
チーム分けをする
ある程度、バトンパスの形ができてきたら、ここから本格的に走りながらバトンの受け渡しをしていきます。
事前に記録しておいた50m走などの記録をもとに、リレーのチーム分けをしていきます。
チームの作り方ですが、やり方はいろいろあるかと思います。
足の速い子、遅い子を均等に混ぜてチームを作る方法や、男女混合でチームを作るなどなど。
なかでも、おすすめは、足の速い子は速い子同士でチームを組ませ、遅い子は遅い子同士でチームを組ませることです。男女は混合でよいと思います。
その理由は、その方がお互いやりやすいからです。
バトンを受け取りやすいということと、足の速い子たちに遠慮せず伸び伸びできるからです。
もう1つ理由がありますが、それは最後に書きたいと思います。
次に、第1走者、第2走者という風に順番も決めさせ、誰にバトンを渡すのか、誰からバトンをもらうのかをはっきり決めて、そのメンバーを固定して練習をさせていきます。
最高スピードの時にバトンを受け取る方法
なんといってもこれがバトンパスの一番の肝です。本当に難しいです。
なんの練習もしていないチームなら、バトンを受け取る子は、後ろを向いて、止まった状態でバトンをもらい、そこから走り出すでしょう。これでは、リレーの面白さは半減です。
受け取る人が、走っている最高のスピードの状態で、バトンを受け取ることができるかどうかが最大の見どころなのですから。
ではその練習法を紹介します。
バトンをもらう人
歩幅でしるしをつける
まず、バトンを受け取る人にとっては、前の走者がどこまできたら、自分が走り出すのか!という明確な基準が必要です。
「なんとなくこの辺で」という感じでは、いつまでたっても、最高スピードでバトンを受け取ることはできません。
バトンをもらう人の走り出しのスタートが早すぎて、前の走者が追い付けなくて渡せなかった。
スタートが遅すぎて、最高スピードが出るまでに、前の走者がバトンを渡してきた。
というようなことになるのは明白です。
そこで、受け手の人は、
「ここまできたら走り出す」ポイントを見つけなければなりません。
その見つけ方が、歩幅でしるしをつけるという方法です。
まず、自分が「ここまできたら走り出す」ポイントを決め、そこまでの歩幅を数えます。
靴を縦にくっつけながら1歩、2歩、3歩、というように数えていきます。
そのポイントまで何歩かかったか覚えておきます。
左足(1歩)→右足(2歩)
→左足(3歩)→右足(4歩)
という風に歩幅を数える。
そして、そのポイントまで前の走者がきたらスタートしてみて、スタートが早すぎてバトンを受け取れなかったのなら、歩幅を、1、2歩近くに設定します。
スタートが遅すぎたと思えば、歩幅を遠くに設定するのです。
こうやって、一番よいポイントの歩幅を探し、あとは、その歩幅を覚えておきます。
そのポイントに足で線を引き、その場所に来たら、走り出すようにするのです。
もちろん、前の走者が変われば、走るスピードも変わるので、歩幅も変わります。
なので、メンバーが固定化されてからしてください。
バトンを渡す人
渡した後も気を抜かない
バトンを渡すことに成功したら、ほっとして気を抜いてしまいがちですが、注意が必要です。
まず、次の走者(バトンを受け取る人)とぶつからないようにすることです。
バトンを渡したら体は右側に走り抜けるようにしていてください。
そして、ゆっくりと減速します。
これで、受け手の人とぶつかることはありません。
ただ、まだ気を抜けません。後ろから走ってくる人や、バトンをもらおうと待っている人とぶつかる危険性もあります。
そういった周囲にも気を配っておきましょう。
リレーの目的は、自分の記録との競争である
さきほど、チーム分けのところで、似たようなタイムの子たちでチームを組ませるのがよいと書きました。
その理由がもう1つあります。
それは、足の遅い子たちほど、バトンの受け渡しがうまくいくとタイムが伸びやすいということです。
足の遅い子たちは、加速も遅いわけですから、バトンパスを練習して全速力の状態でバトンの受け渡しができたら、タイムもぐっと伸びやすいのです。
それに比べて、足の速い子たちは、元々足が速いので、バトンの技術をないがしろにしてしまいがちです。
心のどこかで、
「バトンがうまくなくても、自分は足が速いから、なんとかなる!」
という過信もあるものです。
バトンパスは足の速い子が上手になるとは限らないので、そこがまたリレーの楽しいところでもあるのです。
そういった理由から、リレーをする際は、チーム分けはしますが、チームごとに競わせるというよりも、あくまでも自分たちの記録を塗り替えていくことを目標に練習させていくのがよいのです。
元のタイムとバトンパス練習後のタイムが1番縮んだチームが優勝なんてルールもいいと思います。
それはつまり、バトンパスが1番上達したチームといえるからです。
もちろん、リレーの一番最後の授業では、全チーム対抗でリレー大会をしますが、その時に、足の遅いチームがバトンパスがうまくいって上位入賞なんてことが起こったら、まさに最高の授業じゃないですか。足の遅い子たちにとって、これほど嬉しいことはないはずですから。
まさに、オリンピックで銀メダルを取った日本代表みたいなもんで、感動ものですよ。
そんなシーンを見れたらいいなという思いで指導していくのも楽しいです。
今回の記事の中で、みなさんの役に立つ情報が一つでもあったら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。