支援教育 教員・教育関係

【支援学級児童のいじめを防げ】加害者への指導が重要なわけ

2020年11月20日

 

こんにちは、今回は【支援学級在籍児童のいじめを防げ】加害者への指導が重要なわけというテーマで記事を書いていきます。

 

 

通常の学級の子どもと支援学級の子どもが同じ教室で学ぶ時間が増えてきている中で、けんかやトラブルはつきものです。

 

支援級在籍の子どもへの理解と配慮は必要ですが、それが分かっていても、うまくいかないということはよくあります。

そんな時に、どのようにして関係修復をしていけあげればいいでしょうか。

 

できるだけ具体的な場面を想定しながら、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

あくまでも事例ですが、おそらく同じような出来事はそこらじゅうの小学校で起こっているはずです。

何かの参考になるかと思います。最後までご覧になってください。

 

こんな方におすすめ

  • これから教員をやっていこうと思っている方
  • 特別支援教育に興味がある方
  • 支援学級在籍の子どもを持つ親

 

障害を利用した嫌がらせに対する指導

 

小学校の通常の学級での出来事を想定して書いていきます。自分が学級担任ならどんな風に対応するか考えながら読み進めていただけたらと思います。また、親の立場としてどんな対応をしてほしいかも考えながら読んでいただけたらと思います。

 

さて、通常学級の担任になったあなた。

 

このクラスには支援学級在籍の児童がいます。

その子は、視覚障害のある子どもですが、通常の学級で授業を受けることが多く、学校の授業のほとんどの時間を通常の学級で過ごしていました。その子自身の努力もあり、自分のするべき仕事はほとんど自分でし、給食、掃除なども先生の支援がなくてもできています。

 

視覚障がいのある子どもはコミュニケーションをとることが苦手なことが多く、その子も自分から進んで友だちと関わろうとすることはあまりありません。

 

クラスの中に、あまり親しい間柄の友だちはおらず、休み時間は一人で過ごしていることが多い。

それでも、その子に、声をかけたり、困っていたら助けてあげたりする子もいたので、そんな関わりあえる場面がとても楽しそう。

 

 

ある日、その児童が学級担任であるあなたに相談したいことがあると切り出してきました。

話を聞いてみると、

「最近、歩いていると押されたり、足を出されたりする」

とのことです。

 

それをやってくる人が誰なのかもなんとなくわかってはいたが、その場で自分からは言い出せずに悩んでいたということ。

 

その嫌がらせは、1週間くらい続いているのだそう。

自分がなぜそのようなことをされるのか、なんの心当たりもなく、モヤモヤだけが続いていて、勇気を出して先生に報告したようです。

 

 

これがもし、子どもからの申告がなく、長期に分かって繰り返されていれば大きな問題に発展しているでしょう。

こういう嫌がらせは、徐々にエスカレートするものなので、早く対応するべきことです。

被害者の子が長期にわたって我慢をし、やっとのことで親だけに相談できたというケースも少なくありません。そして、期間が長ければ長いほど対応は難しくなります。

1週間で発覚したのは早い方でしょう。

 

この事実を知ったあなたは許されないことだと思い、すぐに指導に動くでしょう。

当然、加害者の子を呼んで指導をしていくことになります。

 

その加害者の子に事実確認をしてみると

「悪いことをしてしまったと反省している。」

と言ったとします。

 

今回のトラブルのポイントは、①嫌がらせをしていること、②目の見えないことを利用した嫌がらせをしていること、この2点でしょう。特に②は絶対に許せないことです。

さて、あなたが担任なら、この後、どのように指導をしていきますでしょうか。

 

1 まず①と②について説明し厳しく指導する。

2 理由は聞いてあげるが、厳しい指導は必要だ。

3 理由は聞いてあげるが、理由次第で、その加害者の子の気持ちも考えた指導が必要。

 

学級担任としては、

「これは絶対許せない大問題だ」

と憤り、感情的になって厳しく指導をしようと思う方もおられるでしょう。

なんせ被害者は支援学級在籍の子です。

 

 

しかし、その気持ちをぐっと抑えて指導するのが正解です。

悪いことは悪いのだが、なぜ、加害者の子がそのようなことをしたのかを丁寧に聞き取る必要があるでしょう。

 

 

嫌がらせの理由が、面白がってやっていただけなどの場合は厳しく指導されるべきです。加害者の保護者にも伝えなければならない大きな問題です。

 

 

しかし、理由によっては、厳しい指導はするのは慎重であるべきではないかと思います。

 

 

加害者にも寄り添った支援が必要か?

 

こういったケースで加害者に理由を聞いた場合、目の見えない子に対して何かしら我慢していたことがあったはずです。

今回のケースもそうです。

 

加害者の言い分を聞くと、目の見えない子が歩いているときに、ぶつかられた、自分の荷物を踏まれた、机の上のものを落とされたなどの事柄があったのです。

 

大人の感覚で指導するならば、

「そんなことは仕方のないことだから怒ってはいけないだろ」

「目の見えない子に対して、腹を立てることは間違いだろ」

などと思います。

 

 

そして、子どもたちに対して

「100%防ぐことは難しいことであり腹を立ててはいけないこと」

と伝える指導になってしまいがちです。

 

しかし、それでは不十分と言わざるを得ないでしょう。

 

 

なぜなら、子どもたちが腹を立てる感覚というのは、そんなささないものであることが多いからです。

小学生の子どもはまだまだ心が幼く、怒ってはいけない、我慢しなくちゃいけないということは理屈ではわかっていても、まだ心がついてきていません。

そして、いやだった気持ちを溜め込んでしまうものです。

 

 

溜め込んだイライラやストレスのはけ口として、相手に対して不適切な行動をしてしまうケースがよくあるのです。子どもゆえに。

 

今回のしてしまったことは、悪いことは悪いのだが、加害者の気持ちも踏まえた指導をしてあげないといけないでしょう。

加害者のその気持ちを汲んであげることが、このようなことを二度としない気持ちにさせることにもつながるはずです。

 

仮に、頭ごなしに厳しく指導し、子どもはもうしないと約束させたとしましょう。一見、その時は解決したように見えますが、加害者の心の奥底で納得いっていないモヤモヤした部分は残ったままになっています。きっと、そのモヤモヤを何かの拍子で爆発させてしまう時が来るでしょう。

 

 

障害を利用した嫌がらせは、許されるべきことではなく、障がいのある子にそんなことをしてはいけないと言いたくなる気持ちもわかります。

しかし、加害者の子にとっても、色々な我慢があり、抱えてきたということを担任の先生は知っておいてあげた上で指導をしてあげることを忘れてはいけません。

 

悪いことはしたけど、それまでの嫌な気持ちはわかってもらえたというのは加害者にとっては救いになります。

弱い立場の子に対して、そのような嫌がらせをする子は、その子自身もまだまだ幼い部分があると言えます。

 

だからこそ、加害者の気持ちもしっかり受け止めてあげることで、その子は安心感が生まれ、心の成長につながっていきます。

子どもによっては、自分の日頃のイライラのはけ口として、全く関係のない子へ八つ当たりをしてしまう子もいます。

 

また、明らかないじめをしているのにも関わらず、

「この前に嫌なことをされたからやった」

などと理由付けをして自己防衛してくる子どももいます。

 

理由もなく人をいじめるという行為をするということは、その子自身に問題があるケースも多く、満たされないものをたくさん抱えているものです。

そういう子は特に対応が難しく、こういう子にクラスは振り回されます。

 

それでも、モヤモヤした気持ちを相手への嫌がらせで発散しないような強い心に育ててあげるのも私たちの役割かもしれません。

 

 

それから、被害者への理解教育も忘れてはいけません。

 

どうやったらクラスのみんなが過ごしやすくなるのか?

嫌な思いをする子を減らせるのか?

 

そういう問題意識は常に子どもたちの中に持たせておくことが必要です。

 

クラスに支援学級在籍の子がいることは絶対に忘れてはいけないことです。

 

それは、担任の腕の力の見せ所。

たくさんもめごとが出てきたら、たくさん話し合わせたらいいんです。

 

お互いにできる範囲で気をつけていけばいいのですから。

 

 

被害者を守ることより加害者を出さない視点が大事

 

通常学級の子どもが支援級の子どもをいじめるというケースは、おそらくどこの学校でも起こりうる問題です。

その対応をする際に、頭ごなしに

「いじめは絶対に許さないーー」

という指導だけでは不十分でしょう。

 

被害者を守ることは当然ですが、加害者の気持ちにも寄り添った指導をしていくことが必要なのも理解していただきたいところ。

学級担任は学級全体を考えて指導していかなければならないので、どんな子どもであっても悪者を作ってはいけません。加害者であっても心を入れ替えるような指導が必要なのです。

 

加害者の子が問題行動をする背景には、その子自身に問題を抱えているケースがよくあります。

家庭の中でしんどいことを抱えていたり、大きな悩みがあったりするものです。

 

どんな事情があれど、いじめをした子は、これからより厳しく社会から批判されるようになっていくでしょう。

今、いじめに対して世の中(教師も含め)が敏感になっていて、被害者側を守ることだけに重点を置かれているような気がします。

また、そういう影響なのか

「私はいじめられた被害者なんだ」

ということを前面に訴え、学校側に無理難題を要求してくる方も増えてきています。

 

学校現場はその対応に振り回されます。

なにせ、いじめの定義が、本人がいじめられたと感じたらいじめなのですから。そんなの言ったもん勝ちになりますよ。

 

 

しかし、いじめた側の加害者に寄り添った指導ができるのは我々教員しかいないでしょう。(もちろん、いじめをした度合いにもよります)

罰することだけを求めるのは簡単です。いじめをなくしていくためには、加害者の気持ちも理解し心を入れ替えて頑張れるようになるまで、根気強く関わってあげることこそ必要なことなのです。

 

そういう指導、支援をしていくことの方がはるかに難しいことですが、私たち教員の責務であると思います。

学級をうまく機能させるためにも被害者を助けるという視点ではなく、加害者を作らない視点の方が私は大事だと思うのです。

 

 

被害者の子どもは全面的に擁護しつつ、全員が安心して学校に登校できるよう学級経営をしていきましょう。

学級担任はほんとーーに色々なところで配慮が必要ですわ。

 

でも、大変な分、それがやりがいでもあります。私も教員に戻ろかな(笑)

 

 

今回の内容が学級経営の何かの参考になってくれていたら幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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