学級経営 教員・教育関係

【もうこれしかない】小学校で子どもの問題行動をやめさせる方法

2019年2月4日

 

今回は【もうこれしかない】小学校で子どもの問題行動を止めさせる方法というテーマで記事を書いていきます。教員を20年弱してきた私の知識と技術を少しでもお伝えできたらと思います。

 

こんな方におすすめ

  • これから教員をやっていこうと思っている方
  • 経験が浅い小学校の教員の方
  • 現役教員の方で、受け持っている学級に問題行動を起こしてしまう子どもがいる方

 

小学校で子どもが起こす問題行動を言ってもたくさんあります。もの隠し、陰口、嫌がらせ、無視などいじめに近いものもあれば、仲良く遊んでいて、けんかになって手が出てしまう問題行動もあります。

今回の子どもの問題行動は「すぐに友達を叩いてしまう子」について詳しく述べていくことにします。どうぞ最後までお付き合いください。

 

小学校の学級で起こる問題行動の現状

 

 

私は長年教員をしてきたので、友達に手が出てしまう子どもを何度も見てきました。もし、学級担任をしていてそのような子どもを受け持つと、間違いなく対応に追われることになるでしょう。そんな子どもにとっては、トラブルを起こすこと・手を出してしまうことは日常茶飯事になっていて、こちらがいくら指導しても収まることはありません。トラブルが起こって指導、手を出してしまって指導ということが日々繰り返されます。

 

そんなことが繰り返されると保護者連絡も必要になります。加害者側の子どもの保護者、被害者側の子どもの保護者どちらにも連絡をしなければなりません。こう言った事実が学校で続いて起こっていることを連絡するのはつらいものです。

 

さすがに担任も

「本当にいい加減にしてくれ」

と怒りもこみあげてきて、指導もついついエスカレートしてしまいがちです。その気持ちはわからなくはないですが、担任として学級を運営していく立場の人間が感情的になって特定の子どもに対して指導を強めてしまうのは、適切な指導とは言えません。そうなってしまわないように、自らを自制し、心のブレーキをかけなければなりません。これは本当に難しいです。学級担任も生身の人間ですから、何度も同じことをされる腹を立てない人は少ないでしょう。

 

 

こんな状態がずっと続くと、学級担任はいつもイライラして怒ってばかり、当の子どもも怒られてばかりでイライラが募り、さらに問題行動を加速化させてしまうという悪循環に陥ります。

 

結果、お互いの信頼関係が崩壊してしまい、子どもへの指導がますます入らなくなってしまいます。おそらく、どこの学校でも常態化している問題でしょう。この信頼関係が崩壊した状態が続いてしまうと、学級崩壊という学級が機能しなくなる状態に陥る危険性があります。詳しくはこちらの記事でもご紹介しています。よければ合わせて読んでください。

 

【これだけは知っておいて!】学級崩壊になる前の対応が大事!

 

このような事態に陥らないために、どのような対策をしていけば良いでしょうか。順に説明をしていきます。

 

根本的な原因を突き止める!

 

いろんな映像をチェックしているイラスト

 

では、どうやったら問題行動をなくしていくのかを考えていきます。そもそも、なぜ子どもはすぐに手を出してしまうのか、その根本的な原因を探っていきます。

 

原因その1 心の問題

 

父、母、子どもが楽しそうに手をつないでいるイラスト

 

考えられる原因の一つ目は、子ども自身の心の問題です。心がまだ未成熟なため、力で解決しようと考えてしまうのです。友だちとの関わりの中で、腹が立った時に我慢することができなかったり、言葉で言い返すことができなかったりして、手を出してしまうというケースに至ります。

 

幼児期の小さい子どもなら、自分の気持ちをうまく表現することができず泣いて暴れてしまうこともあるかもしれません。でも、お家の方に優しい言葉をかけてもらったり、日々の肌と肌のスキンシップを通して心が落ち着き、気持ちを抑えることを学んでゆきます。心を受け止めてもらえることで、自分の気持ちをうまくコントロールする力を身に付けていくのです。

 

しかし、これらの経験をしてこなかった子どもは自分の気持ちをうまく言葉で表現することができません。気持ちを聞いてもらえていない子、受容してもらえていない子どもは気持ちのコントロールができないことが多いのです。お家の人に暴力で押さえつけられて育ってきた子どもは、そんな環境の中でよくない習慣を身につけてしまいます。うまくいかないことは力で解決したらいいという誤学習をしてしまいます。うまくいかなかったら、一番簡単で手っ取り早い力で抑えてしまうという方法を選んでしまうのです。

 

原因その2 発達障がいの可能性

 

子どもが字を書いているイラスト

 

発達障がいのお子さんは、自分の言葉で気持ちを表現したり相手の気持ちを考えたりすることが苦手です。気持ちを抑えられず手が出てしまう子が数多くいます。人とのコミュニケーションが苦手な子も多数います。

 

人の心や気持ちなどの目に見えないものに対しては、考えがおよびません。また、人の表情を読み取ることも苦手です。そういった発達障害の特性を持っていますので、すぐに思ったことを言ってしまって、相手を怒らせてしまい、トラブルになり、手が出てしまうパターンです。

 

友だちと一緒に遊びたいけど、上手な誘い方、声かけができずに、逆に相手を怒らせてしまうこともよくあります。ルール理解も難しいので、自分勝手なルールを作ってしまい友だちとトラブルになることも多いです。

 

友だちとトラブルが続いている、手を出すのが止められないという子どもさんは、このような特性を持っている可能性があります。

 

 

問題が一筋縄ではいかない理由

 

こういった背景を理解した上で子どもを見ていくことができたら、日々の子どもとの関わり方、指導のしかたも変わってきて、より良い方法に向かうこともあります。手が出てしまうような問題行動自体も減ってくるということもあるかもしれませんが、それでもうまくいかないというケースもあります。それは以下のような理由が考えられます。

 

 

学校と家庭の方針のズレ

 

真剣に話を聞く人と、頭を抱えながら相談をしている人のイラスト

 

学校と家庭の方針のズレとは、学校での指導の方針と家庭でのしつけの方針に大きなズレがあるということです。学校では人に手を出すことは絶対に許せないので、子どもがそれをしてしまったときは、事実関係の聞き取りと相手に対しての謝罪、これからどうしていくかなどを丁寧に話をしていきます。家庭でもしっかり話し合って反省してもらうように促します。もしかしたら、罰則もつけることもあるかもしれません。

 

今のご時世、いじめが大きな問題として取り上げられていて、学校としても見過ごせない大きな懸念事項の一つです。もちろん暴力に対しては、被害者側の気持ちも考慮して、加害者側にはより厳しく指導をしていくという方針です。それくらい相手を傷つける行為は許さないという強い気持ちで先生方は日々指導に当たっています。

 

 

しかし、家庭によっては子どもを守り(自分の子が悪くない理由を探してしまう)、手を出してしまったことについての話を子どもにできていなくて、相手にせいにして済ませてしまう場合もあります。また、仕事が忙しくて子どもと関わっている時間がないという家庭も多くあり、子どもへの指導が行き届いていないケースも多いのです。

 

 

もっと最悪なケースは

「あんたたちはプロなんだから、学校のことは学校でなんとかしてよ」

「うちの子どもは家では穏やかなんです。学校では手を出すくらいのことをされたのだから仕方がない。悪いのはうちの子ではない」

ていうスタンスで話をしに来られる保護者の方もいるようです。これでは、子どもは自分がしてしまった行為が悪かったと振り返れないですし、やめようという気持ちにもなりません。

 

また、お家の方針が

「やられたらやりかえせ」

という手を出すことを容認しているケースもあります。もちろん、やられた度合いにもよるかもしれませんが、子どもによってはちょっとやられたからといって、何倍もの仕返しをすることなどよくあります。また、相手を挑発して先に自分に手を出させてから、こちらがその何倍もの仕返しを相手にするのです。そして、自分を正当化します。

「先にたたかれたから、やり返しただけだ」と。このように子どもの手口も巧妙になってきていて、完全に防ぎ切ることが難しくなってきています。

 

こういったケースの場合、保護者に完全に理解してもらうのは困難です。そんな子どもの保護者に限っては、子どもを擁護しますので学校の指導が入らないことのは当たり前なのです。

 

 

学校は小さな組織で、約束事やルールはたくさんあり、それを守らない子、守れない子には指導をしなければなりません。相手を傷つけることは絶対に許してはいけないことです。

 

 

なので、学校の方針と家の方針の確認をし、学校の方針をお家の方にも理解してもらった上で、子どもにルールを守らせていかなければなりません。ここのところをしっかり話をして詰めていくことは大事ですが、なかなか進んでいないのが実情ではないでしょうか。非協力的だったり、学校の方針に理解がない家庭だとかなり厳しいと言わざるをえません。

 

 

学校内での指導方針のズレ

 

みんなに失敗を注意されているイラスト

 

指導方針のズレは何も学校と家庭だけではありません。学校間でも指導方針の共通理解は非常に難しいのです。先生同士や関わっている人同士が共通理解のもとにうまく児童と関われていないというケースもけっこうあるのです。

 

学校対応で見ていく子どもの場合は、学級担任の教員、専門教科担当教員、支援学級の教員、サポート支援員、学生ボランティアなど色々な方が関わっていくわけですが、それぞれの認識がやはり違ってきます。

そして、そのメンバーで話し合いの場を持った場合、経験のある方の意見が優先され担任の意見が消されていくこともよくあります。確かに、経験のある方の意見は参考にすべきだし、的確なアドバイスをしてくれる方もいますが、そういったこと以上に教員の上下関係で物事が決まっているような気がします。この先生が言ったことは参考にしなければならないというような空気というか風潮です。

 

 

でも、何より優先される意見はその子に長く関わっていて日々対応、指導にあたっている学級担任の意見を最優先して考えなければいけないのではないかと思うのです。いくら若くて経験の浅い先生であってもです。普段あまりその子に関わってもいないのに、そういう子にはこういう指導が足りないとか、もっとこうしたらいいとか、好き勝手言う方もいます。「もっと厳しく子どもを指導していくべきだ。」「もっと丁寧に授業を進めていくべきだ」みたいな意見を言われても、結局その学級担任が現実的にできることを見定めることが大事なのと、経験のある方が決めた指導方針に対して、その担任の納得感がないとやってもあまり効果はありません。

 

 

そういうスタンスの話し合いではなく、担任の話をしっかり聞き、どのような場面で相手を傷つける行為が行われているかを聞き出し、一緒に考えてあげることです。色々話を聞き出すことに他の教員は力を注ぎ、最終決定は学級担任に任せるのです。もし、周りの先生が子どもの実態をつかめていないなら、その子どもにも関わってもらうべきです。そうでないと実態はわかりませんから。そこからのスタートにすべきです。

 

 

 

具体的な対処について

 

学級の環境を見直す

 

人と人が手を握り合っているイラスト

 

まず、友達を手を出してしまう事案が発生していることは、日常的にクラスで何かしらのもめ事があり、それが喧嘩に発展しているのではないか考えてみましょう。他傷行為を起こさないために、お互いに助け合い、認め合えるクラス作りを改めて心がけましょう。もちろん、これをしたからと言って、すぐにそんなクラスが変わるわけもなく100%防げるはずありません。

 

いつ、何時、子どもが爆発してしまうのかなんてわかりません。周りの子がふざけて、わざと怒らせようとすることもあるかもしれませんし、たくさんの子どもがいる学校の中で、起こることを完全に予想することなどできません。だからといって、その児童に一日中横について行動することなんてできるはずもありません。

 

 

だからこそ、まずは環境作りです。手を出してしまう子がだけが責められない、仲間外れにされないようなクラスを目指します。一人ひとりの居場所が、誰にとっても居心地のよいクラスを目指していくのです。そして、そのためにも学級での子どもたちの動きを予測して指示を出したりするなど細かなルール作りをします。

 

 

子どもの気持ちを言い当てる

 

人と人が肩を組んでいるイラスト

 

指導の基本は先手を打つことです。この場合の先手とは、たたいてしまった理由を言い当てることです。理由を聞かずとも、

「〇〇で、腹が立ったんだね。」

「腹が立った気持ちはわかる。」

先生はわかっているんだよというメッセージを伝えることです。腹が立った気持ちを受容し言い当ててあげるのです。これができると、

「先生は、言わなくてもなんでも知っている!」

と子どもが思い、先生への信頼度も高まります。しっかり子どもを観察し、子どもたちからの情報を集めておくと、たたいた理由は大体わかります。だから、わざわざ理由を聞きません。「なぜ」ではなく、「いつ」を聞くのです。

 

 

友達に手を出してから、担任が

「なぜ、たたいたんだ?」

と聞いても、発言する主導権が子どもに移ってしまいます。いくらでも、たたいた理由を正当化できてしまい、時には、嘘だってつくかもしれません。そうなってしまっては、指導の効果はありません。なので、先手の指導を心がけましょう。すぐには難しいですが、焦らずじっくりと子どもの行動を観察しておくとわかってくると思います。

 

もし、どのような状況で子どもが手を出してしまったのかわからない場合は、先に周りの子どもたちから情報を集めてから気持ちの言い当てをするようにします。情報を集めておくとその時の状況は大体わかります。

 

事前に予測させておく

 

望遠鏡で遠くを見て予測しているイラスト

 

切れて手が出てしまうであろうと予測できる場面では、事前に、

「今から○○なことをするけど、けんかしないようにしような」

などと声かけをしておきます。また、

「うまくいかない結果になっても、たたいてはいけないぞ」

「怒らずにできたらえらいぞ。」

と言っておくだけでも随分違うものです。

 

 

その声かけをしておくことで、子ども自身がうまくいかなくてダメだったと結果を受け入れる心のふり幅を小さくでき、爆発してしまうことを防ぐことにもなります。そして、これがうまくいったらたくさんほめてあげるのです。こういった小さな成功体験を積ませてあげることで、心が育ち、気持ちもうまくコントロールできるようになってきます。

 

 

もし手を出してしまったときのことも話し合っておくことは必要です。子どもがどんなときにカッとなって手が出てしまうのか。そんな気持ちになったときはどう対処していけばいいのか。一緒に対応策を考えてあげるのです。もちろん、子ども自身に友達を叩くのはやめたいという気持ちがないと止めることは難しいのです。子ども自身の心を育てることと、こちら側は絶対に譲らない、許さないという態度で示していくことも大切です。

 

 

それでもうまくいかない場合は、子どものことを心配していることを伝えます。

「人を叩いてしまって、友だちが離れていってしまわないか心配だ」

「人を傷つけることが続いているのは、先生も両親もとても悲しい」

「あなたに、誰にでも優しい人間になってほしい」

そんな気持ちを伝えていくことも効果的です。

 

 

どんな子どもも見捨てないのが先生の良いところ

 

これらのことからわかるように、子どもが友達を傷つけてしまう背景を見て指導につなげていかなければいけません。困っているのは、私たち教員、保護者だけでなく、誰より子ども自身なのです。そのことを知っておいてあげないと、やはり最終的に子どもがつらい思いをしてしまいます。

 

私が教員をしていて感じたことは、どの先生方も子どもを見捨てようと思う人がいなかったということです。手を出してしまうようなしんどい子こそ、なんとかしてあげたいと思っているのです。本当に素晴らしいと思います。できる子は、だれが先生でもどんな環境でもできます。家庭がしっかりしていて、子どもへの教育が行き届いているからです。

 

でも、課題のある子はたいてい家庭でもなんらかの問題を抱えています。親が忙しすぎて子どもにかまってあげられていなかったり、力でなんでもおさえつけようとしていたり、子どもとの適切な関わり方を知らなかったりすることが多いのです。そんな環境の子どもたちこそ、学校でしっかり支援、指導をして育ててあげなければなりません。力で解決するなんてことを覚えてはいけないのです。

 

 

人としっかりとつながれるように、優しく、強い子になれるよう私たち教員はしっかりと子どもを見つめ、日々努力することを忘れてはいけないでしょう。そういった気持ちをもって子どもと関わることできっと子どもにも伝わり、変化が見えてくるはずです。もしかしたら、その年度内では変わらないかもしれませんが、それでもしっかり子どもには伝わっていて成長とともに、変化してくるはずです。

 

 

なので、しっかりと子どもの気持ちに寄り添ってあげながら、ダメなことはしっかり指導し、言葉で相手に伝える練習をさせていかなかればなりません。教員は大変な仕事ですが、子どもたちの心を育てるというなんとも素晴らしい職業であるとも言えます。毎日、忙しいとは思いますが、前向きな気持ちで子どもたちと関わっていってほしいな思います。

 

【これだけは知っておいて!】学級崩壊になる前の対応が大事!

 

今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

-学級経営, 教員・教育関係
-, ,

© 2023 元教員の気まぐれブログ