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【初心者におすすめ】マットの後転の授業の流れとポイント

2020年9月23日

 

こんにちは、今回は【初心者におすすめ】マットの後転の授業の流れとポイントというテーマで書いていきます。

 

 

こんな方におすすめ

  • これから小学校教員になりたいと思っている方
  • マットの後転を指導するコツを知りたい方
  • マット運動の授業の進め方を知りたい方

 

後転のポイントを書いていく前に、マット運動の基礎となる部分を説明していきます。

 

マット運動の上達のポイント

 

体育館で行う体育の授業の定番と言えばマット運動ですね。けっこう苦手意識のある子どもも多く、先生方にも敬遠されがちなマット運動。先生自身も苦手で、専門的な知識がないと教えらえないと思っていたりするようですが、実際はそんなことないんですね。

きっちりポイントさえ押さえておけば、上手に教えることができます。

 

そもそもマット運動が上手にできるためには、次の3点の力が大きく左右します。

1つ目はマット運動に対する意欲です。マット運動が楽しい、もっと上手になりたいという気持ちがある子は伸びます。これは当たり前ですが大事ですね。能力自体高くない子どもであっても、意欲的に取り組めるかで上達のスピードは変わってきます。

2つ目は筋力です。これはある程度、成長とともについていきますが、バランスの良い食事をとっているか、日頃から運動をしたり、遊具を使った外遊びをしているかなどでも差が開きます。特別筋トレなんかをする必要もありませんし、子どもらしい生活ができていると自然についてくるものです。なんでもしっかりと食べ、日頃から体を動かす習慣をつけていれば問題ないでしょう。

3つ目は感覚です。筋力とも関わってくるものですが、腕支持の感覚、平行感覚、回転感覚あたりを身に着けていけばできるようになってきます。

腕支持感覚とは、体重を腕で支える感覚のことです。腕立ての姿勢をすると、両腕に肩の体重が乗っている感じが分かると思います。腕に体重を乗せる感覚を身に着けることが重要です。熊歩き(手足をマットについて歩く、その時、足の膝を伸ばしておく)や手押し車の練習をしたりすると、身についてきます。

平衡感覚とは、体の重心を変えてバランスをとる感覚のことです。例えば、おしり・お腹をついて座った状態で、両手両足を浮かせてバランスを取る運動や、かえる倒立、肩倒立なんかも平衡感覚を育てる良い運動です。

回転感覚とは、回りながら自分の体を操作する感覚のことです。これはゆりかごという練習を繰り返ししていくことで身に着けることができます。

 

 

小学校の体育の授業をする際、これくらいの知識を知っておくだけでも、かなり役に立つかと思います。特に、指導していくマット運動の技はどんな感覚が必要なのかをつかんでおけば、準備運動の段階から練習をしておくことができます。

 

 

後転の授業の進め方

 

ではさっそく後転を教えていく授業の進め方を説明していきます。45分授業でのおおよその流れを書いておきます。

 

1、準備 5分

2、体操 5分

3、マット基礎練習 5分

4、今日のメインテーマの説明 5分

5、後転の練習開始 5分

6、補足や付け足しの説明 5分

7、後転の練習 5分

8、振り返りと片付け 5分

 

トータル40分ですが、これくらいを目安にやってみてください。

 

 

マット運動の準備のしかた

 

体育でマット運動をするには、マットを並べる準備が必要になります。子どもが着替えに時間がかかったり、前の授業が延びてしまったりすると、開始のチャイムと同時に授業を始めるのが難しいこともよくあります。そんな中で、体育館であれこれ用意するのは正直面倒になるものです。事前に、担任が休み時間に準備をしておくにしても10分はかかってしまいます。正直10分も時間がとれないのが実情です。

そこで、子どもたちに準備をさせていくのが最もよい方法ですが、準備のやり方を事前に指導しておく必要はあります。

どのように指導していけばよいか書いていきます。まず、見本となる形にマットを敷いて子どもたちに示します。例えば、このようにマット2枚で1セットとして配置していきます。マットは幅90cm、長さが180cmの小さなマットを使う想定です。

 

 

この配置は1クラス25人程度を想定しています。もし、1クラス30人以上いるのであれば、ここからさらにマットを2セット追加(計8セット)してあげるのもよいでしょう。マットは多いほど、子どもの待ち時間が少なくなり運動できる時間を増やせます。その分、担任の目が行き届きにくくなるデメリットがあるので、マットのセット数は子どもの実態に合わせて決めていってください。

左側と右側のマットの位置をずらして配置していますが、そこはそろえても問題ありません。ずらしている理由は、体育館床にラインテープを活用するためにどうしても、両サイドに広げられなかっただけです。もっと広く配置すれば、左右のマットの位置がそろっても問題はないと思います。子どもたちに準備をさせていくのであれば、体育館のラインテープを基準にマットを敷いていかせると並べやすいでしょう。

 

高学年の5、6年生ならば1回指導しておけば、正しく準備ができるでしょう。3、4年生ではなかなか指示通りにマットをセットできないので根気よく説明していく必要があります。ずらしてセットするのは難しいかも。1、2年生ならば、マットを出してくるというところまでにし、細かなところは担任がしていく必要があるでしょう。

 

担任が、全体指示をする位置から一番近いマットに、マット運動の苦手な子を集めておくとよいです。担任はできるだけその近くにいるようにし、助言や補助をしてあげるといいです。また、マットの下に踏み切り台などを敷いてマットに勾配をつけてあげると、回転の勢いが付きやすくなります。そういう配慮もしてあげるとよいです。

 

マットごとに子どもたちが並んだら、マットごとにグループを作り、準備と片付けまで協力してやっていくことを伝えます。担任は安全に準備、片付けができるよう確認だけするようにします。

 

 

マット運動の基礎練習

 

準備運動を済ませると、さぁいきなり今日の新しいマット運動の技をさせていこうと考えますが、その前に基本的な運動から体をならしていきましょう。まず、このように1枚のマットに2人ずつ入るように指示し、順に技の練習をしていきます。しっかり間隔を広くとって座らせましょう。1つのマットのサイズにもよりますが、1mの間隔はとるようにしましょう。

 

 

ゆりかご

 

マット運動において最も大切な練習はゆりかごです。ゆりかごとは、両足をつけてしゃがみ、膝を抱えた状態から体を小さく丸め、後ろにそのまま倒れて起き上がってくる運動です。その際、頭も体の中に入れ、あごを引いて、背中がついたら最初の状態に起き上がってきます。この時、足と体が離れてしまうと体が丸くならないので、うまく回ることができません。必ず、しっかり膝を抱えておき、体を小さくすることです。しっかり後ろに倒れることで反動がつくので、元の状態に戻るエネルギーにもなります。戻ってくるときにはお腹に力を入れることも必要になります。

これを何度も繰り返します。ゆりかごをしていくことで回転の感覚を身に着けることができます。

 

ゆりかごに慣れてきたら、マットに手を付かせてみましょう。両膝を抱えていた手を耳の横に持って来させ、肘は開かないようしっかりと体の中に閉じます。転がって背中がつくと同時に手もついて、手でしっかりマットを押すようにします。練習をさせてみると、この手がおろそかになってしまう子が非常に多いですので、このゆりかごの時点で意識させておくことが重要です。先ほどと同様に、体は小さく反動をつけて後ろに転がることも大事ですので忘れないように。

 

さらならステップアップとして、後ろに転がったときに、つま先を床につけるところまでさせてみましょう。これで回る感覚のかなりの部分を練習できます。

 

かえる足打ち、かえる倒立

 

かえる足打ちです。やり方は、両足をマットにつけてしゃがみ、両手をマットに付けます。やや前かがみで、両腕がしっかり伸び、両手に体重を乗せるイメージを持たせることが大事です。両腕に体重を乗せ、手がマットについたまま、軽くジャンプして、右足と左足のつま先を当てます。足が上がらない子は、両腕に体重をうまく乗せることができておらず、腕の力が弱い子や大きな体格の子などに多いです。補助してあげるなら、腰を持ち上げてあげ、両腕に体重を乗せる感覚をつかませてあげましょう。

次は、かえる倒立です。これはかなり難易度が上がりますが、腕に体重を乗せる感覚を身に着けるにはうってつけです。両腕をマットにつけてしゃがみ、両手をマットに付けてスタンバイします。次に両腕に体重を乗せ持ち上げるのですが、両太ももと両肘を押しあうようにしてバランスを取り、体はやや前かがみにしておくのがポイントです。

最初はどうやって体を浮かせておくのかわからない子も多くいますが、マット運動で毎時間練習させていくとだんだんコツがわかってきます。もちろん、子どもの発達段階にもよりますので、まずは5秒を目指して練習させていくといいでしょう。

この運動もマット運動で非常に大事な感覚を育てることができます。両足をつけてしゃがむということができない子もいますので、そういう子がいたら特に注意してみてあげましょう。

 

 

後転のポイントを意識させ運動開始

 

ここからが本番です。今日のマット運動の授業のめあては何なのか、子どもに伝えていきましょう。

後転でおさえるべきポイントを3つに分けて説明します。

①転がる前の姿勢、②転がっている途中、③転がった後に分けて説明をするのが良いです。

 

①転がる前の姿勢は、マットの中に両足をつき、後ろ向きにしゃがみます。両手は頭の耳のあたりに持っていきます。頭を体の中に入れ、体を小さく丸めるようにします。

これで準備はOKですが、きれいに回れるかどうかの大事なポイントはしゃがんだ時のおしりの高さです。一番下までしゃがんでしまうと、勢いがつかず、回り切れない子もいます。そこで、膝を軽く伸ばし、おしりの位置を上にあげます。これで後ろに回るときに、回転の勢いが付きやすいです。

この姿勢がうまくできない子は、マットの底に踏み切り台などを入れてマットに勾配を作ってあげましょう。これで転がりやすくなります。

ここまで説明ができたらよいでしょう。

 

②転がっている途中は、とにかく体が開かないことがポイントです。開いてしまうと足が頭より後ろにいきません。回るときは、体を小さくして回ることを意識させ、自分のおへそをみて回ることです。

そこに意識が行き過ぎると、次は頭の横にセットした手がおろそかになるケースが多いので、ここも大事なポイントです。手でマットを押して体を持ち上げないと頭が抜けずに転がれません。体を丸める、手をしっかりつく、これだけでも難しいです。さらに、転がったときに脇が開いてしまう子も多く、脇が開くと手の力がマットに加わらず、頭が回りませんので、ここも要注意です。たくさんポイントがありますので、その子がどこでつまづいているかチェックしてあげましょう。

 

③転がった後は、頭がマットから抜けた後も、さらに両手でマットを強く押し、足の裏で着地できるよう意識させましょう。後転をしていると、どうしても、横に転がってしまったり、手の力が弱く肩を使って転がってしまう子もいます。すると、足の裏で着地できず、膝から着地してしまうことが多いです。真っすぐ転がることと手でしっかりマットを押すことが重要です。

 

 

後転のポイントをざっと書いていきましたが、もし、担任が見本を見せられるのなら、見せてあげるもよし、実際に子どもを使ってポイントを説明するのもよいです。

もちろん、一度に全て理解できるとは限りませんが、転がっている途中のポイントは特に大事です。後転は首を痛めてしまう危険性があるので、無理に回らないなど丁寧な説明が必要です。

 

 

説明が一通り終わったところで、順に後転をさせていきます。担任はまず苦手な子が集めるマットを中心に1通り見てあげます。そのあと、全体をぐるっと回って出来具合を確認していきましょう。うまくできている子をチェックしておくことと、できない子がどこでつまずいているか確認しておきます。

 

一度、運動をやめさせ、再度説明をします。次はつまずきポイントを確認します。口頭で説明するか、もしくはできている子を見本にしてポイントを伝えるかです。

 

 

後転補助の注意点

 

初めての後転の授業では、子どもが手をうまく使えていなかったり、足と体が離れすぎていたりして、うまく回れない子が続出します。つい担任がやってしまう補助のやり方として、背中をおして無理やり回そうとするやり方です。これは子どもが首を痛める危険性があるためやめた方がいいです。

 

正しい補助のしかたは、担任が両手で子どもの腰を持ち上げてあげることです。子どもを両手でつかむように待ち、子どもが回って、首がマットにつき、足が顔より後ろに行ったあたりで、補助開始です。両手で子どもの骨盤のあたりを持ち上げ、引っ張り上げるような感じで持ってあげると、簡単に回ることができるはずですので、一度やってみてください。

 

ちなみに、男性の先生は男子のみの補助とし、女子の補助はしないのが無難です。補助とはいえ、女子の体に触れることになるので、嫌がる子もいるかもしれませんし、中学年までの女子なら「先生、私にも補助してよ」と言ってくる子もいます。そこまで気を遣わなくてはいけないのかと感じるところもあるけれど、今の時代しかたがないかもしれません。可哀そうですが、私は女子には補助はしません。

 

でも、マット運動では補助はとても重要であり、補助があることで恐怖感なく技に挑戦ができることもあります。うまく女性の先生にサポートに入ってもらえるなら、ぜひポイントを伝え、手伝ってもらいましょう。

 

 

振り返りと片付け

 

振り返りはきっちりやっておくことをおすすめします。ここでどんなところを意識して取り組んでいたかを発表させると、授業のポイントが意識でき、さらに子どもが理解しているかもつかめるからです。

「腕をしっかり押し上げたらうまく回れた」

「体を小さく丸めたらいい」

など技のポイントを発表できた子はメモしておくと、成績にも反映できます。時間がなくつい省略してしまいがちですが、毎回2~3人くらいは発表させてあげましょう。

 

 

片付けは、マットを使ったグループごとにさせていくのがよいです。グループで協力し、安全に片づけができているかもチェックしておきましょう。

 

 

マットの授業で大事なこと

 

後転の指導の基礎的な部分がわかっていただけたのではないでしょうか。

今回の授業の流れがわかれば、他のマット運動にも応用していくことができますので、是非とも何度も読み返してポイントをおさえていってください。

 

後転は、運動のセンスがある子でも最初はつまづくかもしれません。しかし、こちらの説明をよく聞き、意欲的に取り組んでいけば、回転感覚もつかめてきてうまく回れるようになってきます。授業3回目くらいで8割以上の子はできていると思います。

できない子が多いからと言って、あまり根詰めて後転ばかり練習させるのはおすすめしません。後転が苦手でも、他の技ならできるかもしれません。

いろんな技に挑戦させてあげて、得意になれる技や好きな技を見つけさせてあげてください。

 

マット運動は、難しい技にも挑戦しつつも、自分はマットが苦手だという意識を取り除いてあげることが大事です。どうしても、できないことがはっきりわかってしまうので、できないまま終わると苦手意識が生まれてしまいます。しかし、できる技を見つけたり、何度もチャレンジしてできるようになったりすると、自信に変わり励みにもなります。次回また頑張るエネルギーになってくれます。

 

担任はマットが苦手な子へのフォローを忘れず、ていねいに授業を進めていきましょう。褒めて、励ましながら、じっくりやっていきましょう。

 

今回は以上です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

 

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