支援教育 教員・教育関係

【障害理解教育】の考え方と進め方を紹介します。子どもがみるみる変わる。

投稿日:2019年9月8日 更新日:

 

こんにちは、今回は「障害理解教育の考え方と進め方について」というテーマで記事を書いていきます。

 

こんな方におすすめ

  • 特別支援教育に興味がある方
  • 支援学級の担任をしている方
  • これから教員をやっていこうと思っている方

 

障害理解教育とは

 

障害理解教育とは、障害のある人や障害となりうる環境などを全てひっくるめて正しく理解していきましょうという教育のことです。(ざっくりですいません)「障害者」理解教育と言われることもありますが、それよりももっと広い意味で、障害者だけでなくバリアとなる全ての環境も同じように学んでいこうとする考え方です。

障害理解教育で間違った捉え方をしてしまうケースに、

「障害を持つ人に対して優しくすればいいんだ」

「思いやりを持てばいい」

「どんどん手伝ってあげたらいい」

と考えてしまう勘違いがあります。しかし、障害理解と言うのはそんな単純な話ではありません。

 

大事なことは、人それぞれの障害の多様性を尊重し、一人ひとりを理解していこうとする態度や行動力を身に付けていくことです。決して自然に身につけていくものではなく、子どもの頃より国語や算数と同じように正しい教育を受けて初めて身についていくものなのです。

 

 

障害理解教育の授業の現状

 

どこの学校でも、支援級在籍児童の理解啓発を目的に支援学級担任が通常の学級に出向いて出前授業を行うことがあると思います。学校によっては、1年に1回、学期に1回などと回数に差はあれど、学校内に支援級在籍の子どもがいたり、人権教育に力を入れている学校なら、必ずと言っていいほど理解啓発授業を行っているでしょう。

 

ここ近年、支援学級に在籍する児童が増加傾向にある中、通常の学級で障害理解教育の理解啓発を行っていくことはもはや当たり前となってきています。しかし、いざ理解啓発授業を行うとなると、支援学級担任は

「どうやって進めたらいいのだろう」

「何を話したらいいのだろう」

「何を話してはいけないのだろう」

などと色々と思い悩むことがあるのではないでしょうか。障害理解という分野は、人の人権に関わることであり、その人の思いを大事に進めなければならないという側面があります。支援在籍の子どもの思い、そして保護者の思いを聞き取り、通常の学級の中で理解啓発をしていく必要性を知っておいてもらわなければなりません。その部分に手間と時間がかかり、なかなか踏み出せないという先生方も多いのではないでしょうか。

 

そんな状況下でも、時期が来たら、とにかく進めなければならないことなので、

「とりあえずやっておくか・・・」

「在籍している子どもの話は最低限話をしようかな・・・」

などという場当たり的な進め方になって、しっかりと内容を吟味した授業とはならずに終わってしまう。これでは非常にもったいないでしょう。おそらく、どの先生方も一応に支援学級在籍の子どもの話をするはずで、それはとても大切ではありますが、せっかくの障害理解の学習なのでもっと積み上がっていくような内容にしていきたいものです。

 

 

ではなぜ、障害理解教育が深まっていかないのでしょうか。その理由を考えてみました。

 

 

障害理解教育でやってしまいがちな失敗

 

さきほど説明した通り、

障害理解教育とは人それぞれの障害の多様性を尊重し、1人ひとりを理解していこうとする態度や行動力を身に付けさせていくことです。しかし、現状はこれらのことをきっちり理解して上で障害理解教育を行えている学校はほとんどないということです。

 

大事なことは、

教える側が障害理解教育を学んだ上で進めること

子どもの発達段階を考慮したプログラムを組んで進めること

などが2点が挙げられます。

 

まず、障害理解教育で一番最初にするべきことは「子どもの気づきを大事にする」という視点です。これはある程度の教員経験を積んでいる方なら容易にわかることかもしれません。しかし、教員の経験が浅かったり、障害理解についての知識が乏しかったりすると、つい子どもに教えようとしたり、考えを押し付けてしまったりしてしまいがちです。これは仕方のないことですから、やはり障害理解についてある程度の経験値を積ませてあげてから方がいいかもしれません。

 

しかし、支援学級担任の配置が新任の先生に受け持たせるという学校もけっこうあるため、大事な視点が抜け落ちてしまうことがあります。さらに支援児童数の増加により、多様なニーズができたことで、理解啓発授業の焦点をどこに絞ればよいのかが難しくなってきているところもあります。そういう私自身も、全くと言っていいほど理解していたとは言えない状態でした。私の場合、学級担任を数年経験した後、支援学級担任をしました。

 

 

授業をすることにはそれなりの自信も持ち始めていたのですが、支援学級担任として理解啓発授業をしても、一向に上手く伝わった感じがしなかったのです。何かその場限りのものに終わってしまい、

「その授業で子どもたちが変容する」

「周りの先生たちの意識が変わる」

というようなこととは程遠いものでした。原因を自分なりに考えたところ、

そもそもの勉強不足であり、障害理解教育というものをわかっていなかったのだということです。

自分がまだまだ無知であり日々学ばなければならないのだということがわかったという段階でした。当時やっていた理解啓発授業の内容は、教員として培ってきた授業テクニックや建前の聴き心地の良い言葉を伝えていくというものです。

「障害は個性である」

「障害はあってもみんな同じだ」

という考えを子どもたちに押し付けてしまっていたのです。何度授業をしても自分の中で何かスッキリしないものが残っていて、それは子どもに一般的な精神論を押し付けていたからにほかなりません。もしかしたら、私と同じような思いを持たれている先生方がおられるかもしれませんね。やはり綿密な計画が必要だということです。

 

 

障害理解教育の進め方

 

それでは一体どのように、障害理解教育を進めていけばよいのでしょうか。障害理解教育の理解啓発授業の進める際の大切なポイントを説明をしたいと思います。

 

子どもの気づきを受け止める

 

まず障害理解教育のスタートは、子どもの気づきを包み隠さず受け止めることから始まります。子どもの気づきとは、障害者を見た時や、接した時に感じる正直な感情です。

「なんか周りの人たちと違うことをしているのだろう。」

「なぜあんなところで○○しているんだろう。

などの素朴な発言や感情を否定せずに、ありのまま受け止めてあげることです。

 

私たち大人が自然に

「社会にはいろんな人がいるね。人と違うことがあるかもしれないけど、それでもいいのよ。」

などと受け止めてあげましょう。

 

間違っても、

「そんなに見てはいけません。」

「早く、そこから離れなさい。近づいてはダメよ。」

などのメッセージを送ってしまわないようにしたいものです。

 

そういったことが子どもの頃より繰り返されると、障害者は見てはいけないもの、話してはいけないものという風に捉えてしまうようになります。まず、ここを気をつけたいものです。

 

「違う人がいて当然なんだ。」

「いろんな人を認めながら生きていくことが大切なんだ。」

ということを作っていく段階です。

 

 

障害のある方と自分との違いを理解する

 

次の段階は、障害のある人と、自分との違いを意識させ、理解していく段階です。きっと周りの子どもたちと違うことをしている子を見ると、より周りや自分との違いが明確になってくるでしょう。

「なぜ、あんなことをしているんだろう。」

「私とは○○のところが全然違う。」

などと少しずつ見えてくるものです。

 

そのような段階に来たところで、子どもにわかりやすい言葉で説明をしていくようにします。

「こういう気持ちになって困っているんだよ。」

「だから○○な時は、こうしてあげてね。」

などと具体的な対応法を教えていくことです。

 

理解が進むつれて、正直な子どもの感情も生まれます。

「あの子はかわいそうだ」

「いつもあんなことをしていて、なんだか怖い」

などの感情は否定したり、こうだと封じ込めたりせず、認めてあげることが大切です。当然ですが、このような感情をほったらかしにしておくのはよくありませんので、なぜそのような感情になるのか、その感情は相手にどんな思いをさせるのかなどを考えさせていきます。そして、そこからどんどん自己理解を深めていくのです。相手の立場を考えさせながら突き詰めて学習をしていくのです。

 

 

障害のある方への正しい態度・行動へ

 

これらを積み重ねていく中で、ようやく障害のある方への正しい態度、振る舞い、その人のことを考えた行動へと進んでいくのだということです。きっとここまでくるまでに、子どもたちの中で様々な葛藤があるはずです。

「あの子がすることは我慢しなければならない。」

「でも、あれはただのわがままではないのか。」

「怒ってはいけないのはわかるけど、許せない気持ちになる。」

そんな感情をしっかり汲み取り、理解してあげながら、それでもどうすべきか考え続けていく中で心が育ってくるはずです。それから、子どもたち一人ひとりに正しい態度が身につき、次は行動とした表す段階になったとしても、簡単に行動に移せる子どももいれば、そうでない子どももいます。

 

行動を起こすにあたっては、様々な要因が影響し、子どもの行動を制限します。その時の自分のいろんな感情が影響してしまいます。周りの目を気にする、恥ずかしい、友だち関係を優先してしまうなどなど。結果、行動として移せないという場合も少なくありません。でも、だからといって、その子がいつも行動に移せないとは限らないのです。これまでの自分の経験を思い返すとわかりやすいでしょう。

例えば、皆さんも電車に乗っていた時に、高齢の方や妊婦さん、小さな子連れのお母さんに席を譲るのを躊躇したことがありませんか。席をさっと譲れた時もあれば、席を譲れなかったこともあるかもしれません。

 

このように、人はその時の気分、状況などでも、行動できたりできなかったりするわけです。しかし、これらの経験を積み重ね、社会の中で少しでも意識して生活することができれば、ゆくゆくは正しい態度として現れ、正しい行動が常にできるようになるのです。当たり前のように、人と人が助け合える社会に近づくのではないでしょうか。

 

障害理解教育も教科学習と同じように学習の積み重ねであり、きっちりとして教育活動の中に位置づけて、丁寧に段階をおって進めていかなければならないものなのです。決して子どもに正論だけを押し付けて、

「思いやりを持とう」

「優しくしよう」

とだけ教えていけばよいものではないのです。

 

 

さぁプログラムを組んで取り組もう!

 

ここまでわかれば、あとは障害理解教育を進めるプログラムを作っていくことです。どんな風にプログラムを組んでいくかというと、この学習を進めていくにあたってどうやって障害理解教育を進めていくかを具体的にしていくことです。例えば、障害のある方との違いを考える時に、子どもたちに響きそうなエピソード・教材を集めたり、さらにそれをどう活用していくかを考えたりしていくことです。

 

また、一般的にしてしまいがちな偏見を変えていけるように教育もしていかなければなりません。いわゆるステレオタイプの考え方を変えるための教育です。

「障害のある方に優しくできない人は、障害理解ができていない人だ」

「障害のある方の言うこと聞いてあげることが理解できているということだ。」

このような間違った認識も改めていかなければなりません。より細かく実践的なプログラムを作る過程においては、やはり関わっている人同士で作っていくのが良いでしょう。基本の流れを意識しつつ、学校の校務分掌で位置付けてもらったり、研究会等で深めていってもいいかもしれません。

 

 

皆さんもぜひ、障害理解教育の第一歩をスタートしてみてはいかがでしょうか。

きっと、子どもが、そして学校が変わってくると思います。その積み重ねがより良い社会を作っていくことになると信じて!

 

 

今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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