こんにちは、今回は【小学校のあるある②】忘れ物をする子の対応方法というテーマで書いていきます。
こんな方におすすめ
- 小学校のあるあるを知りたい方
- これから小学校教員になろうと思っている方
小学校のあるあるシリーズ第2弾です。
小学校の学級担任をしているといろんな子どもに出会います。学級運営をしていく中で、特に担任が頭を悩ます問題が忘れ物の多い子への対応です。
将来、その子が損をしたり困ったりすることがないように、ていねいに対応をしていくのも大切な仕事の一つです。
これからお話する内容は、私がこれまで経験した、よくある子どもの忘れ物エピソードとその対応方法について書いています。
これから小学校の担任をしていく方には役に立つ情報ですので、ぜひ最後まで読んでいってください。
もくじ
忘れ物が多い子どもへの対応方法
まず、忘れ物が多い子の対応の大前提は、そんな子を放置しないことです。持ち物の確認をせずに、そのままにしてしまうのはよくないでしょう。ものを持って来れないという家庭の事情、その子の特性等あるかもしれませんが、持ってくるべきものを持ってきていないことは基本的には本人に伝えるべきでしょう。
特に宿題をしていない子をほったらかしにしているのはよくないです。
そうはいっても、学級担任の一日は子どもが登校した時から下校するまで、バタバタと忙しいものです。
子どもの連絡帳への返事、朝から保護者の連絡、職員の打ち合わせ、学年の先生との打ち合わせ、授業準備、怪我やトラブルの対応など。これらが同時にやってきますので、宿題なんてすぐ確認してられないよと感じる方もいるでしょう。
1日、2日程度ならチェックできなかった日があるのは当然ですが、1週間まるまる確認しないというのはよくないでしょう。
これから書いていることは、忘れ物をしない、宿題をしてくるものという前提のもと話をしています。
授業中に忘れ物をしたことを言いに来る時
これは本当によくあります。というか、たいてい決まった子どもです。授業が始まってしばらくして、担任が話している最中に、
子どもがスーッと担任の横に来て、話の腰を折るかのように、
「先生、教科書を忘れました」
「ノートを忘れました」
などと言ってきます。(笑)
担任がいろんな質問を投げかけ、子どもたちの意見を引き出している大事な場面に限ってです。心の中で、
「ちょっと待って、今大事なところ!」
という気持ちをおさえて話を止めます。一瞬でも流れが変わってしまうのです。
まぁ初めてのことなら大目に見てあげて、代わりのものを貸してあげるのですが、忘れ物が多いこと言うのは、また同じようなことを繰り返します。
そして、担任もしびれを切らして、
「授業中に言いに来てはいけません」
「忘れ物は授業前に言いに来るように」
「授業が止まってしまって困ります」
などと注意せざるを得なくなるのですね。
授業中にみんなが見ている前で、忘れ物を言いに行くのは勇気のいることであり、誰しも経験したくないことですが、忘れ物が多い子は、それでも、また繰り返してしまうのです。
そういう子どもは、自分が忘れ物をしていることにも授業が始まるまで気づいていないんですね。
これが子どもなんですね。
そもそも自分で準備ができない子であったり、家でお家の方にみてもらえてなかったり、事情はさまざまなのです。
だから、いろんな可能性も考えて、きつくその場で叱ってしまうのもどうかなと思うし、叱ってもあまり効果はないんですね。
持ってきていた時に、
「おっ、今日は忘れずにしっかり用意ができていて、えらいね。」
と一言でもよいので、ほめてあげることの方がよほど効果的です。まぁそれでも長続きしないのが子どもです。
そこで、わざわざ授業中言いに来ないよう、事前に教室に文房具レンタルボックスを作っておいておきます。そして、忘れ物の多い子と、忘れた時の約束を担任としておくのです。
授業が始まる挨拶をする前に、教科書、ノート、筆箱があるか確認し、なかったら、担任に一声かけに来て、借りに来るように言っておきます。
それができたら、次は休み時間に確認ができるようになることを目標にしていく。
ここまで約束をしておくと、授業中に忘れ物を言いに来る回数はかなり減らせるでしょう。
宿題忘れを隠し通そうとする時
これも子どもはよくありますね。
朝、子どもたちが登校して、宿題を提出させると思いますが、こちらで誰が提出しているかすぐにチェックをしておかないと忘れたことを言いに来ない子が必ずいます。
仮に子どもたち全体に
「今日宿題持ってくるのを忘れた人いますか」
と呼びかけても申告してきません。あとでこっそり言いにくる子はまだましですが、
「バレていないから、このまま隠し通そう」
と考える子も一定数いるものです。その話自体を聞いていない子もいますが・・・
なので、担任はそういう子を放っておかないためにも、チェックをして宿題が提出できていないなら、本人に伝えます。そして、いつまでにできるのか本人と話をしましょう。
子どもは
「漢字の宿題をやったけど、持ってくるのを忘れました」
「音読をしたけど、お家の人のサインをもらうのを忘れました」
などと言ってきたとします。怪しいなぁと思っても
「いつも忘れているのに、嘘じゃないのか」
なんて言わずに
「じゃあ1日待ってあげるから明日持ってきてね」
「その代わり、明日忘れた場合は、学校でしてね」
と言って見逃してあげたらいいです。
音読の宿題は本当にしているのか形に残らないので、うまくごまかしている子も多いものです。でも、時々担任がチェックして、全くしていないような子には、こんな風に声をかけてみてください。
先生「昨日家で音読をしましたか」
子ども「やりました」
先生「本当?このサイン、本当にお家の人が書いたの?」
子ども「お母さんが書いたよ」
先生「本当?確認してもいい?」
子ども「・・・お母さん、家にいません」
子ども「そうだ、お母さんが自分でサインしなさいっと言うから自分でしたんだよ」
先生「そうなんだ、それはしかたがないね」
先生「じゃあ、昨日の音読どのページ読んだのか教えて」
子ども「えっ?」
先生「昨日、音読したのなら、もちろん覚えているよね」
子ども「・・・」
先生「本当はやっていないんだね?」
子ども「はい・・・」
と、まぁこんな感じで簡単に子どもの嘘なんて見破れるんですよ。
こういった対応で気を付けておくことは、担任には嘘をついて、だまし通すことなんてできないと子どもに思わせることです。先生は何でもお見通しなんだ、嘘は通用しないんだと徹底的にわからせてあげるのです。
まさにここは頭脳戦ですよ。子どもは嘘をつくものですが、こんな風に堂々と嘘を言うようにさせてはいけないんです。
まぉ忘れ物については最初は特にていねいにみてあげておくのがよいかと思います。
もちろん、あまり細かく忘れ物で締め付けすぎてもこっちが疲れてしまわない程度にすることも大事ですので、最低限これは必ずさせるというものを決めておけばOKです。
よく
「子どものいうことを信じてあげないといけない」
「先生は、うちの子どもを信じていないんですか?」
とか言う方がいらっしゃいますが、子どもの実態をよくわかっているなら、絶対にそんなセリフ言えません。というか、そういう発言は大体自己防衛です。嘘をつくのはわかっていても自分を守ろうとしているので、それに面と向かって言い合ってはいけません。
保護者には面と向かって
「はい、信じていません。」
「子どもは嘘をつくものですよ。」
とは言えないですが、担任は子どもは嘘をつくものだと思って関わっておくものです。そうでないと、担任が子どもに振り回されるだけになります。間違いなく、クラスが荒れだしますよ。
もちろん、正直な子どももいますが、嘘をついて自分を守ろうとするのは子どもなら当たり前のことなんです。大人でも嘘をつくことってありますからね。そのくらいの気持ちで嘘をついてしまう子と関わっていきましょう。
いつも体操服を忘れる子がいる時
これも時々ありますね。体操服を持って来ないというケースです。これが続くと慎重な対応が求められます。
1回、2回忘れるだけなら、ただの忘れ物だと考えることができますが、それがさらに続くようなら故意に忘れていると考えることもできます。
体操服を持って来ない理由として考えられるのは、体育が嫌い、着替えをするのが嫌、寒いのが苦手、半そで半ズボンが嫌、などなど。
どこかにひっかっている可能性があります。
おそらく、
「どうして持って来ないの?」
と聞くだけでは、子どもが理由を正直に話すかどうかもわかりません。
なので、3回目忘れたあたりから、子どもを呼び出して、ていねいな聞き取りをする必要が出てくるでしょうね。
持って来ない理由次第で、どうにか参加できる方法を一緒にさぐっていくしかありません。
事情によっては、保護者にも連絡が必要だし、原因を取り除いてあげたら、体育に参加できるようになるかもしれません。
小学生とは言え、多感な子どももいます。過去の体育の授業の嫌な思い出を引きずっている子もいれば、着替え時に肌を露出するのが嫌だという子もいます。感覚が過敏で、熱さや寒さを感じやすい子もいます。
一昔前なら、
「そんなのは甘えだ!」
ととらえられて、一切子どものしんどさなど考慮されていませんでした。しかし、今はもうそんな時代ではありません。
確かに、担任から見ても、ただの甘えではないかと感じることも多々ありますが、あまり強く対応しすぎるのもよくありません。嫌だという子どもの理由にもよりますが、適度に押したり、引いたりできるようになるのがよいでしょう。もちろん、子どもの実態をみてみないとわからないところもあり、子どもとの駆け引きは経験を積んでいくことで上手になってきます。
時々、こんな難しいケースもありますので、体操服忘れは特に気を付けてみておきましょう。
忘れ物に気づけるようになる支援とは
では、最後に子どもが忘れ物に気がつけるようになる方法をお伝えします。
チェックリストの活用
まず、家庭でお願いしておくことをお話します。
保護者には、家での持ち物の声掛けをお願いするととも、忘れ物をしないためのチェックリストを作ってもらいます。それを机や壁などに貼って子どもが気付けるようにするのです。ものを準備することって意外に難しかったりします。時間割を見て、明日は国語があるとわかっても、そこからさらに国語で何を持っていったらいいか考えなければいけません。
「授業で教科書を使うな」
「いつもノートを書いているな」
などとピンとくる子は忘れませんが、国語=教科書としか思い浮かばない子は教科書しか入れません。これではノートを忘れてしまいます。このように、先のことを想像したり、予測したりすることが苦手な子もいるのです。
そこで、持ち物チェックリストを確認させ、目で見てわかるようにしてあげるのです。
このような視覚化は、忘れ物が多い子に有効です。
これで、自分からリストを見て持ち物をランドセルに入れることができてきたら、大いに褒めてあげるのです。
もちろん、家庭の協力が望めないような時もあるので、そんな時は子ども自身が自立していくために、自分でできるよう学校で支援していくしかありません。
学校でも、チェックリストを作り、毎朝、それを見て確認させるようにします。忘れたものがあれば、事前に借りに来ることを約束します。事前に行動できたらOK、徐々にそれが家でできるよう励ましていきます。
頑張りカードの活用
チェックリストができたら、次は子どもが忘れ物をどれくらい減らすことができているか確認する必要があります。できていないことに目を向けるのではなく、できたところに目が向くようにするには、頑張りカードが有効です。
こんな簡単なカードで十分です。もくひょうのところには、子どもと一緒にどんなことを頑張っていくか話し合い、書かせます。目標期間は、最初は短めの1週間で達成できるくらいから始めるとよいです。もくひょうには、例えば、
・学校で毎朝持ってきたものを確認する
・毎朝、宿題を提出する
・忘れたものを借りに行く
などを書かせておいて、帰りの会前に、本人に確認に来させます。できていたら、担任が◎を書いてあげるのです。その時に、よい声掛けもできるので子どもにとって励みになります。1週間の5日分だとわかりやすいし、できていない日は書かずに、できたところだけ書いていくのもポイント。
できていないところを意識させるよりできたところを意識させる方が効果が高いです。だから、あえて、日付と曜日は事前には書いておきません。達成できた日に書いてあげて◎を書いてあげるのです。
これが5日分溜まったら、何かちょっと嬉しいご褒美をあげてもよいかもしれません。
学校なら、特別キラキラシールを貼ってあげる、家ならおやつを2個にしてあげるなど。ちょっと嬉しい小さいご褒美がよいです。
5回がクリアできたらワンステップ上の新たな目標を書かせ、取り組ませていきます。
これを繰り返していくと、自然に出来るようになる子もいます。時間がかかる子もいますが、あきらめず、根気よく続けていくことでしょう。
忘れ物指導も大切なこと
いかがだったでしょうか。忘れ物の指導と言えど、なかなか奥が深いものだとわかっていただけたのではないでしょうか。
子どもの忘れ物癖を改善していくことは時間のかかることですが、将来のことを考えると、しっかりと自分で意識づけができるよう導いてあげることは大切なことです。
もちろん、すぐに変わることはないでしょうが、どうせ無理だからとあきらめて、担任が放置してしまうことなく、根気よく関わってあげることが必要でしょう。
必要なものはしっかり用意することができる子が一人でも増えてくれればと思います。
今回は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました。