こんにちは、今回は【小学校の勉強は超重要】小学校教員をして分かった学び方のコツというテーマでお話していきます。
こんな方におすすめ
- これから教員をやっていこうと思っている方
- 教育に関心がある子育てをしている方
- 小学校1、2年生の子どもがいる方
みなさんは子どもの頃、どんな小学校生活を過ごしていましたか。小学校の記憶などほとんどないという方や、そもそも思い出そうとも思わないという方がほとんどでしょう。もちろん私自身もそうでしたが、小学校教員という職業に就いてからは、「小学校時代の自分はどんな子どもだったのか」を客観的に知りたくなり、自分の子どもの頃の成長過程を見つめ直してきました。
小学校の頃に「これをしていたからうまくいった」「これをしていなかったからうまくいかなかった」などを頭の中で整理してきました。過去の自分の教訓と15年近く教員をしてきた経験を交えながら自己分析をすることで、教育の大切な部分が見えてきました。今回はそのような情報をみなさんにお伝えしたいと思います。
これからお話する内容は、子育て中のみなさんにも役に立つ情報だと思いますので、ぜひ、最後までご覧ください。
もくじ
東大生の親は「勉強しなさい」と言ったことがない話
みなさんも、東大生の親は
「子どもに勉強しなさいと言ったことがない」
などという話を聞いたことがあるかと思います。こんな話が本当なのか?と思いませんか。私は、長年教育に携わってきたからこそ、こういう親の言葉の意味が分かるようになりました。答えは至って簡単です。
ズバリ・・・子どもが日々の勉強を勉強と思ってしてこなかったということだけです。東大に行っているような子どもは、勉強することが楽しいから自ら進んで学び続けることができたということです。子ども自身が、「学ぶことって面白いこと」という思いを持って過ごしているので、おのずと東大に入れるほどの学力も身に付けてしまうことができるのです。
そして、そのように子どもをうまく導いたのは親たちです。日々、親自身が子どもと接している中で、上手に学ぶ意欲を育んでこられたに違いありません。そこには、そうとうな試行錯誤があったはずだし、なにより親自身が学ぶ姿勢を子どもに見せていたはずです。学ぶことは楽しいことだということを見せてきたのでしょう。親が学ぶ姿勢を見せていない中で、「勉強しなさい」と言ったところで、進んで勉強する子どもには育たないのですから。
話をまとめますと、結局何が言いたいのかというと、親が子どもにする教育こそ重要だということです。子どもが幼い頃から、親がどういう意識を持って子どもと接することができているのかということなのです。
ただ、勘違いしないでほしいのは、東大に入ることが人生の全てではないし、子どもの頃にこそ、好きなことを好きなだけすることも大事ですから、それが勉強でないことだってあるはずです。でも、勉強も同じように好きなこととして取り組めたら絶対に損はないはずです。
では、親として子どもにどのように関わっていけば、子どもは勉強が楽しいと思うようになるのでしょうか。もう少し具体的に考えていきます。
子どもに学ぶことが楽しいと思わせるためには
保育園、幼稚園などで園児の様子を見ていると、本当に楽しそうに過ごしています。どの子どもも笑顔いっぱい、元気いっぱいで知的好奇心に満ち溢れています。まず、この段階で学ぶことが嫌いな子どもはほとんどいません。この子たちの興味、関心の源泉は、「もっと知りたい」「できるようになりたい」という自ら進んで学ぼうとする気持ちなのです。
しかし、ほとんどの子どもの学びへの意欲は年を重ねるごとに徐々に低下していきます。
なぜ、子どもたちは年を重ねるごとに学びへの意欲が下がってしまうのか?
どうして学ぶことが楽しいと思えなくなってしまうのか?
子どもたちがそうなってしまう原因は、大人がすぐに子どもに答えを教えてしまうことにあります。大人は良かれと思ってすぐに子どもにわからないことを教えてしまいます。そうすると、子どもはわからないことがあるとすぐに親を頼ってしまい、わからないことを自分で解決しようと思わなくなってしまいます。親から聞いたことでわかった気になり満足してしまうのです。もちろん、知らないことを知ることができてきたという子どもの成長とも言えますが、知ってしまうことで知的好奇心がある程度満たされてしまって、さらに知りたいという学びへの機会を奪ってしまっているのです。この繰り返しによって、子どもは自ら考えることができなくなり、わからないことをわかる楽しみを持てずに、勉強嫌いになっていくのです。
こうならないためには、大人はよくよく考えて子どもと接していく必要があります。子どもがわからないことを大人に聞いてきても、すぐに答えを教えず、自分で考えさせたり、調べさせたりして自分で解決させるようにするのです。大人は子どもの「もっと詳しく知りたい」という気持ちをうまく刺激し、子ども自身で解決できる力を身に付けさせてあげる手助けをしていかなければなりません。大人はついつい、子どもの問いかけに対してすぐに答えを与えてしまいがちなのです。こうした親の適切な関わり方で子どもは自ら考える力を伸ばし、できる喜び、わかる喜びを体験し、学ぶことが楽しいと思うようになるのです。ここは子育てでとても大きなポイントと言えるでしょう。
小学校から身に付けておくべきこと
子どもたちに自ら考える力をつけさせ、学ぶ楽しさを教えていくことが重要だとわかっていただけたと思います。もちろん、これは学びの原点となる考えですが、さらにこの上に積み上げておくべきことがあります。それを3つ紹介します。ぜひ小学校の早い段階からやっていってほしいと思います。
学習の習慣化
小学校の学習は、その先の学びの基礎になり土台となるものなので、この時期の学習をしっかり定着させておかないと上に積み上げていくことができません。小学生の早いうちから身につけておくべき力は勉強をする習慣です。机に向かって自分で本を読んだり、計算をしたりする学習活動の習慣をつけておくことです。習慣ができていると、基礎基本も徐々に身に付けていくことができるはずです。小学校のうちから、習慣化するなんて忍耐のいることではないか?とも言えますが、中学校でつまづかないためにも、自然と椅子に座って自ら学ぶことができるようになっておかなければなりません。むしろ、それを当たり前にしなければなりません。
でも、ほとんどの親を含めて子どもがこの部分をおろそかにしているので、こんな状態で中学校に進学しても、学習の変化に対応できないのです。そんなことにならないためにも、小学校のうちから、しっかり勉強の大切さをまず親が認識しておくことです。この事実を大人が知っているか、知らないかは非常に大きく、小学生の子どもの過ごさせ方が変わってきます。もし、この学習の習慣を子どもに身に付けさせるなら、小学校1年生から学ぶ習慣を作っておいてあげましょう。
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「毎日学習するのは当たり前のこと」と教えるのです。しっかり子どもの学習部分を親が管理してあげることで、学びの基礎的な力が付くでしょう。小学生のうちは学習することを習慣化させるため徹底的に教え込み、中学生になったら本人の意思を尊重してあげるのです。多くの人が勘違いしていることは、
「小学校は、なんとかついていけているから大丈夫だろう」
と手を離し、
「中学校からはしっかり勉強させなくちゃ」
と大事な時期から塾漬けにするなど子どもを管理しようとしてしまっていることです。実は、この考えは逆の思考であり、中学校になった時こそ、子どもの自主性を大切にしてあげなければならないのです。
「小学校まで、親に言われて勉強をやってきたので、中学校からはどうするか自分で決めなさい。」
と言ってあげられるのがベストです。引き続き、家で勉強をしたいというなら、引き続き家庭学習を続け、親は責任を持って中学校の勉強を教えてあげないといけないでしょう。自分でするなら、塾で学習したいのか、オンラインなどで自分一人で学びたいのかを選ばせてあげたらいいです。もちろん、ここまでやり切るには、家庭の力が大きく左右するので、家族一丸となって努力しなければならないところはあるでしょう。
読みの力を伸ばす
2つ目に必要なことは読みの力を伸ばしてあげることです。読みにつまずきがあると、全ての学習に影響を及ぼすので致命的です。そんな状態で、いくら勉強をしても基礎である読みの力を伸ばさない限り、成績が伸びることはありません。テストが迫っているのに、勉強せずに読む力を伸ばすことに時間を使ってなんかいられないと思うかもしれませんが、そうではありません。一見遠回りに見えても、読みの力をつけることが一番の近道なのです。
本や新聞を理解できるくらいの語彙力や文章読解力は必ず必要ですので、できるだけいろんな本に触れられたらいいと思います。本を読んでいれば、それだけ刺激も多く得られるものも多いです。ただ、楽しくないと長続きしません。なにより読む活動を継続していくことが大事なので、自分の興味のある分野を探してみるようにしましょう。本を読むことが少しでも楽しくなれば、読みへの負担が軽くなり、読める量が増えます。
ちなみに私は学生の頃、読みの力が圧倒的に弱く、読んでも文章を理解することができませんでした。そんな自分の能力の低さに気づいたのも大人になってからでしたので、それまでの数々の失敗の原因がその時わかりました。そこから本や新聞を読むようにして、少しずつ文字を読むハードルを下げていきました。おかげで少しは読解力がついたと思います。まだまだ発展途上ですが。
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さらに、勉強のしかたを知っておくことも重要です。極端に言えば、漢字の勉強だけやっていても、国語は伸びませんし、数学も、参考書や問題集ばかりやっていても、成績は伸びません。知識だけを頭に詰め込むのが勉強ではなく、学んだことをしっかりアウトプットすることです。何かにまとめたり、話したりすることで学習の効果は高まるでしょう。教科によっても学習のコツは違ってくるので、ひとくくりでは話せませんが、勉強のしかたもテクニックのようなものが必要でしょう。いわゆる効果的で効率的な学習法です。
もちろん、勉強が楽しくできることがなにより一番です。勉強の途中で興味のあることに出会ったら、寄り道してみるのもいいと思います。結局興味がないものってすぐに忘れてしまいます。でも、自分が興味があって、楽しいと思えるものって、
「ちょっと調べてみよう」「これってどういう意味かな?」
などと自分から能動的に動けるものです。この時の学習効果はなによりも大きいので、そんな場面があった時は、どんどん寄り道してみたらいいのではないでしょうか。勉強だと思わずにできることが最強です。
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最後に、学習をサボったらどうなるのかを私の人生を参考にお話していきます。
話は私の小学校の頃までさかのぼります。小学生の頃は、地域のスポーツチームに入っていて、とにかくスポーツ・遊びに夢中になっていた小学校生活でした。それはよかったのですが楽を覚えて逃げることもこの時期から覚えたような気がします。
何から逃げていたかと言うと勉強です。自分の小学校時代の思い返すと一切勉強せずに遊んでばかりでした。授業中の先生の話も真面目に聞いていなかった上に、わからなかったらすぐに諦めてしまっていました。ほとんど授業の内容を覚えていませんし、きちんと先生の話を聞けていなかったのだと思います。当然どんどん勉強がわからなくなり、成績も下がっていきました。
さらに、当時の学級は荒れていて、あまり静かなクラスではなかったです。学習に集中しやすい環境ではなく、一部ふざける子もいました。自分はと言うと、その1部の不真面目は子に流されて授業をさぼってしまう意志の弱い子どもでした。そんなことをしているもんですから、勉強への意識は下がる一方で、勉強から逃げることばかり考えていた小学校生活だったと思います。しかし、小学校時代の大切な時期にさぼったしまったせいで、そのつけは、その後払うことになりました。そこから先の進路では、失敗の連続でした。高校受験、大学受験、入社試験・・・全て失敗。(泣)
中学生、高校生の頃は、失敗を繰り返してもなんとか自分なりに取り戻そうと頑張って勉学に励んでいた時期もありましたが、その努力が成績に直結することはなく伸び悩みました。なぜ、成績が上がっていかないのか?その理由がわかったのは大人になってからです。
私には決定的に足りなかったものがあったのです。それは学習において、小学校で身に付けておくべき基礎基本の力です。もちろん、当時の自分にそんな課題があることなど知るよしもなかったです。
中学校の学習につまづいてしまう理由
小学校の時にはしっかり授業を聞いて真面目に取り組んでいても、中学校での学習はつまづくことが多いのです。私のように小学校から勉強をサボった人は落ちこぼれるのは当然ですが、そうでない人でも、やはりつまづくのです。では、なぜ中学校でつまづく子が多いのでしょうか。
小学校・中学校の学習スタイルの違い
それは、小学校と中学校の学習スタイルの違いにあります。まず、中学校で求められる学習時間は小学校の頃と比べて大幅に増えます。授業時間もそうだし、家庭学習もこれまでやってきた時間では全然足りなくなり、もっと長い時間勉強しなければならなくなります。突然、親や先生から「中学校はテストがあるので勉強をしましょう!」と努力や忍耐を求められるのです。これでは、子どもの中で納得感は得られないし、そもそも長い時間、学習をする習慣も忍耐も身についていません。
そんな状態で、「中学生は受験があって大事だから勉強をしなさい!」といってもできないのは当たり前なのです。子どもからしたら、「大事なのはわかっているけど、6時間授業を受けてきて、その後クラブも精一杯頑張って、クタクタで帰って家で勉強?」ってなってしまうわけです。そう思ってしまったら子どもはしんどいです。
小学校・中学校の課題や目的の違い
もう一つの原因は、小学校と中学校の課題や目的の違いです。小学校は、毎日「この宿題をしてきましょう。」とやるべきことを与えられます。子どもたちは何も考えることなく、それをただやっていくだけなので自主性は育ちにくいです。また、小学校の学習はある程度のことができていたら、できるという成績をもらえます。
「よかったー、うちの子どもはできているんだ」と親は思うのです。担任の先生も子どもに「自分でも一生懸命やればできるんだ」という自信を持たせることを第一に成績をつけることが多いです。なので、実際に学力があってその成績なのかははっきりわからない時もあり、「頑張っていたので、多めに見てあげよう」などと、評価を甘く付けていることがあります。そりぁ、先生側からすれば、あまりに正直すぎる厳しい評価つけても良いことはなく、「なぜ、うちの子の評価はこんな悪いのは説明してくれ」なんて保護者から言われることを考えたら、良い評価にしていた方が無難ですからね。そもそも、小学校の時に悪い評価をどんどんつけて、子どものやる気をなくさせることに意味があるのか・・・という考えの先生もおられます。だから、小学校の目的は成績だけではないのです。
一方、中学校からの学習からは、「できている」「できていない」がはっきりさせる成績第一主義となります。全て結果はテストで求められるのです。さらに、「テストがあるので、自分で課題を見つけて学習してください。」と自分で考えて取り組むことも求められます。この違いも大きく、自分で考える力が育っていないと、中学校の勉強は非常に難しいのです。
小学校でそんなことを完璧に教えてもらえるわけでもないし、自分の課題に気付き、克服するまでのプロセスをつかみ、行動できる子は少ないです。まだそれほどの自己理解も育っていません。テスト勉強をするにしても、「テスト範囲が何十ページもあるのに、どうやって勉強したらいいのか」という勉強のしかたや、「忙しい毎日の中でどこを勉強すればいいのか」という効率的な学習法なども小学校のうちに身に付けておかないできません。戸惑うこと間違いなしです。このようなギャップが中学校以降の子どもたちを苦しめています。
小学校から勉強を始めよう
こういったことにならないためにも、小学校からの勉強は非常に重要だということがわかっていただけたのではないでしょうか。最後に、もう一度3つのポイントをまとめておきます。
学習する習慣を身につける
読みの力を伸ばす
学び方を学んでおく
大体このあたりのことが、できたいたら間違いなく中学校の学習もそれなりにできるようになっているでしょう。良いところはさらに伸ばしてあげたり、苦手なことも克服できる努力が覚えさせたりすることで中学校での学習も自分で乗り越えていけるはずです。
私は教員になって、小学校の学習がいかに大切なのかが身に染みてわかりました。小学校は学びの基礎となる考え方を学ぶ場であるとともに、小学校の内に自分に合った学び方やどうやって課題解決をするのかがわかっていかなければならないです。それをおろそかにしていると、きっと失敗を繰り返してしまいます。失敗をして気づいて改善できるなら、それは収穫と考えることができるかもしれませんが、努力をしてもできないままでは辛い思いをするだけでやる気も起こりません。やるなら実のある努力をさせてあげたいですよね。
私自身、実にならない失敗をたくさんし、そこからでも学んだことはありましたが、できれば私と同じような失敗をほかの人にはしてほしくないと思っています。できるだけ早い時期に、子どものその時の能力を見定め、手を打っておいてあげることが、子育てにおいて重要だと感じています。子どもがやる気になって取り組めるようになるためには、親の適切な関わり方が重要です。答えを教えすぎず、自分で考える習慣を身に付けさせたいものです。もちろん、できる範囲でいいと思うので子どもと一緒に頑張ってみてください。
少しでも参考になることがあったら幸いです。
今回はここまでにします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
【子どもの感性を大切に】幼児には漢字から教えた方がいいその理由とは