教員・教育関係 運動

【元小学校教員直伝】跳び箱が上達するコツを紹介します。

 

こんにちは、今回は

【元小学校教員直伝】

跳び箱が上達するコツを

紹介します

というテーマで記事を書いていきます。

 

 

こんな方におすすめ

  • これから小学校教員になりたいと思っている方
  • 跳び箱が苦手なお子さんがおられる方

 

小学校の体育の授業で、跳び箱を実施しますが、苦手な子どもはけっこう多いです。

跳び箱をすることを伝えると

「えーーー、できないから嫌だ」

と呟く子どもが一定数いるものです。

 

そんな跳び箱嫌いの子どもでも、ちょっとした基礎練習と正しい手順通りに取り組ませてあげることで、すぐに跳べるようになります。

これからそのコツをご紹介します。

 

今回紹介する技は開脚跳びです。

開脚跳びとは、跳び箱に手をついて足を開いて飛び越す跳び方です。

 

それでは、順に解説していきます。

 

開脚跳びをする前の基礎練習

基礎体力作り

 

跳び箱と言えど、運動の基礎的な力が必要になりますので、それを鍛えておきましょう。

 

一番重要な力は、両手で体を支える力です。

これは跳び箱を跳んだとき、ほんの数秒間、両手で体を支えておかなければなりません。

両腕に体重を乗せる感覚と、そこで踏ん張る腕の力を身に着けておくのです。

それでは、効果的な練習をいくつか紹介します。

 

クマ歩き

両手、両足を地面につけて四つん這いになり、そのまま手足を動かしながら進んでいきます。

10mも進めばバテバテになりますが、腕の筋力と腕に体を乗せる感覚が養えます。

 

かえる倒立

両手をついたまま体を持ち上げます。

コツは、両手を地面についた状態で、両腕と両太ももをくっつけて、押し合うようにしておきます。

体の重心はやや前かがみしておくのがよいです。

最初は3秒間、維持できるように練習をしていきましょう。

 

逆立ち

逆立ちも自分の腕に体を乗せる感覚を身に着けられるのでおすすめです。

ただ、子どもだけで逆立ちをするのは難しい場合があり、特に自分の足をけり上げる力が弱いと体が持ち上がりません。

そんな子には、逆立ちの姿勢まで足を持ち上げてあげるなど補助をしてあげましょう。

補助する際は、足を上に引っ張るよりも、腰を水平に立て、持ち上げるようにしてあげると、逆立ちがしやすくなります。

あとは、自分でその逆立ちを維持できるように、しっかり腕で支えるように言ってあげます。

 

うさぎ跳び

しゃがんで、広げた両手をマットにつけます。じゃがんだ時、両膝はしっかりと閉じておきます。

両手をマットの前方につき両手に体重を乗せ、次に閉じた両足を両手の間にジャンプして近づいていきます。

これを繰り返し行うのがうさぎ跳びです。手、足、手、足の順で進んでいきます。

本来、うさぎ跳びは開脚跳びではなく、閉脚跳びの時に練習をすることが多いですが、体重移動の感覚をつかむのに非常に役に立ちます。

スポーツクラブでは、開脚跳びより閉脚跳びから練習するところもあります。

子どもの感覚から言うと、足を閉じておく方がやりやすいのだと思います。

 

馬跳び

2人ペアで練習できるなら、馬跳びもいいです。

土台になる子は、両足首に両手でにぎり、頭をしっかり下げて土台になります。

そこから、相手が跳べる高さまで腰を下げていきます。

何回か跳んだら交代します。

 

その他

腕立ての姿勢を作らせ、数秒間、維持させたり、足を持ってあげて手押し車をしてあげたりするといいでしょう。

 

授業でできる跳び箱遊び

 

小学校で開脚跳びの練習をするのは小学校3年生くらいからです。

ということは、1、2年生の段階で、跳び箱の基礎となる運動遊びをやっておきます。

さきほど、紹介した基礎体力作りととにも、授業で実施しておくおすすめの運動遊びを紹介します。

 

例えば、

ロイター板を使った運動遊びでは、

走っていってロイター板を踏み切り、体育館の舞台の上に飛び乗る。

そのあと、舞台の上からマットの敷いているところへ飛び降りる。

 

跳び箱を使った運動遊びでは、

跳び箱の上に乗って、ジャンプで飛び降りて両足で着地。

 

跳び箱にまたぎ乗りをして進んで、またぎ降りをして着地。

 

このような運動遊びを低学年で経験しておくと、跳び箱への苦手意識を軽減でき、基礎的な感覚も育てることができます。

 

開脚跳びの手順とコツ

跳び箱には

①助走、

②踏み切り(ジャンプ1回目)、

③着手(手をつく)とジャンプ(2回目)、

④着地

という一連の動作があります。

順に気をつけるポイントを見ていきましょう。

 

step
1
 助走

助走で重要なことは、

走るスピードと足の歩幅を合わせる事です。

走るスピードは、次の踏み切りの動きにスムーズに移動できる速さがよいので、ランニングよりやや速いくらいの速度がよいです。

全速力で跳び箱の方に向かっても、踏み切りに移るジャンプが丁寧にできませんのでご注意ください。

足の歩幅は、踏み切る手前で歩幅を合わせておくこと。

一定のリズムで走っておくとその感覚がつかみやすいです。

 

step
2
 踏み切り

次は踏み切りです。

踏み切りには、踏み切り板かロイター板を使います。どちらを使っても問題はありませんが、より反発力があるのは、ロイター板です。

踏み切り時は、両足をそろえて軽くジャンプ(1回目)して、両足で踏み切り板(ロイター板)を踏み切ります。

その時、膝は軽く曲げるようにし、体を跳び箱の方へ倒します。そして、両手を出して体重を跳び箱の方に寄せるのです。

 

step
3
 着手とジャンプ

 

次は着手とジャンプ(2回目)です。

着手の際は跳び箱の上に両手をパーにして付くようにします。

跳び箱についた両手に体重を乗せ、踏み切り板から跳び箱の方へ跳びます。

 

この時に、腕で体を支えながら体を後ろから前へと移動させる体重移動ができるかどうか、ここが跳び箱の最も重要なポイントです。

体重移動をしやすくするためには、できるだけ跳び箱の奥に両手を付くことです。

奥に手がつくことで、それだけ体が前かがみになりやすいので、体重移動もしやすくなります。

手のつく位置は、跳び箱にカラーテープを貼って、場所を示してあげたりするとわかりやすいでしょう。

 

step
4
 着地

最後は着地です。

両足が跳び箱を越えるまでは、両手は跳び箱から離さずについておくことです。

時々、跳び箱に両手をついたあと、ジャンプ(2回目)した直後に両手を離してしまう子もいます。

これはとても危ないので、できるだけギリギリまで両手を残しておくように言ってあげます。

両足が跳び箱を越えたら、すっと両手を股の間から引いていきます。

着地の時は、体を起こして両足から着地するのが理想です。

体重が前かがみになりすぎていると、頭から突っ込んで落ちてしまう危険性もあるので、体重移動ができたら、体は起こすようにします。

そして、着地をします。

 

開脚跳びの授業の進め方

 

では開脚跳びの1時間の流れを書いていきます。

 

1、跳び箱の準備 5分

2、体操 5分

3、跳び箱の基礎練習 5分

4、今日のメインテーマの説明 5分

5、開脚跳びの練習開始 5分

6、補足や付け足しの説明 5分

7、開脚跳びの練習 5分

8、振り返りと片付け 5分

 

トータル40分ですが、どこかで時間がずれ込むことも考えられます。

これくらいを目安にやってみてください。

 

跳び箱の準備のしかた

 

体育の跳び箱の授業は準備に時間がかかります。

使うものが跳び箱、踏み切り板、マットを体育倉庫から出してこなくてはいけないので非常に手間がかかります。

 

できれば授業前に体育倉庫に行って、跳び箱だけは出しやすい位置に動かしておくのがよいです。

そして、授業が始まる休み時間に倉庫に行って順次に出しておくと、あとは子どもたちに運ばせることができます。

1回目の授業だけは担任が置く場所を指示しながら準備をするので時間がかかりますが、2回目からは子どもたちにさせます。

 

跳び箱の並べ方はこんな感じです。

 

高さの違う跳び箱を3種類くらい準備し、子どもたちが自分に合った跳び箱を選んで練習できるようにしておきます。

跳び箱もサイズがいろいろありますので、学年に合わせたものを使うようにし、跳び箱の向きは図のように横向きにおくと跳びやすいでしょう。

もちろん、どんどん跳べる子たちには縦長の跳び箱にしてあげるのもいいです。

 

跳び終わったら、跳び箱の間は通らず、赤の矢印の方から戻るように言います。

 

跳び箱の基礎練習

 

準備体操では、基礎体力作りの運動メニュー(くま歩き、うさぎ跳びなど)をいくつか取り入れておきましょう。

そして、跳び箱を使った基礎練習へと入ります。

 

ここでやっておくことは一番大事な体重移動の練習です。図をご覧下さい。

 

踏み切り板を踏み切り、2つの跳び箱に肩手ずつ付いて、体を持ち上げます。両太ももを上げ、足は曲げておきます。

そして、両手で体を支えながら、跳び箱の間を通り抜けるようにして進みます。

要は閉脚跳びの練習です。

教師はこの練習の様子をみて、体を持ち上げることができているか、体重移動ができているかを確認しておきます。

 

開脚跳びを開始

いよいよ開脚跳びをやっていきます。この直前に閉脚跳びの動きをやっているので、開脚跳びは足を広げて跳ぶという違いはわかると思います。

子どもに説明する際は、見本を見せて、手の付く位置、体重移動のやり方をていねいに説明しておきましょう。

 

実際にやってみると、片足で踏み切っている子、跳び箱に手を置く位置が手前過ぎる子、体を起こしてしまっている子などがいます。

苦手な子どもを中心に声をかけていきます。

 

補助が必要な子には、跳び箱の横で支えてあげます。

補助する場所はこちら。どちら側から補助してもOKです。

子どもが足を開いた時にぶつからないよう気を付けて立ちます。

子どもが跳び箱に手をついた時に、教師はその腕の付け根あたりをぐっとつかんであげます。

そして、もう片方の手は、子どもの太ももの付け根あたりを軽く引っ張ってあげます。

 

このような感じでどんどん練習をさせていきます。

跳び箱を跳んだあと、列に戻ってくるまでに、基礎練習を入れておくのもおすすめです。

図のようにフラフープを並べておくだけでも、ちょっとした運動を確保できます。

上側のフラフープはケンケンパーしながら進んでいきます。

これは閉じた足をしっかり足を開く練習です。

リズムをつかむ練習にもなります。

 

下側のフラフープは腕立て開脚ジャンプです。これは二つのフラフープの手前で腕立て姿勢を作り、そこからぐっと両足を前に持ってきてフラフープの中に入れます。

この時、両手で体を支えておきます。これは、跳び箱を跳んだ時に体を支える練習になります。

 

このフラフープの運動を入れておくと、跳び箱の順番を待っている時間を減らせるし、運動時間も確保できるので良いことづくめです。

 

一通り、練習ができたようなら、一度止めて集合をかけます。

そこで、みんながつまづいているポイントを中心に再度確認をします。

上手に跳べている子が多そうなら、このタイミングで跳び箱を高くしてあげるのもいいでしょう。

 

振り返りと片付け

 

全体の中で、どんなことを意識すればうまくできるのかを発表させましょう。

そこで、開脚跳びのポイントをつかめていれば、全体の学びにもなります。

少なくとも、2~3人くらいは発表させてあげましょうね。

 

  跳び箱を片付ける際の注意点

 

跳び箱は列ごとに並んでいたメンバーで片付けさせるのがよいです。

跳び箱、踏み切り板、マット、どれも重たいもので、ふざけて運ぶ子がいると誰かの怪我につながりますので、並んで片付けさせるようにします。

 

体育倉庫から跳び箱を入れていく際は必ず近くで見守りをしておくことです。

特に片付け中は、早く教室に戻ろうと焦って雑になりやすく、そんな時に怪我もしやすいので注意です。

必ず2人1組にして2~3段ずつに分けて運ばせるようにしましょう。

 

体育倉庫は学校によって、きれいに整頓されているところもあれば、乱雑にところもあります。

学校によって、跳び箱ごとにキャスター付きの台車に乗せてしまっている場合は片付けがしやすいですが、倉庫の奥に1台ずつ運んで並べている場合は出し入れに時間がかかり大変です。

 

その辺の事情も考えつつ、準備、片付けには細心の注意を払っておきましょう。

着替えの時間をきっちり確保するためにも、時間の余裕を持って切り上げておくようにします。

 

跳び箱嫌いをなくすためにできること

 

跳び箱が嫌いだという子は、たいてい運動が苦手な子が多いものです。

そして、跳び箱に対して恐怖心も根強くあります。

日常生活の中で、両手で体を持ち上げるような動きなんてすることはないですし、あまり運動をしない子にとっては難しいと感じるところもあるでしょう。

 

しかし、恐怖心や苦手意識を克服には、慣れや経験がものを言います。

しっかり体を動かす機会を作り、上手に自分の体を自分でコントロールすることができれば、楽しくなってくるものです。

 

まずは遊びを通して、楽しく跳び箱に触れ合う時間を作ってみるのがよいでしょう。

 

  学校でできること

学校でできることは、体育の時間に先ほど紹介した基礎体力作りのメニューを定期的に取り入れていくことでしょう。

準備運動のあとの2~3分を使って練習をしていきます。

おそらく、3~4か月も続けていればできる技がぐっと増えているはずです。

できることで自信になり、休み時間や家に帰ってからも運動に取り組めるようになるのです。

 

  家庭でできること

家庭でできることも同じく基礎体力作りです。

お風呂前に親子でストレッチタイムを作り、20~30分軽く体を動かす時間を作るのです。

「手押し車で台所まで進めるかな。」

「かえる倒立、5秒できるかな?」

などと目標を決めて取り組ませると、楽しく運動ができますよ。

 

 

それでは、今回はここまでです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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